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グルメ

姉妹品「アダルトドーナツ」も検討 定番駄菓子ヤングドーナツとは

ロングセラーの秘密を、駄菓子好きな記者が取材しました。

宮田製菓の「ヤングドーナツ」
宮田製菓の「ヤングドーナツ」

目次

 累計販売数が5億個を超えた定番の駄菓子「ヤングドーナツ」。作っているのは岐阜県各務原市に本社を構える宮田製菓です。姉妹品として「アダルトドーナツ」も検討されたというロングセラーの秘密を、駄菓子好きな記者(24)が取材しました。

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工場長の林康人さん、営業部長代理の池田和陽さん、常務執行役員の新美則康さんにお話をうかがいました。
工場長の林康人さん、営業部長代理の池田和陽さん、常務執行役員の新美則康さんにお話をうかがいました。

岐阜で作ってます


 小さなドーナツが4個並んで40円。昔ながらのフォントで書かれた「ヤングドーナツ」の文字に、見覚えがある人も多いのではないでしょうか。

 実は、ヤングドーナツは岐阜県各務原市に本社を構える「宮田製菓」の主力商品。ヤングドーナツ以外に、家庭向けの通常サイズのアソートドーナツや、キャラメルなども製造しています。

各務原市の「宮田製菓株式会社」=宮田製菓提供
各務原市の「宮田製菓株式会社」=宮田製菓提供


 「ヤングドーナツの知名度は高いですが、製造元が『宮田製菓』というのはあまり知られていないんです」。

 そう苦笑するのは、営業部長代理の池田和陽さん。長年各務原市に住む近所の人にもいまだに「良いにおいがすると思ったら、あのドーナツここで作ってたの!」と驚かれるのだとか。

「対策として、本社の外壁にヤングドーナツの画像をペイントしました(笑)」=宮田製菓提供
「対策として、本社の外壁にヤングドーナツの画像をペイントしました(笑)」=宮田製菓提供

ヤングドーナツとは


 宮田製菓は、1950年にキャラメル作りの個人営業店として、名古屋市中村区に創業。71年からドーナツの製造を始め、事業規模の拡大に伴い、現在は岐阜県各務原市に移転しました。

 ヤングドーナツが発売されたのは、約30年前の89年。小さなドーナツを、4個ずつパッケージに入れ、手頃な価格で販売したところ、ヒットしたといいます。子どもにも手に取りやすい価格で買える本格的なドーナツは、当時は珍しかったそう。

 ラムネやアメなど日持ちのする製品が大半を占める駄菓子業界では、半生菓子は商品管理の手間がかかるため敬遠されがちでした。ですが、子どもたちの間で徐々に人気を集め、「ああ、あれね」と、店頭にも置いてもらいやすくなったそうです。

プチサイズのドーナツがずらり。商品はすべて本社横の工場で製造しています。
プチサイズのドーナツがずらり。商品はすべて本社横の工場で製造しています。

「アダルトドーナツ」案も


 製造32年目を迎えるヤングドーナツですが、発売当初から味はほとんど変わっていません。主な材料は小麦粉、砂糖、蜂蜜、卵。

 「ファンの人にずっと手にとってもらえるよう、パッケージの変更も気付かれない程度に留めています」と池田さん。

 今では1日平均で4~500ケース、約8万個を全国に出荷するまでに。「駄菓子ドーナツ」の定番の座を獲得しました。

直径は8センチほど。ボリュームたっぷりです
直径は8センチほど。ボリュームたっぷりです


 定番の味を守り続ける一方、新商品の開発にも日々取り組んでいます。

 すっかり定番商品感を醸し出しているこの「ビッグドーナツ」。実は2018年に発売した新商品です。

 「大きいサイズのドーナツをたっぷり味わいたい!」という夢と「手を汚さずに食べたい」という要望に応えるため開発されました。

 ヤングドーナツの姉妹品的なポジションとのことで、企画当初の商品名は「アダルトドーナツ」との案もあったそう。

 しかし「さすがに『アダルト』は…」と廃案に。見た目のインパクトと親しみやすさから『ビッグドーナツ』と命名されました。

 パッケージにどこか既視感があり、取引先からのウケもいいそうです。

 「大手の菓子メーカーはどこまでも巨大。中小の製菓会社が生き残るためには、大手ではできないことを突き詰めてやらなくてはいけないんだと思います。世代を超えて手にとってもらえるよう、伝統の定番商品を守っていくことも、その一つだと考えています」と常務の新美則康さん。

「鬼ロック」なテーマソングが爆誕


 伝統を守り続ける宮田製菓。ですが課題はやっぱり会社の「知名度」とのことで、最近はPR活動にも力を入れています。

 中でも目玉は、製菓会社のものとは思えない「鬼ロック」なテーマソングができたこと。神奈川出身の2人組ガールズバンド「ザ・ヒーナキャット」が製作。かき鳴らすエレキギターとベースに、激しいドラムが重なります。

 

出典: YouTube


 ヤングドーナツ ヤングドーナツ ヤングドーナツ ミヤタ~♪ この歌、かなり耳に残ります。



 きっかけは、ザ・ヒーナキャットの2人が公式ブログで「ヤングドーナツが好き」と投稿しているのを宮田大司社長が発見したことだそうです。

 ザ・ヒーナキャットの2人にヤングドーナツを差し入れたところ、お礼にテーマソングが録音されたCDが届いたのだとか。

 社員一同仰天し、会社のテーマソングに採用したいと即決でオファー。今年2月にリメイク版のレコーディングが完了し、Youtubeでお披露目しました。

 現在、宮田製菓本社の電話の保留音もこの曲に。保留に切り替わった瞬間、爆音でロックなテーマソングが流れます。

新美常務、発見!華麗なドーナツのポーズを披露。中央は宮田大司社長です。
新美常務、発見!華麗なドーナツのポーズを披露。中央は宮田大司社長です。


 昨年、ヤングドーナツの発売30周年を記念して、グッズやドーナツなどの詰め合わせのプレゼント企画を行ったところ、沖縄から北海道まで、多数の応募があったそう。

 「小さなお子様から『おいしかったです』とひらがなの手紙が来たり、年配の方から達筆で『いつもいただいています』とお礼が届いたり。色々な人の手元に届いていると改めて気付かされました」と池田さん。

 「これからも、『ついつい手がのびる、おなじみのドーナツ菓子』として、変わらず愛される商品を作っていきたいと思います」

ヤングドーナツ豆知識

 【1】ヤングドーナツには、プレーン味のほかに、「チョコ味」も。プレーンは4個入りなのに対し、チョコ味は5個入りです。

ヤングドーナツ「チョコ味」
ヤングドーナツ「チョコ味」


 【2】ヤングドーナツには「ヤングくん」というマスコットキャラクターも。10年ほど前に誕生し、商品PRを担当しています。実は2020年1月から、商品パッケージにも登場。「パッケージは久しぶりのデザイン変更でしたが、あまり気付かれませんでした」

新登場のヤングくん。よく見るとプチサイズのドーナツを手に持っています
新登場のヤングくん。よく見るとプチサイズのドーナツを手に持っています


 【3】宮田製菓の社章も実はヤングくん。池田さんの胸元にも、ヤングくんが輝いています。

「取引先と話していると、微妙に視線が合わないな、と思うことがあります(笑) このピンが気になるみたいで(笑)」
「取引先と話していると、微妙に視線が合わないな、と思うことがあります(笑) このピンが気になるみたいで(笑)」

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