ネットの話題
君は誰?遭遇率6%、カップヌードルのフタ裏に潜むレア動物が話題に
新デザインに込めた日清社員の遊び心
言わずと知れた人気商品、カップヌードル。最近、フタの裏に登場した、意外な動物のイラストが話題を呼んでいます。わずかな確率でしかお目にかかれず、見かけた人からは「むしろ、当たりでしょ」との声が続出しているのです。デザインの狙いについて、販売元企業に聞きました。(withnews編集部・神戸郁人)
人気を呼んでいるのは、レギュラーサイズのカップヌードルシリーズの、フタ裏にあしらわれたイラストです。
フタの縁からぴょこんと飛び出た、耳のような2本の突起。引っ張りながらはがすと、シンプルな線で描かれた、「猫」の顔が現れます。半開きの口から、よだれを垂らすさまが憎めません。
SNS上では2カ月ほど前から、この猫の画像が出回り始めました。「かわいい」「猫耳じゃん」。好意的なコメントに混じり、別の生き物の表情が浮き出た、フタ裏の写真も投稿されたのです。
目は半月状で、前方に向かい、のっぺりとした鼻が伸びています。猫と違い、ずいぶんふてぶてしい印象です。
「可愛い猫ちゃんを期待していたのに……」「思わず『君は誰?』ってなった」「むしろ、当たりでしょ」。肩すかしを食いつつも、その状況を楽しむ人々の声が、今なお引きも切りません。
この動物の正体は、何なのでしょう? 販売元である、日清食品の担当者に尋ねてみると、「チベットスナギツネです」との答えが返ってきました。
チベットスナギツネとは、チベットの高山地帯や、インド・ネパールに生息するキツネの一種です。野生のナキウサギなどを食べて暮らしています。国内では、人間のような顔つきから、「チベスナ」の愛称で親しまれてきました。
「チベットスナギツネを選んだ理由は、そのシュールさと愛らしさです。『また会いたい……』と感じてしまう、不思議な魅力があると思いました」(担当者)
担当者によると、チベットスナギツネ柄容器の混入率は、商品の生産実数ベースで約6%。猫に加え、「更に驚きや楽しさを感じてもらいたい」と、シークレットキャラクターとして採用したといいます。
ところで、特徴的な形状のフタは、今年新たにお目見えした「Wタブ」と呼ばれるものです。
カップヌードルには1984年9月から、プラスチック製の「フタ止めシール」が、容器の底に付属していました。お湯を注いだ際、フタが開かないよう、固定する必要があったためです。
しかし、廃プラスチックによる環境負荷の高まりを受け、シールの廃止が決まりました。"環境" "防災" "健康"などにまつわる、諸課題に向き合う趣旨で、同社が進める「カップヌードル DO IT NOW!プロジェクト」の一環でもあります。
代替策として、開け口を二つに増やし、安定性を高めたWタブ式のフタを開発。これにより、年間33トンのプラスチック原料を削減できるそうです。今年6月から、レギュラーサイズの全商品を対象に、順次置き換えています。
担当者いわく、デザイン変更後のフタを裏面から見ると、猫を思わせる形をしています。そのため、動物のイラストが描かれました。よだれが垂れているのは、おいしそうなカップヌードルを前に、「思わず出てしまった」からだといいます。
イラストの下には、フタ止めシールがなくなった理由を始め、3種類のメッセージが吹き出し付きで掲載されています。一部、語尾を「にゃん(猫)」「コン(チベットスナギツネ)」とするなど、遊び心を盛り込むことも忘れていません。
多くの人々の目を楽しませている、新バージョンのフタ。担当者は「大変うれしい」と喜んだ上で、次のように話しました。
「『カップヌードル』は、今年9月18日で発売50周年を迎えます。環境に関しては、時代に合わせて進化しなければならないと考えています」
「『おいしい』ことはもちろん、『安全』で『安心』にお召しあがり頂けて、『カップヌードル』を通じて、食が楽しくなるような取り組みも、どんどんと展開していきたい。そう考えています。これからもよろしくお願いします」
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