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「学校行かないことは法律違反ではない」自分を取り戻す時間の作り方

「まず2、3日休んでみる」『こども六法』著者のアドバイス

山崎聡一郎さんは「学校に行かない時間」で何をするべきか考えることが大事だと訴える ※画像はイメージです=Getty Images
山崎聡一郎さんは「学校に行かない時間」で何をするべきか考えることが大事だと訴える ※画像はイメージです=Getty Images

目次

刑法やいじめ防止対策推進法などを動物のイラスト入りで解説した『こども六法』の著者、山崎聡一郎さんは、「学校に行かないことは法律違反ではありません」と強調します。同時に、漠然とした理由で学校に行かないことは慎重であるべきだと言います。いじめなどに悩んでいても、学校を休むには抵抗がある人に、山崎さんは「2、3日だけ休んでみる」ことをすすめます。※記事は山崎さんの新著『10代の君に伝えたい 学校で悩むぼくが見つけた 未来を切りひらく思考』(朝日新聞出版)から抜粋しました。

なんとなく学校がツラいあなたへ

学校に行きたくないと思う理由は人それぞれです。その中で意外と多いのが「自分でも理由がよくわからない」という声です。

クラスの人間関係に目立った問題はなく、一緒に遊ぶ友だちもいる。勉強が特に苦手というわけでもなく、授業にもついていける。それなのに「なんとなく学校に行くのがツラい」と感じてしまうパターンです。

日本財団が2018年に行った「不登校傾向にある子どもの実態調査」によると、中学生の「学校に行きたくない理由」として多く上がったのは、「朝、起きられない」「疲れる」「学校に行こうとすると、体調が悪くなる」「自分でもよくわからない」といった回答でした。

こういった声に対して、「いじめられているわけでもないのに、甘えている」「世界には、学校に行きたくても行けない子どもたちがたくさんいるのに、ぜいたくだ」などと言う人もいます。でも、学校に行かないことは法律違反ではありませんから、「なんとなく行きたくない」という理由で休んでもいいですし、それは本人の自由です。

ただし、気をつけなければならないのは、自由には必ず責任がともなうということです。人と違う人生を歩むのは、それなりに覚悟がいります。

たとえ親や周りの人が「学校なんか行かなくていいよ」と後押ししてくれたとしても、その人生を歩むのは、ほかの誰でもない自分です。学校をやめて、大人になってから「やっぱり違ったかも」と思っても、誰も責任を取ってはくれません。

「だから学校には行くべきだ」と言いたいわけではありません。「学校に行かない」という選択をする前に、それが自分にとって本当にベストな選択かどうか、一度立ち止まって考えてほしいのです。

学校に行っておくと無難な理由

ぼくは、いじめなど、強烈に学校に行きたくない理由があるか、強烈にやりたい何かがほかにあるのであれば、学校に行く必要はないと思います。しかし、そうでないなら、学校には行っておいたほうがいいでしょう。

なぜなら「学校」というのは、教育を受けるうえで誰にでももっとも等しく開かれた「手段」だからです。仮に「自分が希望する教育を受ける」という「目的」を達成する上で、学校以外の手段がベストなのであれば、あえて学校を選ぶ必要はありません。

ただ、少なくとも学校は、将来的にやりたいことが見つかったときに、大抵の場合は対応できる基礎的な教育を幅広く行っています。そういう意味では、学校は自分の可能性を、お金をかけずに、誰でも育むことができるシステムだと言えます。

そう考えると、学校教育は「無難」ではあります。漠然とした理由でこの選択肢を捨ててしまうのは、ちょっともったいないなあと感じます。

行く必要はないけれど「無難」だという学校 ※画像はイメージです=Getty Images
行く必要はないけれど「無難」だという学校 ※画像はイメージです=Getty Images

「学校に行かない時間」で何をする?

