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SKEを卒業する2人へ、感謝のディスプレイ 詰め込んだ「思い出」

オタクと花屋さんが語った誕生のきっかけ

SKE48を卒業した高柳明音さんと卒業ディスプレイ
SKE48を卒業した高柳明音さんと卒業ディスプレイ 出典: ©2021 Zest,Inc

目次

SKE48の創成期から10年以上活躍してきた松井珠理奈さん(24)と高柳明音さん(29)が4月末で卒業しました。アイドルとしての最後の舞台である「卒業公演」を追っていた記者は、SKE48劇場(名古屋市中区)の入り口の横に、花や思い出の品で飾られた盛大な門出のディスプレイを見つけました。制作したアイドルオタクたちの思い、そしてそれを叶えた花屋さんを取材しました。(朝日新聞名古屋報道センター・小原智恵)

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SKE48を後輩に託す

名古屋・栄を拠点とするアイドルグループ「SKE48」が結成された2008年からチームを引っ張ってきた1期生の松井珠理奈さんと、2期生の高柳明音さんが4月30日にグループを卒業しました。

「会いに行けるアイドル」としてファンと交流し、思い出をつくってきたSKE48劇場で、アイドルとしての最後の姿を見せました。

プロデューサーの秋元康さんに「私たちに公演をやらせてください」と訴えて実現した「ラムネの飲み方」公演(26、27日)で、高柳さんは最後の舞台を飾りました。

卒業「ラムネの飲み方」公演のオープニングでパフォーマンスする高柳明音さん
卒業「ラムネの飲み方」公演のオープニングでパフォーマンスする高柳明音さん 出典: ©2021 Zest,Inc

一方で、松井さんは29日に卒業公演「本当に珠理奈はSKE48から卒業できるのか?」を行いました。松井さんが登場したのは9曲目で、それまでは後輩たちだけ。SKE48を後輩に託すことを強く感じさせた公演でした。

どちらの公演でも、これまでのファンからの応援に対し、それぞれが感謝の気持ちを伝えました。

卒業の曲「Memories ~いつの日か会えるまで~」を歌う松井珠理奈さん
卒業の曲「Memories ~いつの日か会えるまで~」を歌う松井珠理奈さん 出典: ©2021 Zest,Inc
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劇場の入り口横に「カワイイ!」

2人の卒業公演を取材するために劇場に入ろうとすると、そこには高柳さんと松井さんとで違った「カワイイ!」と思うディスプレイがありました。

花のアーチや、ぬいぐるみ、衣装――思い出を表した品々が並びました。

このディスプレイを作るために結成された企画実行委員会が、コンセプトやイメージを話し合った上で作りあげます。衣装や小物までもを自分たちで作っています。これまでにも、生誕祭や卒業公演で、オリジナルのディスプレイを制作してきたといいます。

ぬいぐるみ、衣装、鳥かご――思い出を表した品々が並ぶ=2021年4月27日
ぬいぐるみ、衣装、鳥かご――思い出を表した品々が並ぶ=2021年4月27日

高柳さんへ「最後は大人らしく」

「高柳さんはこれから女優になりたいという夢があるので、大人の女性らしさをイメージして飾りました。そして、ファンでいさせてくれて『ありがとう』という気持ちを込めました」と話すのは、高柳さんの卒業企画実行委員で約10年高柳さんを推してきた美姫さん(以下、委員はすべて愛称)。

委員の一人が手作りした「兆し」や「クロス」など思い出の曲の衣装をテディーベアに着せ、さりげなく鳥かごを登場させることで、鳥好きの高柳さんを表現。「女優に」という夢を応援したいと、ドレッサーも置きました。

一人ずつサイリウムカラーが決まっているSKE48。これまで高柳さんといえば黄や緑といった色合いが多かったそうですか、最後は別な色合いに挑戦したそうです。花は赤やピンクを基調に、かすみ草はゴールドに装飾されています。

