ネットの話題
「ポケット六法はポケットに入ります」 ちょっと無理があるツイート
実際にズボンのポケットの中に入れてみた画像です。
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実際にズボンのポケットの中に入れてみた画像です。
有斐閣から出版されている「ポケット六法」。最新版が発売されたのに合わせて、実際にズボンのポケットの中に入れてみた画像が注目を集めました。命名の由来や歴史について取材しました。
話題になったのは、9月17日に有斐閣六法編集部のツイッターアカウントが投稿したつぶやきです。
「出来上がりを見るまではいつも不安ですが、今年もポケットに入りますのでご安心ください」
写っているのは同日に発売された令和4年版のポケット六法で、四六判で2100ページあります。
写真では男性がズボンの左ポケットに入れていますが、実際に入っているのは端の一部だけ。
入っていると言っていいのか、微妙な状態です。
この投稿に対して、「ポケットに収まるとは書いていないのでセーフ」「社会通念上入っていると見るのが相当」といったコメントが寄せられ、いいねは11万を超えています。
出来上がりを見るまではいつも不安ですが、今年もポケットに入りますのでご安心ください。 pic.twitter.com/De0eLPKfcl
— 有斐閣六法編集部 (@yuhikaku_roppou) September 17, 2021
有斐閣の六法編集部長・赤羽一博さんによると、ポケット六法は持ち運びに便利なサイズの中に、日々の法律学習や仕事に必要な法令を収録したもの。
基本六法(憲法・民法・刑法・商法・民事訴訟法・刑事訴訟法)を中心に、主要な法令がまとめられています。
昭和53年11月に出版された「昭和54年版」が最初で、当時は小B6判862ページ。
現在と比べると、ページ数は半分以下だったことになります。
誕生の経緯には、「六法全書」と「小六法」が関係しています。
六法シリーズの中で最も収録法令数が多い「六法全書」に対して、その携行版として昭和24年に刊行された「小六法」。
携行版であっても収録法令の増加や内容の拡充は避けられず、年々増頁して判型も六法全書と同じになりました。
実務家や学生が持ち運ぶのに負担となってきたことから、必要な法令に絞った小型六法を作ることに。
そこで新たに生まれたのが「ポケット六法」でした。
有斐閣は、明治時代に「袖珍(しゅうちん)六法全書」を刊行しています。
袖珍とは、袖やたもとに入れて持ち運べるといった意味で、その商品名を受け継ぐ形で、ポケット六法と名付けたそうです。
ポケットに入れた写真を投稿したのは、今回が初めてではありません。
六法編集部だけでなく、営業部でも何度かツイートしています。
「実のところ、『ポケットに入らないポケット六法とは、これいかに』という突っ込みは、発売時期のあるあると言ってもいい現象です。逆に『ほら入った』とか『こうすれば入る』などの返しまでのお約束でもあります」
そう話すのは、常務取締役営業部長の土肥賢さんです。
寄せられたコメントを読みながら、「法律に絡めてコメントをされるあたりは、さすがポケ六ユーザー」と喜んでいたそうです。
「今回はこのようなツイートで注目されましたが、法令集を編纂する者としては、正確な法令情報を提供することが最重要です。その意思は『六法全書』創刊以来、一貫して受け継がれていますので、ご安心ください」
法律関係書で知られる出版社だけに、お堅いイメージを持たれがちな有斐閣。
ポケット六法に限らず、獅子と鷲の社章を「シッシー」「ワッシー」としてゆるキャラ化して話題になったこともあります。
「媒体によって読者に親しみを持ってもらえそうな場合に活用しているというレベルです。世間で持たれているイメージが大きく変わることはないかと思いますし、そういった狙いもありません」と土肥さん。
「社内の人間はお堅いわけではなく、いたって普通の人間ですので、楽しみながら取り組んでいます」とのことでした。
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