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ネットの話題

「子どもは自己責任」逆風に父親たちは… 〝イクメン〟10年の変化

夫側の至らぬ点を妻側が指摘するというSNS上の大きな構図は、変わらず続いていると感じています(画像はイメージです)
夫側の至らぬ点を妻側が指摘するというSNS上の大きな構図は、変わらず続いていると感じています(画像はイメージです) 出典: Getty Images

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「いいとこ取りの育児、夫に腹が立つ」「家事、育児を女性に押しつけ」――。2021年の子育ての話題をSNSで振り返ると、夫に対する妻の指摘が変わらず共感を集めていました。この構図は「鉄板」のままなのでしょうか。

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夫への「ダメ出し」の構図変わらず

私は、仕事と子育ての両立に葛藤する男性を描く「#父親のモヤモヤ」という企画を担当しています。共働きの妻と娘(5)を子育て中で、自身の体験も重ねながら取材しています。

企画開始から2年半が経ちましたが、夫側の至らぬ点を妻側が指摘するという大きな構図は、この間も変わらず続いていると感じています。

無理もありません。

【#父親のモヤモヤの初回はこちら】「仕事優先」は男らしさの刷り込み? 「父親のモヤモヤ」語ってみた

「ゼロコミット男子」

社会全体を見渡せば、家庭の負担は女性に偏っています。

総務省の「社会生活基本調査」(2016年)によると、1日のうちで育児に関わる時間が「ゼロ」と答えた夫の割合は約7割です。共働き家庭でも、専業主婦家庭でも、ほとんど変わりません。

取材では「ゼロコミット男子」と名づけた方にも出会いました。

問題は、「量」だけではありません。

〝ベビーカーは押したがるけど、お出かけの準備はしない。私だけ重たいリュック背負ってる〟

〝可愛がるだけ可愛がって全然育児のこと考えていない〟

ツイッターのつぶやきからは、「質」の問題、言い換えると「当事者意識」を欠いた関わりが指摘されています。

それを端的に言い表す言葉が、「いいとこ取りの育児」なのだと思います。

「子どもは自己責任だろ」の逆風

一方で、取材では、家事や育児をシェアする父親たちに出会います。

そうした父親たちは、家庭に深く関わろうとする中で、日々葛藤しています。

ある2児の父親は、「仕事優先」の上司の圧力に連日さらされ、「子どもをつくったのは自己責任だろ」「仕事の締め切りには死んでも間に合わせろ!」といった言葉を浴びせられ続けていました。

「子どもつくったのは自己責任だろ」仕事優先求める上司、倒れた男性
2児の父親は、「仕事優先」の上司の圧力に連日さらされ、「子どもをつくったのは自己責任だろ」「仕事の締め切りには死んでも間に合わせろ!」といった言葉を浴びせられ続けていました(画像はイメージです)
2児の父親は、「仕事優先」の上司の圧力に連日さらされ、「子どもをつくったのは自己責任だろ」「仕事の締め切りには死んでも間に合わせろ!」といった言葉を浴びせられ続けていました(画像はイメージです) 出典: Getty Images

そして、体調を崩してしまいました。

別の取材でも「『育休取るなら謝罪を』と言われた」といった声を耳にします。「男は仕事」という固定的な性別役割分担の意識は根強く残っていて、父親たちにとっての「逆風」になっていると感じます。

ただ、社会的にはまだまだ多数派ではありません。葛藤しつつも、口に出だせない父親がいるのも確かです。

パパも子育てする当事者なのに…

家庭ごとにみていけば、「ワンオペ妻」と「ダメ出しされる夫」のような単純な構図ばかりではないことが分かります。2021年は変化を感じる出来事もありました。

11月末、広島県の冊子「働く女性応援よくばりハンドブック」に対し、ツイッター上で批判が集まりました。

女性が「配慮」を求める相手として夫が挙げられ、「こっちだって仕事で疲れてるんだよ」といった「心の声」が紹介されていました。

「当事者意識の欠如」という趣旨で女性からの指摘が目立ちましたが、男性からも「パパもともに子育てをする当事者なのに不本意」という声があがりました。

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父親の子育て、さらに

2022年は、男性の子育てに関する制度が変わる年でもあります。

4月には、改正育児・介護休業法が施行され、企業に対し、社員に育休を取る意思があるかを確認するよう義務づけられます。

10月には、子どもの生後8週間以内に最大4週間まで父親が育休を取れる「男性産休」の仕組みもスタートします。

2022年は、男性の子育てに関する制度が変わる年でもあります(画像はイメージです)
2022年は、男性の子育てに関する制度が変わる年でもあります(画像はイメージです) 出典: Getty Images

「イクメン」という言葉が、新語・流行語大賞のトップ10にノミネートされたのは約10年前です。

当時はこの言葉を肯定的にとらえる向きもありましたが、いまでは男性の子育てだけを特別視することに否定的な見方が強まっています。10年前に1%台だった男性の育休取得率は2020年度は10%を超えました。

現実はなお不十分でありながら、この10年で「関わってすごい」から「やって当然」「質が課題」に軸がうつってきたことは、意味があることだと思います。

2022年の制度改正が、変化に弾みをつけることを願いますし、その後押しができる記事を書いていきたいと思います。

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