ドラムメーカーが消毒液スタンド「音楽の力」
それは、2枚のシンバルとペダルが組み合わさったドラムセットのひとつ「ハイハット」のスタンドと、スティックなどを置く「テーブル」を合体させた「消毒液スタンド」です。踏み込むことで2枚のシンバルが開閉するペダルの仕組みを使って、ノズルに触れることなく消毒液を射出することができます。


どのようにしてこの商品が生まれたのか、パールの担当者に聞きました。
厳しい音楽業界「何かお役に立てられれば」
でも、どうしてドラムメーカーが「消毒液スタンド」を? 異例の商品化が実現した背景には、音楽業界を取り巻く厳しい状況がありました。
「新型コロナウイルスの感染拡大によって、私たちがお付き合いのあるアーティストの方もライブ活動ができなくなり、ライブハウスも厳しい意見にさらされるなど、音楽業界全体が苦しい立場にあります」
プロのアーティストだけではなく、中高生などが参加する吹奏楽コンクールも中止が決定。その影響は街の楽器店にも伝わっています。各所の苦しい声を聞く中で、「何かお役に立てられれば」という思いを強くしたといいます。

SNSなどで一般の方が自作した消毒液スタンドが注目されていることについては、「社内でも話題になっていた」という担当者。「我々が0から生み出したアイディアではないのですが、社としてご提案することによって、消毒や二次感染を予防する意識を高めることができたらという思いがありました」
数々のアーティストが使ってきた信頼性と耐久性
ハイハットをアレンジした「消毒液スタンド」は、ドライバーなどの工具が不要で、楽器になじみがない人でも組み立てやすくなっています。また三脚タイプのため、折りたたんで持ち運ぶことができ、さまざまなシーンで利用できるのではという期待も込められています。
その上、これまで数々のアーティストが演奏で使用してきた信頼性と耐久性。消毒液のために作った製品ではありませんが、「長年踏んでいるものですので」という自信もあります。ドラムに触れたことがない人にとっても、楽器という夢のある商品に出会う機会にもなるはずです。

収束の先に「ライブ活動の再開」願う
中には、右足でペダルを踏んでいるイメージ写真に「ハイハットだから左足で踏むのでは」という反応まであったそうで、「細かいところまで見ていただいているなと感じます。もちろん、利き足で踏んでいただいて大丈夫です」。
