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エンタメ

ドラマと融合『水曜NEXT!』の新しさ バラエティーに起きていること

ネットにまねできない〝テレビの底力〟

アンタッチャブル・山崎弘也さんと有村架純さんのドライブトークのワンシーン©フジテレビ
アンタッチャブル・山崎弘也さんと有村架純さんのドライブトークのワンシーン©フジテレビ

目次

お笑い芸人をメインとしたバラエティーが多い中、ここ最近で新鮮なアプローチで目を引く番組も増えてきている。『水曜NEXT!』(フジテレビ系)内の「Around the Corner 曲がり角のところで」、20年ぶりに復活した『THE夜もヒッパレ』(日本テレビ系)、『090-電話番号-持ち主は有名人』(テレビ東京)は代表的なところだ。多くのプラットフォームでコンテンツが楽しめる時代、テレビらしい番組作りとはどんなものか。各局の挑戦から考える。(ライター・鈴木旭)

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「ジャンルを超えた試み」フジテレビ

ここ最近、思い切った企画を放送しているのがフジテレビの深夜枠『水曜NEXT!』だ。2020年10月から始まった単発の特番枠で、若手スタッフの熱量がこちらにも伝わってくる。

「バチくるオードリー」「ここにタイトルを入力」など、芸人メインの企画も面白いが、3月9日と4月2日に放送された「Around the Corner 曲がり角のところで」は、「ドラマ×バラエティー」というジャンルを超えた試みに久々に胸が躍った(後編は地震により延長。4月2日に全編まとめて放送された)。

番組を象徴するのが、アンタッチャブル・山崎弘也と女優・有村架純のドライブトークだ。山崎が会話の中で有村の知られざる一面を引き出しつつ、2人の乗った車がコーナーを曲がるごとに様々なVTRが流れ出す。つまり、曲がり角のコーナーと番組のコーナーをかけた構成だ。

話題のインフルエンサーが番組の収録中、奇妙な声に翻弄されていくサスペンスドラマ。新進気鋭の8人組「ダウ90000」や話題のコントユニット「明日のアー」によるコント。バブリーな演出を施した情報バラエティーのパロディー。J-POPにのせて演劇的な世界を繰り広げるエンタメ集団「梅棒」のMV風ダンスパフォーマンスなど、いずれも別ジャンルとはいえ、“1980年代の要素”を含む見せ方で統一されている。

番組タイトルでもある「Around the Corner~」は、1987年に発売された忌野清志郎のソロ初シングル曲だ。昨今、1980年代のカルチャーが注目されていること、企画・演出を担当したフジテレビ第一制作部(ドラマ制作)の中江功氏が1988年入社という縁も感じさせる。 いずれにしろ、ベテランと若手、ドラマ班とバラエティー班が入り交じった番組作りがとても新鮮だった。

ダウ90000のコント「リプレイ」のワンシーン©フジテレビ
ダウ90000のコント「リプレイ」のワンシーン©フジテレビ

「番組をまたぐ珍しい共演」日本テレビ

日本テレビは『NETAMI』をはじめ、見応えのあるバラエティーが少なくない。そんな中、ほかとは一線を画す形で注目を浴びたのが、3月30日に放送された音楽特番『Premium Music 2022』内で20年ぶりに復活した『THE夜もヒッパレ』である。

『夜もヒッパレ』は、1995年4月~2002年9月まで放送されていた「見たい!聞きたい!唄いたい!」でお馴染みの音楽バラエティー番組だ。番組オリジナルのトップ10にランクインしたヒット曲を、ゲスト出演者とともにカラオケ形式で歌い踊るという賑やかな内容だった。総合司会の三宅裕司、中山秀征のほか、進行アシスタントのDJ・赤坂泰彦、レギュラーのビジーフォー・スペシャルも番組の顔として活躍した。

この番組が再注目されたのは、同局の『千鳥かまいたちアワー』がきっかけだった。千鳥・大悟が“今のバラエティー番組に足りないもの”として、『夜もヒッパレ』のDJ・赤坂に扮する企画「赤坂ゲーム」を提案。トーク中に割って入り、曲紹介するまでの流れのうまさを巡るバトルで視聴者を笑わせた。