学校に行かないことに大きな意味がある例として、たとえばいじめを受けている人であれば、学校を休むことは加害者から身の安全を守るための大事な手段だと言えるでしょう。

また、具体的な夢や目標があり、「学校に行っている時間がもったいない。この時間をもっと有意義に使いたい」という場合も、学校に行かないことは、目標を達成するための手段になります。

将棋棋士の藤井聡太さんは、卒業間近だった高3の1月に高校を中退しました。藤井さんは「将棋に専念したい気持ちが強くな」ったというコメントをしています。

【関連リンク】藤井二冠、高校中退 「将棋に専念、気持ち強くなった」:朝日新聞デジタル
 

あくまで重要なのは「学校に行かない」ことではなく、「その時間で何をするか」です。

ですから、「学校に行かない」という選択をするなら、「学校に行っていたはずの時間」をこれからどのように使っていくつもりなのか、同時に考えておくことが大事です。

時間の使い道は、自分が熱中できるものであれば、なんでもいいと思います。学校では学べない専門的な分野を学んでもいいですし、アルバイトができる年齢であれば、バイト先で必要な知識やスキルを身につけることを目指してもいいと思います。

そうした目的がなく、「なんとなく行きたくない」というのであれば、ぼくはやはり学校には行っておいたほうが無難だと思っています。というのも、特にイヤなこと、やりたいことがない場合は、「学校に行かない」ということ自体が目的化しすぎている可能性があるからです。

「学校に行かない」という手段を、「学校に行きたくない」という目的にすり替えてしまうと、学校に行くことをやめたあとの人生で苦労することになります。

学校に行かないということは、みんなと違う特別な才能やスキルを伸ばせる可能性がある反面、学校に行っていればみんなと同じようにできたはずのことが、自分だけできずに大人になるというリスクもあるからです。

そういったことをふまえた上で、自分にとってベストな選択をじっくり考えてみてください。

重要なのは「学校に行かない」ことではなく「その時間で何をするか」 ※画像はイメージです=Getty Images
重要なのは「学校に行かない」ことではなく「その時間で何をするか」 ※画像はイメージです=Getty Images

「ツラい」と感じたら2、3日だけ休んでみる

学校は生活のほとんどをすごす空間ですし、行くか、行かないかは簡単に決められることではありません。

毎日「ツラい」「行きたくない」と思っていても、朝になれば学校に行かなければならない現実が待っている。そんなゆううつな日々を送っている人に提案したいのが、とりあえず2、3日だけ学校を休んでみるという方法です。いじめなど、はっきりとした理由がある場合はもちろん、「なんとなく行きたくない」というモヤモヤした理由であってもかまいません。

毎日学校に通っていると、友だちのことや宿題のこと、放課後の習いごとのことなど、考えることが多くて忙しいですよね。すると、冷静な頭で考えれば「どうってことないな」と思えるようなことでも、心に余裕がないせいで、ものすごく大きな問題に感じられて、この世の終わりのような気分になってしまうことがあります。

ですから、「学校に行くのがツラい」「生きていくのが苦しい」と感じたときは、とにかく一度休んで、何も考えないことです。

無理に何かを考えようとしたり、やろうとしたりする必要はありません。

自分のペースで動きだそう

とはいえ、「病気でもないのに学校を休んでいいのかな」「親からあれこれ言われるのが面倒くさい」という気持ちになる人もいると思います。

でも、人間は慣れる生き物です。何日も続けて休んでいるうちに、「本当に自分は学校に行くべきなんだろうか」という問題とていねいに向き合えるようになるはずです。

特にいじめを受けているのなら、悪いのはあくまでいじめている側や、それを止められない先生ですから、罪悪感を持つ必要なんかありません。

「学校に行かないのは悪いことのような気もするけど、行けば危険な目にあうし、だから学校が安全になるまで行かない」という選択は、論理的に何も間違っていません。くり返し実行していく中で、その気持ちは確信になっていくはずです。

いきなり「明日から永遠に学校に行かない」と思うとハードルが高いものですが、「2、3日休んでみよう」くらいの気軽さであれば、できそうな気がしませんか。

休んだ日はテレビを観たり、マンガを読んだりしながら、一日中ぼーっとすごします。そうして頭が冷静になってくるのを感じたら、大人に相談するなど、自分のペースで動き始めてみましょう。

ぼーっとするのに飽きたら、今度はやりたいことを探してみたり、ちょっと学校の授業より先の勉強までトライしてみたりと、自分の時間を使っていろいろなチャレンジをしてみる気が起きているかもしれません。もしかしたら「そろそろ学校に行ってみようかな」と思っているかもしれません。

それまでは一旦すべてを忘れて、心と体を休める必要があるのです。

『10代の君に伝えたい 学校で悩むぼくが見つけた 未来を切りひらく思考』(朝日新聞出版)の著者、山崎聡一郎さん
『10代の君に伝えたい 学校で悩むぼくが見つけた 未来を切りひらく思考』(朝日新聞出版)の著者、山崎聡一郎さん 出典:『10代の君に伝えたい 学校で悩むぼくが見つけた 未来を切りひらく思考』
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