お金と仕事
一度も働くことなく「次を探して」25歳女性が転職先を見つけるまで…
「まさか自分が、という気持ちでした」
転職先として内定が決まっていた会社から、勤務日数ゼロのまま「次を探してほしい」と言われた――。4月からの採用が決まっていた不動産関係の会社が新型コロナウイルスの影響で休業となり、そこで一度も働くことなく、再びの就職活動を強いられた25歳の女性の「いま」を聞きました。
女性は東京都に住む博多屋かれんさんです。
博多屋さんは、転職先の不動産関連会社で4月中旬から働くことが決まっていましたが、一度も勤務することなく5月、内定取り消しとなりました。
不動産関連会社では4月中旬からの勤務開始を予定していましたが、緊急事態宣言の影響を受け、会社自体が休みに。会社からは自宅待機を命じられましたが、営業再開のメドが伝えられることなく半月が過ぎました。
会社からは5月になってやっと連絡が来たものの、遠回しに「他を探した方がいいと思う」と伝えられたといいます。
「『コロナとかで前から働いている人も辞めてるから…』と。コロナの影響が出ているというニュースは目にしていたので、多少の不安はありましたが、人ごとだと思っていました。まさか自分が、という気持ちでした」
実は博多屋さん、会社から電話が来る前に一度会社を訪れていましたが「責任者がいないので、改めて連絡する」と言われ、その場ではなにも伝えられず、自宅に戻りました。
そのため「いやな予感はしていたんですよね」と、電話が来るまでの間、不安な気持ちがあったことを打ち明けます。「もしかしたらダメなのかな、と思い始めてからの(就活再開を勧める)電話だったので、正直落ち込みはしました」と博多屋さん。「企業が倒産するっていうニュースもあったので、(コロナの影響を受けた)一員になっちゃったのか、と思いました」
「コロナの影響がこれからさらにひどくなって、路頭に迷ってしまったらどうしよう」――。そう考え、一時は気分が沈んだという博多屋さんでしたが、「動かないと始まらない」と、就職活動を再開しました。
ただ、ここでも新型コロナウイルスの影響がありました。
博多屋さんは、転職専用アプリで転職先を探していましたが、募集をかけている会社の中には、コロナで休業中の会社もあったそう。「エントリーして初めて、採用活動をストップしていることがわかる、ということが続きました」
そこで、転職を仲介してくれる担当者とのやりとりを通じて、改めて就職先を探すことに。当初は「これまでやったことのない職種を経験したい」と、事務職で求職していた博多屋さんでしたが、希望に当てはまる就職先が見つからず、営業職に対象を広げました。
そこでみつかった何社かに履歴書を送るなどしましたが、立て続けに4社から断られ「不安と焦りがありました」
焦る気持ちが続く中、やはり当初は希望に入れていなかった営業職で見つけたプロタイムズ総合研究所が運営する外装リフォームの「ヤネカベ」での面接にたどり着き、無事、その日のうちに合格の通知が来ました。
「ヤネカベ」での現在の博多屋さんの仕事は、戸建て住宅の外壁の診断を手伝ったり、現場の支援をしたりすること。「全く知識がない中で入社したので、最初は覚えることがたくさんあって大変でした」。ただ、「なんにでも興味を持てる性格」が奏功し、いまはやりがいを感じ楽しく仕事を続けられているそうです。
今回、社会的情勢の影響を受けて一度決まった就職先で働くことが叶わず、改めての就職活動に追い込まれた博多屋さん。
新型コロナウイルスの影響で、今後も大学生や高校生の新卒採用への影響も見込まれていることについては「これから就職活動を始める人たちにとっては本当に大変な状況だと思いますが、とにかくがんばってほしい」とエールを送ります。
苦労しながらも、無事、就職先を見つけることができた理由について以下の点を挙げます。
「しばらくはこのような状況が続くと思いますが、自分の人生は誰かに任せることはできません。まずは、視野を広げて就活をしてみるなど、自分ができることをやってみてほしい」と話します。
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