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#1 選挙 若者の疑問

何のための参院選?「議員の一番大事な仕事は…」 選挙、若者の疑問

「参院があってよかったことは?」

参院選のポスター掲示場=15日、前橋市大手町、川村さくら撮影
参院選のポスター掲示場=15日、前橋市大手町、川村さくら撮影 出典: 朝日新聞

目次

参院選が、6月22日に公示されます。選挙について若者たちから疑問を募ると、選挙の基本をおさらいしたいというものから、「言われてみると、確かにわからない」といった疑問が集まりました。「そもそも参院選って?」「参院があってよかったことは?」。朝日新聞の林尚行政治部長に聞きました。

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参院選、そもそもどんな選挙?

――そもそも参院選とはどんな選挙なのか、おさらいしたいです。国政選挙や地方選挙など、選挙はたくさんあるけど、それぞれの意義が知りたいです。なんのための選挙で、どのくらいの規模感で、どのくらいの頻度で行われているのかを具体的に教えてください。(都内の大学4年生、上田優芽奈さん)

まず、今回の選挙は国民の代表である国会議員を選ぶ国政選挙です。

国政選挙には、二つの選挙があります。衆議院議員選挙と、参議院議員選挙ですね。今回は参院選です。
今回の参院選の公示日は6月22日、投開票日は7月10日です。

公示日は、立候補者が選挙管理委員会に立候補を届け出る日です。ちなみに、天皇の国事行為を伴う国政選挙のときだけ「公示」という言葉が使われ、それ以外の選挙のときは「告示」といいます。

投開票日というのは、投票したその日に開票までするので、10日が投開票日なので11日の未明くらいまでには大勢が判明して、今回どこが勝ったよねということがわかります。

参議院の議員定数は248ですが、参議院選挙は半数ずつ改選されるので、124議席を争います(今回は神奈川選挙区の欠員1を埋める「合併選挙」となるので、125議席)。

なんで半数ずつかというと、議会の継続性の観点からです。全員を入れ替えてしまうと、もし参院選と衆院選が重なったら、その間に、国民の代表である国会議員が全員いなくなってしまいますよね。
そのため、参院議員の任期は6年間ですが、3年ごとに半分を入れ替えています。

参院選の目的は、「定期試験」と思ってもらえばいいと思います。参議院は、衆議院と違って解散がありません。ですので、落ち着いて物事を考えたり、腰を据えて問題に取り組んだりすることに向いているともいえます。

それにしても、参院議員の任期の6年は長い期間です。それは一度決めた参院議員を長い期間にわたって変えられないということでもあるので、これまでの6年間の候補者の仕事ぶり、この先の6年間の候補者に期待する仕事ぶりを考えながら、一票を入れてもらえたらいいなと思います。

よかったかどうかは別として…

――参議院があってよかったことはあるのでしょうか(都内の中学1年生、相原美亜さん)

「よかったかどうか」という評価は別として、一番衝撃を受けたのは、やはり小泉さんの郵政解散(※2005年の衆議院解散の俗称)ですね。

当時総理大臣だった小泉純一郎さんは、郵政民営化にこだわりがあり、民営化のための法律を出しました。でも、既存のシステムを一部壊すという法律だったので、自民党の中でも賛否が割れて、抵抗勢力もいました。

そんな状況でしたが、衆院はなんとか法案が通りました。その後、参院で審議された時には「再考」され、ぎりぎりで否決されました。

そうしたら小泉さんが、衆院を解散しちゃったんですよね。
政治記者としては、参院で否決されたからといって、衆院を解散するのかと驚きました。

小泉さんが解散を宣言したときの会見を今も覚えています。普段は背景のカーテンが紺色なんですけど、そのときは真っ赤でした。「おれは燃えているぞ」という意思表示だったんでしょう。

そのあと劇場型の選挙が行われ、結局、自民党が圧勝し、次の国会で郵政民営化法が通りました。
そういう意味では、衆参の判断の違いが歴史を動かした一つの例になると思います。

国会議員の一番大事な仕事は

衆議院と参議院の関係については、「ねじれ国会」という言葉があります。衆参で多数派が異なる状態のことです。

ねじれているときは、衆院で可決されたものが参院で否決されることがあります。
すると、法律が簡単には通らなくなるので、国会が停滞するんです。でもその分、「与党だ」「野党だ」と立場だけで淡々と話し合うのではなく、与野党が話し合って歩み寄ろうという機運が生まれることもあります。

私は、国会議員の一番大事な仕事は「話し合うこと」だと思っているので、ちゃんと熟議してもらうための土壌として、衆院と参院の二つがあるのだと考えています。

しかし、結局それをやるのは「人間味あふれる」国会議員。そんなにうまくいかないこともあります。
でも、理論上は、与野党が話し合って議論を深化させられるのは、衆参両院があるからだと思います。

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