ちなみに千鳥・ノブは、復活した『夜もヒッパレ』にも登場。DJ・赤坂に扮し、相川七瀬の曲紹介を担当している。その後、『千鳥かまいたちアワー』で出演前後の裏側を見せたのも面白かった。番組をまたぐ珍しい共演は、視聴者とって嬉しいサプライズとなったに違いない。

ふと思い浮かんだのは、『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』が始まって間もなくのダウンタウンが、『欽ちゃんの爆笑仮装コンテスト 全日本仮装大賞』(ともに日本テレビ系)に出演した時のことだ。「貴重な場面を目撃した」とワクワクしたのを今でも思い出す。


「有名人×一般人」テレビ東京

各局と同じく、テレビ東京も『ゴッドタン』や『あちこちオードリー』、4月7日から『ダイアンの絶対取材しない店』がスタートするなど、人気芸人がバラエティーで活躍している。

その一方で、『家、ついて行ってイイですか?』のような一般人がメインの番組も少なくない。とくに3月26日に放送された『090-電話番号-持ち主は有名人』は、その持ち味がいかんなく発揮されていた。

番組内容は、アルタビジョン、道路の看板広告、商店街、離島など、日本全国のあらゆる場所に芸能人とつながる電話番号を公開し、電話を掛けてきた見知らぬ人に会いに行くというものだ。これにブラックマヨネーズ・小杉竜一、デヴィ夫人、亀田兄弟が出演。一般人ならではの突飛な質問に対応する姿が新鮮だった。

とくに印象深いのは、ブラマヨ・小杉に対して女子中学生が「いい匂いだったジャニーズとかいますか?」と質問した場面である。小杉が軽妙なやり取りでNEWS・加藤シゲアキのファンであることを聞き出したうえ、「(同じNEWSの)まっすー(増田貴久)、めちゃくちゃいい匂いするで」と伝えて喜ばせていた。学生ゆえの率直な好奇心が生んだユーモラスだったように思う。

この番組と同日に放送された『霜降り明星の校内放送ジャック』も、「有名人×一般人」という掛け合わせでは同じだ。3月で閉校してしまう中学校に霜降り明星がサプライズ登場。主に校内放送の形式で教師や生徒たちと交流を図り、最高の思い出を作ろうというものだった。

こうした企画は微笑ましいのと同時に、芸能人同士では生まれにくい新鮮な面白さがある。“有名人”という明確な線引きがあり、幅広い視聴者をターゲットとするテレビだからこそ成立する企画だと感じた。


まだまだテレビの幅は広い

そのほか、NHKは『星野源のおんがくこうろん』(3月11日放送の第4回でシリーズ終了)や『ヒャダ×体育のワンルーム☆ミュージック』など一歩掘り下げた音楽番組が充実している。

テレビ朝日は深夜放送枠『バラバラ大作戦』や、社内で次世代のスタークリエーターを発掘・育成する企画オーディションバトル『お願い!ランキング presentsそだてれび』がスタートするなど、若手スタッフに期待を寄せる企画が目立つ。

もちろん人気タレントを軸としたバラエティーも面白いが、ここ最近のユニークな番組作りを見ていると「まだまだテレビの幅は広い」と思わされる。

大人数の企画、撮影技術や環境、過去番組のフォーマットやアーカイブ、権利関係をクリアして制作されるコンテンツは、やはり歴史も長いためテレビが強い。多くのプラットフォームがある中で、こうした持ち味こそが“テレビらしさ”につながっているように思う。

Netflixコメディーシリーズ『トークサバイバー!〜トークが面白いと生き残れるドラマ〜』を見ても、『NEO決戦バラエティ キングちゃん』(テレビ東京系・2016年7月~3期に分けて放送され、2018年3月終了)の企画「ドラマチックハートブレイク王」を母体としながらも、明らかに映画のクオリティーを意識したものにリニューアルされていた。

番組は、放送(または配信)される場所によっても変化する。2023年に『痛快なりゆき番組 風雲!たけし城』(TBS系)がAmazon Prime Videoでどのように復活するのか想像をめぐらせつつ、今後のバラエティーにも注目したい。

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