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連載

#16 「きょうも回してる?」

「おにぎりん具」カプセルトイの常識を壊した瞬間「絶対いける!」

おにぎりは「認知度100%のキャラクター」

目次

おにぎり型のケースを空けたら、美味しそうな具。SNSでもたびたび話題になるこのガチャガチャが生まれた背景を、キタンクラブの担当者にガチャガチャ評論家のおまつさん(@gashaponmani)が聞きました。
ガチャガチャ評論家おまつの「きょうも回してる?」

おにぎりに対する執念のドラマ、始まりは

「おにぎり型の指輪ケースがあったら、中に梅干しや鮭のフィギュアを入れたら面白いかも」――。キタンクラブの開発担当者Sさんは、雑貨屋さんでハート型の白い指輪ケースを見た時に企画のきっかけがひらめいたそうです。ここから、Sさんのおにぎりに対する執念のドラマが始まりました。

今回紹介するのはキタンクラブの「おにぎりん具」。

私たちがガチャガチャの売り場で目にする商品は、5~8か月前に企画が動き出し、製造、生産したのち、売り場に置かれています。面白さをとことん追求するキタンクラブの商品は、毎月1回、企画会議で作られています。

キタンクラブの企画会議には、基本的に社員全員が参加し、新しい企画を見せ合います。
企画の見せ方は自由です。売上よりも面白さで勝負する商品を作るためには、商品の説明が不要で、一瞬で企画意図や面白さが伝わらなくてはいけないからです。

おにぎりん具
おにぎりん具

300円で売るための秘策はカプセルに

このおにぎりん具の企画を出したとき、Sさんは「企画自体はとても良い物ができたという自信があったので、発売すれば絶対に良い反響をいただける確信がありました」と言います。
しかし、商品コストの面で壁にぶつかります。

ガチャガチャ業界の価格帯は300円が主流です。ガチャガチャとして出したかったおにぎりん具は、カプセルに入らない大きさと高い生産コストのため、300円では販売することは難しい状況でした。そのため、商品を箱に入れて販売し、商品価格も300円より高めの設定するつもりだったと言います。

ただ、ここで課題が生まれます。商品価格を上げると問屋さんが数量を多く仕入れてくれない可能性が生まれ、箱で販売することで場所も限られてしまうことになるリスクがあります。そこで、Sさんは販売方法や価格の調整に試行錯誤したそうです。

そんなある日、Sさんに転機が訪れます。キタンクラブの営業担当者と問屋さんが雑談している中で「おにぎりがカプセルに入らないなら、カプセルに入れないで、三角のおにぎりそのままをマシンに入れたら出てこないかな?」という話がありました。

それを聞いたSさんは、工場からおにぎりを大量に集めてテストしました。「そしたらガチャガチャの機械から三角形のおにぎりがコロンと出たんですよ!」と興奮気味に話すSさん。続けて「『カプセルトイ』=『球体のカプセル』という常識を壊したその瞬間は、開発者の私でも想像できなかったほどインパクトがあり、これはいける!絶対話題になる!と思ったんです」と話してくれました。

そして、2019年9月に「おにぎりん具1」は300円で販売。Sさんが確信したとおり、「おにぎりん具1」は約46万個、「おにぎりん具2」も約42万個となり、大ヒット商品となりました。
3月上旬には「おにぎりん具3」が発売され、Twitter上では完売情報が流れるほど話題を集めています。

おにぎりん具2
おにぎりん具2

キタンクラブ、「見せ方」へのこだわり

おにぎりん具がヒットした要因は、商品企画はもちろんですが、商品の見せ方にも工夫をこらしていることです。

キタンクラブの商品は、目立つ売り方やお客様に伝わりやすい売り方を重要視しています。
今でこそガチャガチャ売り場は、商品がきれいにディスプレイされていますが、約10年前まで、ガチャガチャの売り場は機械が設置しているだけ。正直、煩雑な面があり、商品の見せ方まで工夫はしてありませんでした。

キタンクラブが誕生してからは、売り場の商品の見せ方が変わりました。オリジナルに特化したキタンクラブの商品はとくに、出オチ(お笑いの用語で登場した瞬間がすでに笑いを取る状態)が大事です。そのため、一瞬で企画意図や面白さが伝わる売り場の工夫をしているのです。このおにぎりん具も売り場の見せ方を大切にしており、JR構内のイベントや東京上野のおもちゃの専門店のヤマシロヤでも、いかにお客様の目に留まりやすいように工夫が凝らされていました。

おにぎりん具の魅力について、Sさんは「おにぎりには三角形をはじめ、丸型、俵型、海苔が巻かれているものなど色んな形や種類があります。中身の具材も、定番の具材から地方特有のものなど、とにかくたくさんの種類があります。おにぎりは日本国民全員が知っている『認知度100%のキャラクター』であり、まだまだ無限の可能性があります。みなさんからの反響がある限りネタは尽きません」と話してくれました。

東京上野のおもちゃの専門店のヤマシロの売り場
東京上野のおもちゃの専門店のヤマシロの売り場

5年越しの…おにぎり

そして、おにぎりん具には驚くべき事実がもう一つ。

ガチャガチャの商品は5~8か月で作られると前述しましたが、おにぎりん具は企画会議でプレゼンテーションし発売までこぎつけるのに5年かかったそうです。自動車や家電などの新商品を作るために5年かかると言われれば納得できますが、300円のガチャガチャを作るために5年かけるなんて、正直ありえないことです。

たとえば、小学6年生が高校2年になるまでが5年間。この5年間、おにぎりのことを思い続けたSさんの執念と言えます。まさにSさんにとって5年越しの恋、いや5年越しのおにぎりとなりました。
Sさんは「5年越しでやっと自信作を発売できました」と話してくれました。

     ◇
「おにぎりん具3」は、ネギトロ、だし巻き明太、野沢菜、焼きさば、角煮用おにぎり型ケースの全5種類。1回300円。

「おにぎりん具3」
「おにぎりん具3」
ガチャガチャ評論家おまつの「きょうも回してる?」

この連載は、20年以上業界を取材しトレンドをチェックしているおまつさんが注目するガチャガチャを毎週金曜日(原則)に紹介していきます。

     ◇
ガチャガチャ評論家・おまつ(@gashaponmani)
ガチャガチャ業界や商品などをSNSで発信中。著書に「ガチャポンのアイディアノートーなんでこれつくったの?ー」(オークラ出版)。テレビやラジオなどのメディアへの出演や素材提供も多数ある。

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