連載
#44 どうぶつ同好会
10歳が発見「白いぶどう」の中に〝イカの赤ちゃん〟まるで「ポニョ」
干潟で見つかるのは「かなり珍しい」そうです
干潟で見つけた「白いぶどうみたいなもの」。よく見てみるとそれはイカの卵で、なかでは小さな赤ちゃんが動いていました。発見した10歳の男の子が触ってみると、「グミみたいにぷにぷに」していたそうです。
「干潟を歩いていたら、白いぶどうみたいなものがあって、何かなと思いました」。そう話すのは、中国地方に住む小学5年生の男の子(10)です。
8月中旬、父親(40代)といとこ家族と5人で広島県竹原市の「ハチの干潟」で生き物探しをしていたところ、「ミル」という海藻にいくつもくっついている白くて丸いものを見つけました。
はじめは何か分かりませんでしたが、よく見てみると中にはイカの赤ちゃんが。そばにいた父親にすぐ「見て見てー!」と興奮気味に知らせました。
父親によると、当時干潟は潮が引いていて、ミルが見える状態でした。ミルにはいくつも卵がついていましたが、そのうち一つの卵を観察したといいます。
大きさは1、2センチ程度。男の子が触ってみると、「グミみたいにぷにぷにしていました」。
その後、海水を張ったトレーに入れて観察していたところ、約30分ほどして気づいたら孵化(ふか)していたそうです。このほか、ミルについていた卵の中にも孵化したものがあり、干潟にできた水たまりにイカの赤ちゃんがいたそうです。
観察していたイカの赤ちゃんは最後、海へ帰しました。
男の子が見つけたものを父親が代わりに投稿して管理しているツイッターアカウント「ツカマエテミタ」(@tsukamaetemita)で、イカの赤ちゃんの動画を投稿したところ、あっという間に話題になりました。
ツイートには「初めて見ました」「海の命の宝石」「(スタジオジブリ作品の)ポニョを思い出す」といったコメントが寄せられ、24万以上の「いいね」がついて動画の再生回数は460万回を超えています。
男の子は想定外の反響に「びっくりしたけど、うれしいです」と話します。
「ツカマエテミタ」のアカウントを始めたのは、2022年2月から。父親が提案したところ、男の子も積極的に「やりたい」と話していたそうです。
父親は「私自身が生き物にそこまで詳しくなくて、息子に見つけたものを『これは何?』と聞かれても正確な答えを出せないことが多々ありました。そんなときもツイッターの力を借りれば、詳しい人が生き物の名前を教えてくれます」。
そのほか、ツイッターで記録することで今後の参考や何かの糧になるという期待もあったそうです。
父親は「今回の投稿で『いいね』をたくさんもらったことで、本人の熱意が上がったのかなと思います」と振り返ります。
イカの赤ちゃんを発見した男の子。実は、干潟で生き物探しをするのは今回が初めてではありません。
過去にも「カブトガニ」や「ハクセンシオマネキ」というカニを見つけたことがありました。
写真家として生き物を撮影する伯父の影響で物心ついたときから生き物への関心が高く、「いろいろな生き物がいておもしろい」と話します。特に「見たことない生き物についての興味が大きい」(父親)そうです。
将来の夢は「生物学者」。「生き物の新種を発見したい」と教えてくれました。
父親は「自分の好きなことが仕事につながれば、楽しい人生を送れるんじゃないかと思います。自分の好きな生き物を通じて、いろんなことを学んでいってほしいです」と話しています。
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