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猫のためマイホームを即決、引っ越し繰り返した家族が得たもの

柳橋正人さんの家に住み着いた野良猫が産んだ子猫たち=本人提供
柳橋正人さんの家に住み着いた野良猫が産んだ子猫たち=本人提供

目次

2022年2月22日はたくさんのニャンが並んだ「猫の日」でした。SNSで写真をアップすればたちまちシェアの輪が広がるなど、猫の人気はとどまるところを知りません。団地暮らしの時、猫と出会い、一緒に住むため持ち家に移ったという家族がいます。それだけでは終わらず、猫が交通事故にあわないようさらに引っ越しまで……。そして今は「猫のために生きている」という境地に。そこまで人間をとりこにしてしまう猫の魅力とは何か……専門家(愛猫家)の解説と共にひもときます。

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【2月22日「猫の日」の記事はこちら】
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初めての持ち家も即決

猫のために2回引っ越しをしたのは、埼玉県日高市の柳橋正人さん(68)です。

きっかけは約30年前。ペット禁止の団地の1階に住んでいた時、ベランダに野良猫が遊びにくるように。ある日ガラス戸を開けて中に入れると、そのまますみ着いてしまい、やがて4匹の子猫を産んだそうです。

「さすがに5匹もこっそり飼えない」と、妻の衣代さん(67)と悩んでいたある日のこと。避妊手術を済ませ自宅から出さないようにしていた母ネコが、堂々と団地内を散歩しているところに出くわしてしまいました。

「こりゃまずい!」

慌てて引っ越しました。それも一軒家。初めての持ち家です。猫の出産から引っ越しまでおよそ半年という驚きのスピードで決めてしまいました。

「元々私は即決しないで、何でも考え込んですぐに決められないタイプ。猫が背中を押してくれて、持ち家が実現したようなものです」

母ネコの名前は「サブ」。夫婦2人暮らしの家に3番目の家族として迎え入れたことからそう名付けました。

子猫のうち2匹は親戚や知人にもらわれましたが、悲しいことに1匹は、引っ越して間もなく交通事故に遭い死んでしまいました。その後は柳橋さん夫婦、サブ、もう1匹の子猫「モモ」と暮らしました。

室内飼いを始めても堂々と団地内を散歩していた母ネコ(右)=柳橋正人さん提供
室内飼いを始めても堂々と団地内を散歩していた母ネコ(右)=柳橋正人さん提供

「猫のために生きている」は逆でした

10年後、2回目の引っ越しをします。理由は「もうこれ以上家族が交通事故に遭わないように」。柳橋さん家族はそんな思いを込め、交通量の少ないところに引っ越しました。

引っ越した先で、サブは推定14歳、モモは21歳で寿命を全うしました。

そして定年退職後の今。柳橋さんは衣代さんと衣代さんが保護した猫「ハッチ」と暮らしています。

「猫のために引っ越しを繰り返して、『猫のために生きている』と思っていましたが、逆でした。私たちは猫に癒やされ、生かされてきたんだと思います」。

ハッチに振り回されながら2人と1匹の家族で幸せに暮らす柳橋さん。

「人と猫の距離は近くあったり、遠く感じたり。人を惑わす黒猫と不安なことも多い余生を刻む人間ですが、不思議な関係を楽しんで過ごしています」

柳橋さんが今飼っている保護猫「ハッチ」=本人提供
柳橋さんが今飼っている保護猫「ハッチ」=本人提供

社会学者の赤川・東京大教授(愛猫家)からの〝ひと言〟

かつては社会学者の間で「ペットは家族か否か」について、真面目に議論された時期がありました。家族をどう定義するかなど活発な議論がなされましたが、最近の価値観でいうとペットは間違いなく家族。ネズミを捕ることや労働力となることを期待せず、単純に家族として愛情を注ぐために猫を飼うようになりました。家族のために家を住み替える人がいるのは、全く不思議ではありませんね。

人間はあくまで猫に「お世話をさせて頂く」存在。猫は犬と違って、愛情を注いだ分返してくれるわけではありません。思い通りにならないので、猫に見返りを求めても期待もしてはいけない。でも期待していないのに時々すり寄られたり布団にもぐられたりすると、その貴重さに身が震える。生きるって楽しい。猫が、私たちの人生を豊かにしてくれるんです。

3匹の愛猫の写真を背景にZoomで取材に応じる赤川学教授
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