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IT・科学

本当は怖い「寄り目チャレンジ」TikTokで流行、医師も警鐘

「寄り目」「失神」「頭蓋骨破壊」といった“チャレンジ”が流行するTikTok。
「寄り目」「失神」「頭蓋骨破壊」といった“チャレンジ”が流行するTikTok。 出典: Reuters

目次

若年層に人気のSNSであるTikTokで、合計約2000万回再生されている「寄り目」関連の動画。「元に戻らなくなる」医学的なリスクのある行為ですが、同SNSでは「XXチャレンジ」として、これまで「失神」や「頭蓋骨破壊」などさまざまな危険な動画が流行してきた経緯もあります。

ユーザーの平均年齢が低く「親の目が届かない」とも言えるSNSで今、起きていること。健康に害を及ぼすほどの“ウケ”追求が行われる理由について考えます。(朝日新聞デジタル機動報道部・朽木誠一郎)
 
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さまざまな「チャレンジ」が流行

子どものころに目を真ん中にギューッと寄せる「寄り目」をして、大人から止めるように怒られた経験はないでしょうか。この寄り目が「寄り目チャレンジ」などとして、若年層に人気のSNSであるTikTokで流行しています。

関連するハッシュタグの視聴回数の合計は約2000万回。「マイブームは寄り目です #おすすめ」「片目だけ寄り目、みんなはできる?」などとして、他のユーザーにも「寄り目」を促すような投稿が「注目」タブに表示されます。中には「練習しすぎて目がおかしくなるw」といった投稿も。

この寄り目、「『元に戻らなくなる』リスクが本当にあるもの」と浜松医科大学医学部附属病院眼科の病院教授で医師の佐藤美保さんは注意喚起します。目の機能は繊細で、複数の筋肉が繊細なバランスを保っています。「寄り目」を長時間、あるいは繰り返し行うことで、元に戻りづらくなることがあるということでした。

TikTokでは今年1月にも、イタリアで「失神チャレンジ(blackout challenge)」に参加したとされる10歳の少女が死亡する出来事があり、当局が捜査を開始したことをThe Guardianなど複数が報じています。

「失神チャレンジ」は、自分で首を絞めて脳を酸欠状態にすることで陶酔感を味わうものとされます。

Italy blocks TikTok for certain users after death of girl allegedly playing 'choking' game - The Guardian
https://www.theguardian.com/world/2021/jan/23/italy-blocks-tiktok-for-certain-users-after-death-of-girl-allegedly-playing-choking-game

本来TikTokの利用は13歳以上からで、同国のデータ保護局は同22日、年齢が確認できないユーザーの利用を2月15日まで禁止すると発表したとのことです。同様の出来事は4月、アメリカで12歳の子どもにも起きました。

Colorado boy dies after taking part in 'blackout challenge' - ABC News
https://abcnews.go.com/Technology/wireStory/colorado-boy-dies-taking-part-blackout-challenge-77070455

「頭蓋骨破壊」など過激なものも

こうしたチャレンジはより過激になる傾向にあり、「頭蓋骨破壊チャレンジ(skull breaker challenge)​​」といった動画も流行しました。

「頭蓋骨破壊チャレンジ」とは、主に3人で行われ、真ん中1人がジャンプ。その間に、両脇の2人が足を引っ張るなどして、ジャンプした人を転倒させるというものです。​​

TikTok skull-breaker challenge danger warning - BBC News
https://www.bbc.com/news/technology-51742854

その危険性は言うまでもなく、負傷者が続出し、世界的に問題になりました。他にも市販薬を過剰摂取するチャレンジや、最近では階段状に積み上げた箱を歩くチャレンジ​​などが登場しています。

こうした危険なチャレンジは、運営側がその危険性を認識すると、「検索結果はありません」「このフレーズはコミュニティガイドラインに違反する言動またはコンテンツと関連している可能性があります」などとして、非表示になります。

しかし、前述したさまざまなチャレンジが生まれては消えるように、いたちごっこになるのが現状です。

こうした問題には、その本質が子どもの「遊び」であること、そしてTikTokというSNSの特性を理解して対応する必要があります。

そもそもTikTokにはハッシュタグをつけて「やってみた(=チャレンジ)」を投稿する文化があり、人気の歌やダンスなど、同じことに複数のユーザーが挑戦し、動画を投稿してブームを作ってきました。

リアルの場でも、クラスで新しい「遊び」を発明した同級生が人気者になる、ということがあるでしょう。それが一瞬で日本全国に、さらに世界に波及するのがSNSということになります。

一方で、「遊び」には流行り廃りがあります。特にSNSではこの人気者の度合いがフォロワー数やいいね数、視聴回数といった指標で明示されるため、飽きられたら新しい「遊び」を発明しようとする力学がより強く働くことになります。

より“ウケ”る動画を撮影したい――TikTokでの危険なチャレンジを追っていくと、このような欲求が例えば「寄り目」から「失神」、そして「頭蓋骨破壊」へとエスカレートしていく構図が垣間見えます。

「親の目が届かない」SNSに注意

SNSでの言動が次第に過激になり、投稿がエスカレートする問題は、先行して普及した他のSNSでも度々、問題になってきました。

こうした問題の背景には、フォロワー数やいいね数、視聴回数などにより承認欲求を満たそうとする心理があることが指摘されています。もともとある人間の心理をSNSが増幅しているのは、間違いないでしょう。

しかし、一口にSNSと言っても、現在その仕組みは多様化しています。例えばTikTokでは、他のSNSと異なり、ユーザーは基本的にTikTokがレコメンド(おすすめ)するコンテンツを視聴します。機械学習によるこのレコメンド​の精度が同SNSの特性です。

レコメンドの精度が​高いというのは、「刺さった人にはより深く刺さってしまう」ということでもあります。過激な新しい「遊び」を求める心理が加速しやすい仕組みだともみることができるでしょう。

前述したようにTikTokも危険な動画への対応はしていますが、それは主に「非表示にする」ことに留まります。必要な年齢確認をした上であれば、その利用はユーザーの責任ともいえ、個別の行為の危険性を説明し注意を促すということには、SNSというプラットフォームの性質上、限界があるのも事実です。

では、これまで子どもの危険な「遊び」には、どのような抑止力があったでしょうか。それが冒頭の「寄り目」で言及した、「大人に怒られた」という経験です。しかし、TikTokではこれが機能しにくい面があります。

TikTokの国内MAU(月間アクティブユーザー)は約950万人(2019年1月時点)で、メインユーザー層はZ世代(16~24歳)の男女とされています。

博報堂DYメディアパートナーズと博報堂の共同プロジェクトである『コンテンツファン消費行動調査』の2021年版によれば、ユーザーの平均年齢は34歳。主に若年層であるユーザーに対して、注意できる大人が少ないとみることもできます。

古典的ではあるけれど、一定の抑止力になってきた「大人からの注意」が機能しにくく、子どもの欲求が野放しになりかねないSNS。こうした問題をまず、社会として認識し、子どもをしっかり見守っていくことが必要です。
 
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