MENU CLOSE

マンガ

190481

「もうセーラームーンやめる」今ならわかる、母が見せた怒りの理由

あなたはいつ、あの頃の「好き」を手放しましたか

さざなみさん(@3MshXcteuuT241U)の漫画「母とセーラームーンと私」
さざなみさん(@3MshXcteuuT241U)の漫画「母とセーラームーンと私」 出典: さざなみさんのツイートより

目次

幼い頃、時間を忘れるほど夢中になったアニメや漫画も、成長するにつれていつしか興味がなくなってしまいがちです。時には、別のものに興味を奪われていく周囲とのギャップから「もう子どもじゃないんだから」と自分で断ち切ってしまうことも……。「もうセーラームーンやめる」と口にした時、母親に言われた言葉を描いた漫画がツイッターで話題です。あなたはいつ、あの頃の「好き」を手放しましたか。過ぎ去った記憶を掘り起こし、大切なことを教えてくれる、母娘の思い出を描いた作品です。

漫画「母とセーラームーンと私」

ツイッターで話題となっているのは、ninaruポッケなどで連載を持つさざなみさん(@3MshXcteuuT241U)の漫画です。人気作品「美少女戦士セーラームーン」に夢中だった、幼い頃のさざなみさんのエピソードが描かれています。
出典:さざなみさん(@3MshXcteuuT241U)のツイート
「子どもの頃 私の世界は セーラームーン一色だった」

当時6歳のさざなみさんは、漫画のようなセーラームーンたちが描きたいと、模写に明け暮れていました。それを見たさざなみさんの母は時々、人物の関節や服の形の不自然な部分などを説明してくれたり、ポーズのモデルをしてくれたり……。一緒に絵を描くことはなくとも、さざなみさんの感性を育ててくれていました。

そんな母に見守られながら、さざなみさんはセーラームーンとともに成長していきました。友だちができた思い出、絵を褒められた思い出、泣いた思い出さえも、そこにはセーラームーンがありました。
出典:さざなみさん(@3MshXcteuuT241U)のツイート
しかし、人との関わり方を学び、周囲の目も気になり始める多感な時期。幼い頃好きだったものを、そのまま好きで居続けるのは簡単なことではありません。小学校5年生になる頃には、周囲のお絵かき仲間も女児向けの作品を卒業し、少年漫画が中心になっていました。

「私も変わらなくちゃいけないのかな…」。そんな気持ちになった習い事の帰り道、母が運転する車の中でさざなみさんはつぶやきました。

「もう セーラームーンやめる」
出典:さざなみさん(@3MshXcteuuT241U)のツイート

「そんな風に言わんといて!」母が怒った理由

「あれ小さい子向けだったわ」「ピンクの髪とか青い髪とかありえんし」「うさぎって変な名前だし」……

一度口に出すと、せき止めていた不安や戸惑いがあふれ出るように、セーラームーンへの「悪口」は止まりませんでした。すると……。

「セーラームーンのことそんな風に言わんといて!」

聞いたこともない声で母が怒鳴ったのです。さざなみさんは驚き、「ごめんなさい」と謝りました。しかしこのとき、さざなみさんは母が怒った理由を理解できていませんでした。
出典:さざなみさん(@3MshXcteuuT241U)のツイート

少しだけ母の気持ちがわかった気がしたのは、さざなみさんが親になってからでした。さざなみさんが見つめる気には、何かに夢中になっている娘。漫画はこうしめくくられています。

その「何か」が 世間的に評価されるか 役に立つかどうかなどは関係ない

時間を忘れてのめり込む その情熱がただ誇らしく 愛おしい

あの一瞬、私をたしなめた時に 母が庇ってくれていたのは、
セーラームーンじゃなく、
セーラームーンを好きだった「私」なのだ

「忘れていたこの気持ち」反響集まる

さざなみさんの漫画をきっかけに、幼い頃夢中になったものを「卒業」した時のことを振り返る人も多いようです。「忘れていたこの気持ち」「私もからかわれて卒業してしまった」などのリプライが寄せられ、「いいね」も7万件以上集まっています。

1992年の連載開始から、漫画、アニメ、映画……さまざまな媒体でたくさんの子どもたちを魅了してきた「美少女戦士セーラームーン」。さざなみさんも夢中になったそのひとりでした。

出会いは、小学校に上がる頃に始まったテレビ放送。

「キャラクターの可愛さも魅力ですが、主人公が中学二年生で年齢が割と高いこと、ストーリーが壮大であること、怖いほど本格的な戦闘シーン、運命的な恋愛要素など、憧れる理由はたくさんありました」

家族がニュースを見るため、土曜夜の本放送が見れず、夕方の再放送で追いかけた思い出。この頃は、周りの女の子たちのほとんどが放送を見ていたそうです。
出典:さざなみさん(@3MshXcteuuT241U)のツイート
一方、さざなみさんの母の関心は「歴史や昆虫、世界の謎など自然科学方面」。「アニメーションや漫画のイラストに全く興味はありませんでした」というさざなみさん。覚えている限りでは、一緒に絵を描いて楽しむこともなかったそうですが、「私が何かを描こうとする熱意については常に支持してくれていました」と振り返ります。