ピンクや赤、白を基調とした高柳明音さんの卒業ディスプレイ=2021年4月27日
ピンクや赤、白を基調とした高柳明音さんの卒業ディスプレイ=2021年4月27日

松井さんへ「SKE48のエース、最後も特別に」

「13年間SKE48のエースとして頑張った松井さん。最後はこれまで見たことのないようなものを見せて喜ばせたいと思いました」と話すのは、松井さんを2016年ごろから推してきた卒業企画実行委員のレイコさん。

サイリウムカラーのオレンジと緑を基調に、松井さんの名前である「JURINA」の一文字一文字を花で表すことにしたそうです。すべて生の花でできています。

これまでの衣装を組み合わせてデザインを製作。アーチにかかるフラッグの数々で思い出の衣装を表現し、長年アイドルをしてきた松井さんへの思いを詰め込んだそうです。

「JURINA」の文字は花で形取られ、キラキラとライトが輝いていた=2021年4月29日
「JURINA」の文字は花で形取られ、キラキラとライトが輝いていた=2021年4月29日

お花屋さん「思いを叶えたい」

それぞれのディスプレイで花を担当したのは地元の花屋さん「花広場mahiru」(名古屋市名東区)です。中村淑江(よしえ)店長はこれまで地下アイドルを中心に数々のアイドルへ贈る花を作ってきましたが、SKE48の場合は、ファンと一緒に作り上げていくのが特徴的といいます。

日程発表がギリギリとなった卒業公演。松井さんの委員で、2016年から推してきたせりなさんは「急なお願いにもかかわらず、打ち合わせの時間をしっかりとってくれ、気持ちをくんでくれました」と感謝します。

中村店長とオタクたちとの付き合いは約10年前から。ダンスグループに所属していた娘を推してくれるファンとつながりができたのが、始まりだといいます。

1999年の開業からはごく普通の花屋さんを営んでいましたが、オタクとつながりができてからは、地道に口コミを増やしていきました。推しに思いを伝えたいというオタクたちの高い要求を引き受けていくうちに、キャラクターを花で表す「キャラ花」が得意に。平面であれば、似顔絵やアイドルが書いた絵や落書きなども、花で表現できるそうです。

食べられるキノコが店に生えてきたことをきっかけに出演したテレビで、声優の金田朋子さんにキャラ花の「おしりかじり虫」を贈ったところ、全国に知られるように。他のエリアからも、キャラ花の発注が来るそうです。

地下アイドル、ユーチューバー、アニメのキャラクター――多種多様な贈り先へそれぞれのカラーに合わせた花をつくってきました。中村店長は時には寝ずに作業する日もあるそうで、「お花はいつもギフトで『人のため』に贈るもの。贈り物を受け取ったときの感動は大前提で、その上で慎重にと思ってやっています」と、プレッシャーもありながら、花を見た瞬間に感動する顔を見るのが喜びだそうです。

美姫さんは「すべての思いを込めたいと委員と取り組んできて、思っている以上のものができた。(花屋さんの)mahiruさんがいなかったらきっとできなかった」と話します。できあがったディスプレイを見て、涙を流した実行委員もいたといいます。

委員が作ったフラッグをつけていく中村淑江店長=2021年4月29日
委員が作ったフラッグをつけていく中村淑江店長=2021年4月29日

高柳さん、松井さんから感謝のメッセージ

高柳さんや松井さんもSKE48の公式ツイッター上で感想を話しています。

高柳さんは「12年やってきて『わたしがお姫様』のようなディスプレイにしてもらったのはあまり記憶にないので、最後の最後に『女の子の気分!』。ありがとうございます」と心ときめかせていました。

SKE48を卒業した高柳明音さんと卒業ディスプレイ
SKE48を卒業した高柳明音さんと卒業ディスプレイ 出典: ©2021 Zest,Inc.

松井さんは「お花に囲まれるのすごく好きで、みんな生花なんですよね、すごくいい香りがします。本当に幸せです。ありがとうございます。きょうはここで寝たいと思います(笑)それくらいうれしいです。ありがとう。大好きー」と話していました。

SKE48を卒業した松井珠理奈さんと卒業ディスプレイ
SKE48を卒業した松井珠理奈さんと卒業ディスプレイ 出典: ©2021 Zest,Inc.
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