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お金と仕事

V6に楽曲提供した東大発社会人バンド 「音楽は副業」という可能性

Penthouseのメンバー。左から大島真帆さん(Vo.)、平井辰典さん(Dr.)、大原拓真さん(Ba.)、Cateenさん(Pf.)、浪岡真太郎さん(Vo.&Gt.)、矢野慎太郎さん(Gt.)=Penthouse提供
Penthouseのメンバー。左から大島真帆さん(Vo.)、平井辰典さん(Dr.)、大原拓真さん(Ba.)、Cateenさん(Pf.)、浪岡真太郎さん(Vo.&Gt.)、矢野慎太郎さん(Gt.)=Penthouse提供

目次

9月4日に結成25周年を迎えたV6。23日発売の52枚目となる新曲では、カップリング曲「ただこのまま」を東京大学発の社会人バンドが提供しています。東大の音楽サークル出身で、2018年に結成したPenthouseです。大学卒業後、それぞれ社会や大学院などに身を置きながら、YouTubeを始めとしたSNSでオリジナル曲やカバー曲などを積極的に配信しています。すでにV6ファンからも反響が上がっている楽曲がどのように生まれたのか、メンバーたちを取材しました。

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プロの音楽制作から学び

最上階にたたずむ気品ある部屋――そんな“penthouse”という言葉の持つ、都会的で落ち着いた雰囲気にぴったりな6人組(浪岡真太郎(Vo.&Gt.),大島真帆(Vo.),矢野慎太郎(Gt.),大原拓真(Ba.),Cateen(Pf.),平井辰典(Dr.))の「シティソウル」バンドです。

もともとはメンバーは東京大学のインカレバンドサークル「POMP」でそれぞれ活動していました。サークル時代はこのメンバーでバンドを組んだことはありませんでしたが、2年前のOB合宿で意気投合したメンバーらで、結成しました。

【Penthouse】東京大学発6人組「シティソウル」バンド。洗練されたカバーやオリジナル楽曲をYouTubeにおよそ週1回のペースで投稿。パワフルな男女ツインボーカルを軸に、「日常をおしゃれに彩る音楽」を探求している。

Vo.&Gt.浪岡真太郎…岩手県出身で通信関係の企業で働く。バンドの発起人で作曲も行う。ペン回しで世界一になったことがある。
Vo.大島真帆…東京都出身で人材系の会社に勤務。ポジティブで明るく、ライブではMCも担当。永遠におしゃべりできるらしい。
Dr.平井辰典…福井県出身で製薬会社に勤務する。大学に入ってからおしゃれな音楽に目覚める。バンドで一番のいじられ役という。
Ba.大原拓真…東京都出身。メディア関係で働いており、バンドのMV動画も編集する。JPOPが好きでaikoファン。
Pf.Cateen…千葉県出身でバンドで最も若い25歳。ピアノ演奏動画もYouTubeで配信する。
Gt.矢野慎太郎…東京都出身で、バンドのスケジュール管理や、直近では音源のミックスも担当。レコード鑑賞が趣味。

社会人として働くメンバーも多く、多忙な日程を調整しながら練習を重ね、オリジナル曲やアレンジを加えたカバー曲をYouTubeやSNSで精力的に発信しています。そうした活動が、レコード会社の目にとまり、楽曲提供のオファーがあったそうです。1週間ほどかけてできあがったのが、V6の25周年シングル「It's my life/ PINEAPPLE」(通常盤)のカップリングとして収録されている「ただこのまま」という曲でした。

――V6の公式ホームページのSTAFF MEMOでも、「心が温かくなる」と紹介されていました。

浪岡:オファーでは、自分たちの得意とする音楽を作ってほしいと言われました。そして、「(オリジナルの)Fireplace良いですよね」という話になったので、いつものPenthouseの感じで都会的かつキャッチーな曲をイメージしてつくりました。

浪岡:ジャニーズに曲を提供するなんて、もちろんやったことないので、「これでいいのか」という気持ちはありながら、「でも良い曲じゃん?」という曲に仕上がりました。楽曲を提供したときには怖さもありましたが、結果気に入られたので良かったです。

大原:単純にファンなので嬉しかったです。最後にミックスという音の調整を確認する作業があるのですが、その時に自分たちが演奏したのに「V6の歌が入っている」ってテンションがあがりました。

大島:V6のかなりアニバーサリーな年に出される作品なので、そこはさらに嬉しいですよね。

――プロの音楽づくりに触れて学んだこともあったのですか。

矢野:まずデモを渡したのですが、その後のレコーディング現場でアレンジが変わることもありました。「こういう音を加えられないかな?」とか。それまでレコーディングは各自バラバラでやっていたのでそういうのを一緒に考えながら最終形に仕上げていくプロセス自体が面白かったし、普段の活動でやれていなかった経験でした。

