連載
#28 眠れぬ夜のレシピ
「ガス欠」の時のルーティン ひとつひとつ着実に 眠れぬ夜のレシピ
ささやかな「こなせた」を認めながら
慌ただしい新年度。日々の疲れが蓄積します。もし、立ち上がれないほど「ガス欠」になってしまったら……。漫画で自身の経験を伝えるSNS作家・午後さんは、「時間をかけてもいい。小さな『こなせた』を認めること」と語りかけます。金曜深夜の「眠れぬ夜のレシピ」、手紙を添えて、お届けします。(漫画・コラム、午後)
午後さんのプレイリスト
眠れない夜。午後さんの身近にあった音楽を教えてもらいました。
あなたの夜の隙間も、少しでも埋められたら、幸いです。
こんばんは、午後です。
今回のお話は夏に描いたものなので、今の季節とは少し合わない表現があるかと思います。しかし、新年度で少しガス欠を起こしてしまった時など、状況打破のヒントになれればと思い、載せていただきました。
本当にどうしようもないくらい気力が奪われている時は、ただ息をすること・休むことに集中して、じっと日が昇るのを待ってほしいです。例え自身が止まっていても、状況は刻一刻と変化しています。決して止まることはなく、最悪な状況は永遠に続くことはありません。
海底に潜む深海魚のような気持ちでひたすらじっとして、ほんの少しだけ浮上することができるようになったら、身体を綺麗にしたり、野菜を食べたり、散らかった机をできる範囲で片付けるなどをして、自分自身をどうか労わってほしいのです。
休みを挟みながら、とても時間をかけていいので……(ちなみに私はシャワーだけで一時間かけることもあります)。
苦しみを耐えた自分自身を目一杯、労わってほしいのです。
また、地に落ちた自尊心を回復する要素は、充分な休息のほかに、成功体験の蓄積があると思っています。成功体験と聞くと、いわゆる社会的活躍が想像しやすいですが、私はそれだけではないと思っています。
例えば、プリンを綺麗にお皿に盛り付けられたこと。
欲しかった物を無事に買って帰ってこられたこと。
読もうと思っていた本の、目標ページまで読み進められたこと。
お風呂に入って、身体を綺麗にできたこと。
部屋をさっぱり片付けられたこと。
お菓子をおいしく作れたこと。
こうした日常に潜む小さな成功や喜びを重ねることが、無意識下で、自身を整えることに貢献してくれていると思うのです。世の中のためとか、人のためとか、そんな大それたことをしなくてもいい。ただあなたに、自分らしく在り続けてほしい。それが、一番大切なことだと思うのです。
こうしたことに気づけたのはつい近年なのですが、忘れてしまわないよう書き残しておきたくて、漫画にしてきました。これからも、気づきを描き残して行きたいと思っております。もし思い出していただけたら、その時はまた見ていただけたら、とても嬉しいです。
コラム連載「眠れぬ夜のレシピ」は、今夜でおしまいになります。これまで読んでいただいた方には感謝してもしきれません……本当にありがとうございました。今後も何かしら発信して行きますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、あなたの見る夢が、ずっと穏やかなものでありますように。
おやすみなさい。
午後
SNS作家。2020年5月からTwitterに漫画を投稿をしている。著書に「眠れぬ夜はケーキを焼いて」、「眠れぬ夜はケーキを焼いて2」(ともに、KADOKAWA)がある。Twitterアカウントは@_zengo。
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