マンガ
幽霊はかわいそう?固定観念崩す漫画「優しい世界」驚きの結末で描く
作者が大切にした「想像する楽しさ」
幽霊は、かわいそうだ……。そんなイメージを覆す漫画が、ツイッター上で人気を博しています。雨の日に紡がれる、今は亡き少女と、ある女性の、ちょっと不思議な交流。その先に待つ予想外のラストが、固定観念を心地よく崩してくれるのです。優しい物語を作り出した漫画家に、思いを聞きました。(withnews編集部・神戸郁人)
別の日、雨に降られながら、いつものように踏切を訪れる女性。ところが、普段と様子が違います。夜になるまで、ずっと居残り続けたからです。
「今日こそ誰か来るのかもしれない」「声は届かなくても 私が文句を言ってあげる」。心の中でつぶやく幽霊を待っていたのは、予想もしない展開でした。
「ねえ……」「今日は雨が強いし ウチくる?」。何と女性が、隣にいた幽霊に話しかけてきたのです。実はずっと、彼女の存在に気付いていたのでした。
一体、どうして知らない振りを? 幽霊が尋ねると、女性は「見てるのバレると呪われるっていうから……」。思わず、「私はそういう幽霊じゃないですよ」と返します。
雨が嫌いなんでしょ。もし動けるなら、ウチにおいでよ――。温かい言葉を受けて、彼女は思うのでした。
「かわいそうな人なんて 一人もいなかった」
「すごく温かい、優しい世界」「幸せな結末で良かった」。ツイッター上には、そんな読者のコメントがあふれています。
今回の漫画は、どういった経緯で生まれたのでしょうか? 作者の漫画家・カキさん(@kakinuma31)は、創作のきっかけについて次のように語ります。
「明るい内容の漫画を描きたかったんです。最後に作品への印象が変わる、ショートショートのような話をつくりたいとも思いました」
カキさんはこれまでにも、幽霊が登場する漫画を創ってきました。元来の暗いイメージを壊すストーリーを生み出せたとき、読者に驚いたり楽しんでもらえたりする。そうした点で、好きなモチーフなのだそうです。
だから今回も、「かわいそうな幽霊」という固定観念を覆す、というお話を考えました。
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漫画のアイデアを練り始めた日は、ちょうど雨が降っていたそうです。読み手に、憂鬱な空気を吹き飛ばし、雨の日を少しでも明るく感じてもらいたい。キャラクターや、場面の設定には、そんな思いも反映しました。
そして、物語を注意深く読むと、色々な解釈ができるように描かれていると気付きます。
女性が踏切前でたたずむ理由とは? 少女は、なぜ命を落としたのか? あえて答えを明示しないことで、読者に想像する楽しさを感じてもらえるよう、心がけたといいます。
実際、漫画を読んだ人々からは、「驚きの結末」といった喜びの声が上がりました。カキさんは、一連の反応について、こう受け止めています。
「色々と予想しながら読むと面白いかな、と考えて描いた漫画です。でも、そうした事情はあまり気にしないで、楽しんでもらえたら嬉しく思います」
雨の日の二人(1/2) pic.twitter.com/BuSUZc3v7h
— カキ (@kakinuma31) June 4, 2021
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