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マンガ

「おとこ!だいすき!」5歳娘の歌に泡吹く父…口ずさんだ切実な理由

大人の尺度でわが子を否定しない意義

親を凍り付かせるような歌詞の歌を口ずさむ、幼い娘。一見、突拍子もない行動の背景にあった思いとは?作者に聞きました。
親を凍り付かせるような歌詞の歌を口ずさむ、幼い娘。一見、突拍子もない行動の背景にあった思いとは?作者に聞きました。 出典: なりたりえさんのツイッター(@rienarita)

目次

まだ年端もいかない娘が、思わずギョッとしてしまうような歌を歌っていた……。育児中の一幕を生々しく描いたエッセー漫画が、ツイッター上でひそかに話題を集めています。わが子の唐突な行動に、親はどう対処すれば良いのか。そのような問いを投げかけるエピソードの、背景にある事情について、作者に聞きました。(witnews編集部・神戸郁人)

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娘が発した思わぬ歌と言葉

「娘の歌にこめられた、思い。」。そんなタイトルを冠した、3ページの漫画が、16日にツイートされました。

主人公は、とある家庭の次女で、5歳の「あゆか」ちゃんです。1コマ目から、何やら歌を口ずさみつつ、踊っています。

「おとこのこ だいすき~ おとこのこ だいすき~」「わたしはー おとこのこがだいすき~」「おとこ! だいすき!」

陽気な振り付けで気分も絶好調。でも、そばで見ている両親は気が気ではありません。父親にいたっては、衝撃で口から泡を吹いています。「…あゆかって、そんなに男の子が大好きだったっけ?」。母親が尋ねると、あゆかちゃんが答えました。

「そうじゃなくて… 幼稚園では、女の子とはよくあそぶけど、男の子が苦手で…」「だからこうやって歌えば、大好きになって、一緒にあそべるかもって思ったの」

思わぬ言葉に、両親は一転して笑顔に。「その気持ち、前向きでイイ!」。そして、親子一緒に「おとこのこ、だいすき~」と歌い踊るコマで、漫画は幕を閉じます。

出典:なりたりえさんのツイッター(@rienarita)

本心を聴き取ることの意味

この作品を手掛けたのは、漫画家・なりたりえさん(@rienarita)さんです。7歳の長女「ほのか」ちゃん、あゆかちゃん、自営業の夫との4人暮らし。一家の日々を記録したエッセー漫画を、ブログ「かぞくの絵日記帳」にまとめています。

あゆかちゃんが自作の歌を口ずさんだのは、3カ月ほど前にさかのぼります。自宅で突然歌い始めたときは、夫婦そろって衝撃を受けたそうです。特に夫は、笑いつつも動揺を隠せていなかったといいます。

「あゆかは引っ込み思案な性格です。幼稚園では、自分から積極的にお友達と遊ぶタイプではありません。男の子も苦手だと、本人や先生から聞いていました。そのため、歌詞の裏に、何らかの事情があるのではないかと思ったんです」

なりたさんいわく、娘たちは普段から、驚くような言動をする場面が多いとのことです。そのため何かあったときは、都度、理由を聞くようにしています。

今回の一件についても、親子間でコミュニケーションを取ることにより、本心を共有するに至りました。その後、あゆかちゃんの歌と踊りは、なりたさん一家の間でちょっとしたブームとなったそう。今でも時折、家族で楽しんでいるといいます。

徹底的に褒めて、過ちは謝罪する

漫画の内容をめぐっては、娘の胸の内を丁寧に聴き出す、なりたさんの姿勢も、読者の好感を得ています。子育て中、どんな振る舞いを意識しているのでしょうか。

「大切にしているのは、たくさん褒めることと、愛情を表すことです。年子の姉妹という事情もあり、どちらかを褒めたら、もう一人も何かしらの形で褒めるようにしています。『大好き』『可愛い』などは、うっとうしいくらい言っています」

一例として挙げた、あゆかちゃんとの会話は象徴的です。幼稚園での行動を聞き、「一人で遊んだよ」と返ってきたときは、「一人で遊べるなんて偉いね!」「一人で遊ぶのも楽しいよね」と伝えているといいます。

こうした判断は、苦い経験にも裏打ちされています。

数年前、幼稚園に通う女の子たちが好きなテレビアニメを、話題づくりにと娘二人に見せたことがありました。しかし興味を示さなかったのです。なりたさんは無理に他人に同調させることなく、個性を大事にすべきだったと反省したといいます。

「娘たちは後日、そのアニメを自然と好きになりました。子育てや、わが子への日常的な接し方については、本当に失敗や反省が多いです。『(自らの行動が)良くなかったな』と思ったら、理由を話し、すぐ謝るようにしています」

出典:なりたりえさんのツイッター(@rienarita)

「純粋な前向きさを見習いたい」

今回の漫画には、「あゆかちゃんが頑張っている姿が素敵」「親子の前向きな姿勢が素晴らしい」などと評価する声が寄せられています。これらの感想を受けて、なりたさんは、次のように語りました。

「あゆかの姿勢を、前向きに褒めてくださり、とてもうれしかったです。私自身も子供の頃、やはり男の子が苦手で、避けていました。あゆかが、子供なりに苦手を克服しようとする姿に感銘を受けています。純粋な前向きさを、見習いたいです」

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