連載
#75 コミチ漫画コラボ
人との距離近っ!大阪の商店街の〝ほっこりさ〟描いたマンガ
実際に大阪・天神橋の商店街にあった古書店「青空書房」をモデルに創作されたというchikuさんのマンガ。転勤で大阪に住んだとき、人と人との距離感が近い街の雰囲気に驚いたことを思い出しました。
駅の出口でキョロキョロしていたら「どこ行くん?」と心配してくれたり、まだ数回目のたこ焼き屋さんなのに「お姉さん久しぶりやな!」と声をかけてくれたり。電車の中で話した女性からアメをもらったときは「本当にあるんだ…!」とつい笑ってしまいました。
商店街ではお店の人と常連さんがあいさつをかわしたり雑談したりしていて、ほっこりしたのを覚えています。いまは亡き青空書房の古書店主さん。わたしも「宝物」を見つけてみたかったです。(選評:水野梓)
夏休みの自由研究、私も近所の川の水質を調べました。でもあれは、親や先生にやらされてたんじゃないか……。記憶はあいまいでした。
この作品を読んで、「自由に選んで」と聞かれるのが苦手だった、子ども時代の居心地の悪さを思い出しました。同時に、長木くんのように「僕は気にしなかったけど、君は気になったんだね」と言ってくれる人がいたらよかったなと思いました。
よく思い出すと、あの川の汚れが気になっていたのは私自身だった。「それはあなたが気づいた、あなたの視点だよ」と、この作品と出会えた今なら、そっと背中を押してあげられる気がします。(選評:松川希実)
小学生の夏、親に連れられ、セミの羽化を観察したことがあります。土気色をした幼虫の背中が割れ、隙間からゆっくり広がっていく、薄緑色の羽。夜露に濡れたためか、街灯の光を受け、涙で潤む瞳のようにきらめくさまは、この上なく美しいものでした。
主人公の女の子が、部屋の中で眺めた「星空」も、神秘性あふれる光景だったのでしょう。規則正しく並び、真空に弧を描く惑星や、何億年もの間燃える銀河。全てが丁寧に整えられているのは、「かみさま」が、自由研究に打ち込みすぎたからじゃないだろうかーー。彼女のみずみずしい感性に触れ、そんな想像を膨らませました。
私はあの夏、セミの中に、小さな宇宙を見ていたのかもしれません。身近なものこそが、この世の不思議を知るためのカギになる。そして、その謎の核心に迫れたら、世界が少しだけ輝いて見えるはず。そう信じさせてくれる作品でした。(選評:神戸郁人)
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