ネットの話題
ロシアの牛乳パック、青いネコが話題に 誕生秘話を作者に聞いた
「分断されがちな今だからこそ…」と語った作者の思い
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ロシアで売られている牛乳パックが「かわいい」と、日本のツイッターユーザーの間で話題になっている。愛くるしいネコのイラストが側面にまたがって描かれており、パックを四つ並べるとネコ全体の絵柄ができあがる仕掛けになっているからだ。
イラストの誕生秘話を、デザインしたロシア人の女性に聞いた。
注目されているのは、ロシア西部の都市ブリャンスクにある大手乳製品メーカーが製造・販売する牛乳のパック(1リットル)。青いネコがパッケージの側面にわたって描かれている。
ネットでは8月下旬に話題になり、「かわいい」「牛乳いっぱい飲んじゃいそう」など好意的な反響が相次ぐ。
デザインを手がけたのは、企業のブランド戦略を考案する会社「depot」(モスクワ)。中心になったのはアートディレクターのベラ・ズベレワさんだ。
ズベレワさんによると、モデルになったのは自身が飼っている雌ネコの「ブリュンヒルダ」だという。
「クライアントの製品はすでに有名でしたが、デザインが少し古くなっていました。青を基調にした元々のイメージを保ちつつ、刷新するにはどうしたらいいか。そこでインスピレーションをもらったのが、ブリュンヒルダだったんです」
ブリュンヒルダはズベレワさんが自宅のiMacで作業をしているときは、机の上に寝そべってじっと見守ってくれているという。
「ロシアの乳製品はたいてい、牛や草原、田舎の家をモチーフにしたパッケージばかり。競争が激しい中で差別化するには、そうしたステレオタイプなイメージから離れる必要がありました。その上で、丁寧に、真心を込めて作っている製品だということを伝えるためには、『快適』『温かさ』『親切』を表現できるデザインが必要でした。いつも私のそばにいて、寝そべったり、ミルクを飲んだりするブリュンヒルダはそれにぴったりで、家庭的なもの、居心地のよさを感じたのです」
パッケージが新装された製品は6月からロシア各地のスーパーマーケットや商店などで販売が始まった。「ミルグラッド」という同じブランド名で展開されている飲むヨーグルトやケフィール(乳酸飲料)なども、同じデザインのパッケージに新装されたという。
ツイッターで自分のデザインが拡散し、とりわけ日本のユーザーから大きな反響を得たことについて、ズベレワさんは「とてもうれしかったです。behance(世界のクリエーターが作品を公開し合うSNS)などでも数千件のコメントをいただき、有頂天になりました。。自分のやってきたことは正しかったんだなと思えました」と喜ぶ。その上で、こうも話した。
「国境を越えて人と人とを近づけるデザインの力というものを改めて実感しました。世の中が何かと分断されがちな今、特に大切なことですよね」