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熱中症対策、マスクはしていい? コロナ禍での決断、専門家の見解

「暑さ指数」の意味、車中泊の怖さ

熱中症対策の中、マスクはしていいの?専門家の見解を聞きました
熱中症対策の中、マスクはしていいの?専門家の見解を聞きました

目次

連日、コロナ感染の増加、そして、猛暑による熱中症に関して様々なメディアで報道されています。具体的な対策は紹介されているものの、結局どうすれば良いのかわからないという声を聞きます。そこで、前回、「コロナ禍でもすぐできる!大雨&台風への備え2020年度」を作ったメンバーと熱中症の対策集もつくろうという話になりました。今回は熱中症対策として「医療の翻訳家」の市川さんも加わって、コロナ感染と熱中症の二つをどのように考えていくかまとめました。まとめる中で、気付いたことなどを中心に記事にしたいと思います。(FUKKO DESIGN 木村充慶)

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今年はお盆にかけて暑さがピーク

コロナ感染者が全国的に増加する不安の中、梅雨が明け、連日、猛暑が続いており、熱中症に不安を抱える人も多いでしょう。

テレビやネットなどのニュースではコロナ禍で、熱中症の対策が連日紹介されています。気象庁によると、今年はお盆にかけて暑さがピークを迎えるそうです。

一方で、「暑さ指数」や「熱中症警戒アラート」などの用語についていまいちピンときていない人も少なくありません。そして今年は新型コロナウイルスの感染対策も考えなければならず「結局、マスクを着用するべきか、熱中症のためには、はずすべきなのか」判断がつかないケースも出ています。

そんな熱中症に関する身近な不安や悩みにこたえる情報をまとめられないか。気象や災害、医療の専門家が集まり作ったのが「熱中症への備え2020年版」です。

メンバーは、雲研究者の荒木健太郎さん、災害支援団体JVOAD明城徹也さん、元内閣防災官房審議官の佐々木晶二さん、デザイナー、コピーライター、筆者に加え、「医療の翻訳家」として『教養としての健康情報 「それ」本当に信じていいですか?』の著書もある市川衛さんに入ってもらい、7人でコロナ禍における熱中症対策集を作りました。

「暑さ指数」って何?

熱中症対策といっても、聞き慣れない言葉が少なくありません。連日ニュースで取り上げられている「暑さ指数」について。

「暑さ指数」は、気温だけでなく、湿度、日射・ふく射(簡単に言うと、物から放出されるエネルギー)など熱に関する環境をもとに計算した目安です。

「単位が度ということで気温と勘違いされる方が多いのですが、気温だけでなく、色々な環境を統合して出した数値であり、気温と異なるので注意してください」と雲研究者荒木さんは指摘します。

最近ではテレビやネットの気象予報でも紹介されていますが、自分の住んでいるエリアの暑さ指数を知りたければ、環境省のWebサイトや、NHKやヤフーのスマホアプリで確認できます。

荒木さんは「暑さ指数や気温はあらかじめ確認できる情報なので、事前にしっかり見るようにしましょう」と注意を促します。

また、関東甲信地方の人はニュースで「熱中症警戒アラート」という言葉をよく聞くと思います。今年からスタートした警戒情報ですが、これも暑さ指数がもとになっています。

暑さ指数が33度以上になると予想された場合に発表されます。関東甲信地方の方はチェックしましょう。

【暑さ指数の目安】
・注意=21度から25度
・警戒=25度から28度
・厳重警戒=28度から31度
・危険=31度以上

【気温の目安】
・夏日=最高気温が25度以上の日
・真夏日=30度以上の日
・猛暑日=35度以上の日

コロナ禍での熱中症対策

連日、猛暑が続いており、最高気温が35度を超える日もある一方で、新型コロナウイルスの感染は全国的に増加しています。

「結局、マスクはつけるべきか」という議論がよくされています。もちろん、状況によって異なり、どちらが正解ということはありません。

ただ、「医療の翻訳家」の市川さんは「周囲に人がいないときまでマスクをつける必要はありません。私は暑さに我慢がならないときは、状況を見てマスクを外すようにしています」と話します。

