連載
#112 #小山コータローの4コマ劇場
考古学者、転職先で〝シャレ〟炸裂 「それやめてもらえますか?」
「スマン!」
バイトの思い出といえば、僕が高校を卒業して上京したばかりの頃、スーパーのレジ打ちのバイトをしていました。
当時の僕は、まだこの世に生を受けてから18年という浅い魂だったので、キャベツとレタスを瞬時に見分ける事ができませんでした。持ち前の鋭い勘で「これはきっとレタスだ!」「この雰囲気はキャベツだ!」と、思い思いにレジを通していました。そんな日々と、お客様のありがたい叱責のおかげで今ではキャベツとレタスの違いがハッキリとわかる男になりました。
感謝してもしきれません。
そのスーパーの副店長は、当時おそらく50歳くらいのおじさんで、凄く明るい方でした。口をひらけば冗談を言うようなニコニコムードメーカーでしたが、膝が悪く、それ以外の時間は苦痛に顔を歪めており、仕事と顔が忙しい人でした。
そんな副店長に言われた言葉は今でも心に残っています。
「小山さ〜ん!この日シフト入ってもらえませんかね〜?」
「あ、大丈夫です」
「ひぇ〜ありがたや〜!(手を合わせて僕に頭を下げながら)ワハハハハ!明治神宮じゃないんだから!」
そう、たしかに僕は明治神宮じゃありません。明治神宮だったらきっとキャベツとレタスの違いくらいわかるでしょう。
でも、僕はハッとしました。
「このお辞儀は感謝のお辞儀じゃない・・・明治神宮じゃないんだからを言いたいが為のお辞儀だ!」
そう思うと、なんて失礼な奴だと思いました。膝が痛いのも天罰だと思います。
<こやま・こーたろー>
漫画家。「違和感」を作風とし、漫画家のSNS「コミチ」やTwitterで毎日4コマ漫画を発信中。前後関係を無視したセリフや、突拍子もない理不尽な展開が得意。初の書籍「デリシャス・サンド・ウィッチーズ」(扶桑社)発売中。Twitterアカウントは@MG_kotaro。
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