作中にも登場する、スカートの構造のアドバイスをはじめ、人間の骨格や惑星の大きさなど、さざなみさんが悩んでいるタイミングで適切な助言をくれたといいます。

「イラスト風に描くにしても、きちんと本物の構造を理解して描くことが大切だと、早い時期に母から教えてもらいました。資料を借りるために毎週のように図書館に連れて行ってくれました」
出典:さざなみさん(@3MshXcteuuT241U)のツイート

ずっと記憶に残っている母の「悲しそうな声」

「セーラームーン」で喜び、悲しみ、知識も得て、世界を広げてきたさざなみさんでしたが、学年が上がるにつれて環境が変わっていきました。セーラームーンでできた友だちが、高学年になって次々と興味の対象を移していくことに、「とてつもない寂しさを感じていた」といいます。

「一番堪えたのは、同学年のお友だちが私に『なかよし』(雑誌)の付録ををどっさりとくれた時です。セーラームーンのカラー表紙の切り抜きや、特別なイラストの入った付録。その子の家に行くたびに見せてもらっていた宝物でした。もういらないから、と言って渡された時、嬉しいはずなのにどうしてこんなに悲しくなるのか自分でもわかりませんでした」
出典:さざなみさん(@3MshXcteuuT241U)のツイート
そして何かを「ディスる」ことがかっこいいと思いがちな年頃。彼女たちは「なかよし」や「リボン」(雑誌)を卒業するとき、「子どもっぽい」「内容がつまんない」「主人公が……」と作品を貶す言葉を残していったといいます。その度に、さざなみさんは自分に向けて言われているように解釈し、傷ついていました。

周囲の変化に戸惑い、置いていかれるような焦燥感で芽生える「変わらなくちゃいけないのかな」という気持ちは、誰しも経験したことがあるのではないでしょうか。気付くと、さざなみさんは自分が傷ついた言葉を、セーラームーンに向けて口にしていました。
出典:さざなみさん(@3MshXcteuuT241U)のツイート
「私は片付けしない、提出物も失くしがちな子どもだったので叱られることは多かった」というさざなみさん。その度に母は叱る理由を伝え、どうすればいいかもさざなみさんが分かるように示してくれていました。でも、「セーラームーンやめる」と伝えた日だけは、いつもとは違いました。

「悲しそうな声だな、と思ったのを覚えています」
出典:さざなみさん(@3MshXcteuuT241U)のツイート

あのときの感覚が蘇る…子育ては「人生のツアー」

さざなみさんはいま、4歳と1歳の姉妹を育てる母になりました。当時は掴みかねていた母の真意も、娘が成長し、熱中する対象が生まれてきたとき、やっと合点がいったといいます。

「娘の熱意の対象が、私の本来の興味の的から大きく外れていたとしても、娘を生き生きと楽しませてくれることに感謝を捧げたいと思うし、支持してやりたいと、自然に思ったのです」
出典:さざなみさん(@3MshXcteuuT241U)のツイート
「子育てをしていると、自分の子どもだった頃の情景が鮮やかに思い出される瞬間がある」というさざなみさん。「それは自分でも思いがけないほど強く生々しい感情とともに蘇ります。娘の成長に合わせて、もう一度人生のツアーをしているようです」

「プリキュア」などの絵を真似して描き始めた娘に自分が重なり、思い出したのはあの出来事でした。

「車の中で窓越しに見ていた雨粒や、母の悲痛な怒鳴り声、車内のお通夜のような雰囲気。当時の母の感情を、今ならなんとなく想像できるな……と思って描きました」

「もしも娘が好きだったものをやめると宣言したら…」

子どもが成長する上で、それまでの自分を否定したり、興味の対象が移ったりすることはよくあることなのかもしれません。しかし、「親からすると生まれてきて今現在に至るどの一瞬も、無駄だったり消したり、なかったことにしていい瞬間はありません」とさざなみさんは言い切ります。

「もしも娘が好きだったものをやめると宣言したら、身を切られるように辛く感じると想像できます。その気持ちをそのまま伝えて、私自身の体験についても話してみたいと思います。素直に聞いてもらえるような親子関係を築いていたいです」
出典:さざなみさん(@3MshXcteuuT241U)のツイート
さざなみさんのツイートには、周囲の雰囲気によって、ずっと抱いてた「好き」を手放した経験を明かすツイートも寄せられました。「苦い体験を多くの方がされてきたことに私も共感しました」とさざなみさん。

「30代くらいの方でしょうか、『セーラームーン世代』の方からも、漫画の中の親子どちらの気持ちも分かると言っていただけたことも嬉しかったです。好きなことはずっと好きでいていい、という言葉が力強く、そこに『いいね!』が沢山集まっていることにも励まされ、明るい気持ちになれました」

関連記事

新着記事

PR記事

コメント
CLOSE

Q 取材リクエストする

取材にご協力頂ける場合はメールアドレスをご記入ください
編集部からご連絡させていただくことがございます