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初めてほめられた祖母の絵、作家のツイート大反響「なにかジーン…」
「何も得意なことがない子どもだった」頃、描いた祖母の絵

「ジーンとするものがある」祖母の絵に反響集まる
何も得意なことがない子供だったのですが、当時先生にえらい褒められて、まさか?俺にむいてることがあるのか…?と思ったのでした
多くの人の心を動かした高校時代の作品は、どのような思いで描かれたものだったのでしょうか。「昔のことでだいぶあやふやですが」としながらも、作者の橋さんは当時のことを教えてくれました。
「いつも優しくて大好き」祖母の写真をもとに
水彩画の題材にしたのは、その少し前に亡くなった祖母の写真でした。橋さんは祖母のことを「いつもニコニコしていて、めちゃくちゃ優しかったです。誰からも好かれていました」と振り返ります。橋さんにとっても、「いつも優しくしてくれて大好き」な存在でした。
88歳で亡くなるまで、「怒鳴ったり怒ったりしてるのを一度もみたことがなかった」というほど、穏やかな祖母。祖母の写真が本に載ったことがあるそうですが、「ラブリーエンジェル」と書かれた似顔絵が送られてくるほど、その笑顔には人を惹き付ける魅力がありました。
小中高「絵を得意だと思うことはなかった」
その後も絵を描くことは好きだったそうですが、「得意ではなかったです」。というのも、当時の橋さんは、クラスなどの周囲には「もっと上手い人」がたくさんいると感じていました。

「小中高と絵を得意だとか自分で上手いと思うことはなかったです」といい、高校では部活に所属せず帰宅部に。学校を休みがちで、成績のために描いたのが今回の「祖母の絵」でした。
生まれて初めて感じた「向いてるのかな?」
ところが、近くにいた女性教師が橋さんの絵を見て、「これ〇〇が描いたのー?」「めっちゃすごい!めっちゃ上手!」「生きてるみたい!」と声を上げたそうです。すると、他の先生たちも集まってきて、橋さんは囲まれる形に。先生たちの感嘆の声を一身に浴びることになりました。
しかし、予想していなかった展開に、自分の中にも「生まれて初めて感じた」という気持ちが生まれました。「あれ?この絵そんな良かったかな?べつにとりわけ力入れたわけでもないのに」「ん?まさか向いてるのかな」 ……。
「向いてるか」より「好き」が強くなり作家に
話題となった祖母の絵は、パソコンのデータ整理していたら発見し、なにげなくツイートしたものでした。「意識している範囲では記憶にも残っていなくて、絵を見て思い出したくらいのものです」といいます。
「高校の時に『まさか?向いてるのかな?』と思って、何かしらうれしかったのは確かなのですが、そのうち絵が好きという気持ちの方がずっと強くなって、向いてるかどうかはどうでも良くなってしまいました」
描く上で強く衝撃を受けたのは、イラストレーターのいのまたむつみさんと天野喜孝さん。その天野さんが審査員を務めた1996年のメディアワークス「電撃ゲームイラスト大賞」で金賞を受賞。これを皮切りに、数々の賞を受賞していく中で、「描くのも見るのも読むのも、作るのも人よりだいぶ好きだし、これで生きていきたい……と思うようになっていました」。
反響「いいね」20万件「今後の創作に活かしたい」
「長いこと描いてますがこんなに反響があったことはないし、こんなに褒められたこともないです。大変うれしいのですが高校生のときの写真模写が一番受けるとは……と少し複雑でもあります。力の抜けた状態でかけた絵ではありますが、なにが良かったのか……ほんとに自分ではわかりません」
高校生の時に描いた祖母の絵
— 橋賢亀 (@katsukame) June 1, 2020
何も得意なことがない子供だったのですが、当時先生にえらい褒められて、まさか?俺にむいてることがあるのか…?と思ったのでした pic.twitter.com/Xuuf4fBwnc
橋さんにとっても人に伝える表現について考える機会となり、「今後の創作に活かしたい」といいます。「絵や本は今ではほんとに好きなのでずっと生涯の仕事として関わっていきたいです」