浪岡:音楽的な引き出しもそうでしたが、音楽制作の進め方として、レコーディングをしながら磨いていくプロセス自体も学びとして、これから生かしていけるなと思いますね。

Penthouse提供の楽曲「ただこのまま」が収録されたV6の新曲「It's my life/ PINEAPPLE」(通常盤)=avex提供
Penthouse提供の楽曲「ただこのまま」が収録されたV6の新曲「It's my life/ PINEAPPLE」(通常盤)=avex提供

「最高じゃん」でつながったメンバー

グループの発起人である浪岡さんは、仲の良い仲間と音楽をしたい、でもやるならちゃんとオリジナル曲も作り人気が出るようになりたい――。そんな思いでPenthouseを結成したと言います。また、メンバーに聞いてみると、結成前にあったサークルOB同士での演奏にもバンドのかけらがあったといいます。

――そもそも、どんな経緯でバンドを組んだのですか。

浪岡:僕はもともとハードロックバンドをやっていました。自分たちが絶対に良いという音楽にこだわっていたのですが、しんどくなってくるところもありました。聴いてもらいやすく、かつ自分の好きな音楽を探れるように、というのがこのバンドのテーマ。音楽性としても、そういったところを目指しています。

大原:結成のちょっと前にサークルのOB合宿で演奏して「俺たち最高じゃん!」ってなって。その時に、この仲間なら良い音楽が作れるんじゃないかって思いました。

矢野:確かに。僕はそれまで、ギターをほぼやめちゃっていました。仕事が忙しく、音楽もあんまり聴かない日が多くなって。でも、その合宿で興味を取り戻して、少し後のタイミングで、このバンドの声がかかりました。

大島:社会人になっても、音楽をちゃんとやりたいという思いはありました。でも、仕事が忙しいこともあり、それを言い訳にして全然できていなかった。けれど、OB合宿とかで歌って「やっぱ私、最高だな」って思ったりして。

メンバー:おぉ(笑)

大島:いや冗談ですけど。そんなときに同期で尊敬していて、ライバルでもあった浪岡から声がかかって。またとない機会だなと思って即答で「やります」って言いました。

矢野:同じサークルですけれど、この6人で大学時代からつるんでいたというわけではないんです。最年長の平井さんと最年少の角野(Cateen)との間では学年で6個離れているので現役時代はかぶっていないし。だから、むしろこのバンドをやり始めてからすりあってきたところはありますね。

オンライン取材に応じるPenthouseのメンバーたち
オンライン取材に応じるPenthouseのメンバーたち

YouTubeが合っていた

スケジュール調整の大変さなどから定期的なライブが難しい一方、YouTubeでの動画配信を活発に行ってきたPenthouse。なかでもOfficial髭男dismの「Pretender」とKing Gnuの「白日」をマッシュアップした曲は50万回以上も再生されています。

――YouTubeで多くの人に見てもらって、変わったことはありますか?

浪岡:いや、もうちょっと多く見られたいですね。「もうちょっと、やんなきゃな」という思いの方が強くなりました。本当はオリジナル曲を聴いてほしいけれど、それでは聴かれないから、きっかけ作りにカバーなどもあげている。それならば、もっと聴いてもらわないとって思いました。

大島:確かにYouTubeで見られるために、SNSでどういう発信をするのか、自分たちをどうみせていくのかということは考えるようになりました。動画を「もう一回見たい!」と思ってもらう「自分たち(Penthouse)との接続性」をいかに感じてもらうかは意識しています。

平井:あとは、見た目を気にするようになった人は多くなった気がします笑。僕もこのバンドを始めてから服を買い集めるようになりましたから。人に見られる以上はレパートリーを増やすように心がけるようにしましたね。一番心がけてほしい方の服だけなかなか増えないんですが……。

矢野:そうですね。動画を見てもらえればわかるんですけれど、浪岡君は何種類かに絞られます。

――新型コロナの影響で活動がしづらいことはあるんですか?

浪岡:このバンドは、メンバーで曲のミックスも動画編集も自分たちでできるというのは良いなと思っていて。いまの時代に合っているというか。ライブができなくても、別の活動の仕方を模索できる手広さがあるのは良いところですよね。

適応しながら愛されるバンドに

――この夏、大仕事を果たしたPenthouse。これからはどんなことに挑戦するのでしょうか。

Cateen:みんな働いている中で、学生時代のまま仲間と楽しく音楽をやるというライフスタイルを、社会人もそうだし、これから社会人になる人でも良いし、こういう音楽の楽しみ方を提示できればいいと思います。

平井:思いは今、角野が言ったとおりで、具体的にはオリジナルの曲を増やして出す。最近は新曲をつくることに力を入れているので、それをばんばん出して聴いてもらえれば良いなと思います。

大島:コロナ禍でそれぞれのメンバーと私が語り合うインスタライブを開いたりして、それぞれのメンバーのファンができたりして。普段の活動ができなかったことでできたこと、生まれたこともある。このバンドは次に何をするのが最善なのか、足を止めず前に進み続ける力がある。そういった形で世の中が変わってもうまく適応しながら愛されるバンドになっていけば良いなと思います。

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