もちろん、マスクをはずすときは周りに感染させないよう、しっかりソーシャルディスタンスを保つことが大事になります。また、マスクを着用しなければいけない時は激しい運動は避けたり、こまめに水分をとることを心がけましょう。

コロナ対策としてよく紹介される室内での換気ですが、ここにもポイントが。もちろん、家族以外の人と狭い室内に集まるときなどは、ウイルスが持ち込まれる可能性もあるので換気が大事です。しかし、例えば一日中外出せず、外部から誰も訪問者のない高齢のご夫婦のお部屋では、少なくとも新型コロナ対策という意味では換気の意義は少なくなります。むしろ換気にこだわるばかりに室温が上昇すれば、熱中症が心配になります。

市川さんは「高温時に換気をすると、エアコンを使ったとしても室内の温度は高くなりがちです。状況や気温を見て、柔軟に考えることが大事です」と指摘します。

熱中症とコロナ感染の違い

「熱中症とコロナ感染は症状が似ている」ということもニュースでよく紹介されています。共通の症状としては、発熱、頭痛、疲労感・倦怠感(けんたいかん)・吐き気、筋肉痛・関節痛などがあると言われています。

一方で、味覚障害、嗅覚障害(きゅうかくしょうがい)、呼吸器症状(息苦しさ、咳)などは新型コロナウイルス感染症に特徴的な症状と言われています。

もちろん、まだ新型コロナウイルスの実態がわかっていないので断定はできませんが、現状わかっている共通の症状や異なる症状を知ってことは早期に感染を知るきっかけになるでしょう。

熱中症リスク高まる「車中泊」

「令和2年7月豪雨」では、コロナ禍の中、たくさんの人が避難所生活を強いられました。今後も、災害によって自宅が住めない状態になる人が出てくるかもしれません。

避難生活で、特に注意すべきは車中泊です。車中泊は今まで推奨されていませんでしたが、熊本地震以降、徐々に増えています。今回の豪雨では、コロナ感染を予防するため、多数の人がいる避難所ではなく、家族だけで過ごすことができる車中泊をする方は少なくありませんでした。

ただし、災害支援を行うJVOADの明城さんは「現状では車中泊を行う被災者への対応がしっかり行えていない場合もあり、支援が必要な場合は指定避難所にきて欲しい」といいます。

暑い日の車内は高温になるため、熱中症の危険度は極めて高くなります。室温が管理される避難所への非難が原則ですが、もし、どうしても車中泊を選択せざるをえない場合、市川さんは「必ずエアコンを利用し快適な温度にすること。また、こまめな水分補給を徹底するよう心がけていただきたい」と言います。

熱中症は気象災害

荒木さんが強調するのは「熱中症(酷暑)は気象災害」ということです。

「熱中症(酷暑)は年間約500人、多い年では1500人以上の方が亡くなる気象災害です」

一方で、地震などと違い、熱中症の危険度はあらかじめ予測ができます。事前に「暑さ指数」や気温をしっかりチェックすることを心がけることで自分の命を守ることができます。

同時に、他の自然災害と同様に、絶対的に正しい対策というのが多くないのも事実です。状況をしっかり把握して、最後は何が適切か自分で考え、そして行動することが大事になります。だからこそ、事前に最低限の知識をもっておくことが重要になります。

もうしばらく、暑さはしばらく続きそうです。最大限の注意をして乗り切りましょう。

【関連リンク】熱中症への備え2020年版

【プロジェクトメンバー】
・プロジェクトリーダー:木村充慶(FUKKO DESIGN /TBWA HAKUHODO) 
・アートディレクター:浜田智子(TBWA HAKUHODO) 
・コピーライター:大嶋美月(TBWA HAKUHODO) 
・デザイナー:西井真知子(イチロク)
・専門家メンバー:佐々木晶二(元内閣防災官房審議官)
・専門家メンバー:明城徹也(NPO法人全国災害ボランティア支援団体ネットワーク<JVOAD>事務局長)
・協力:荒木健太郎(雲研究者/気象庁気象研究所)
・協力:市川衛(医療の翻訳家)

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