連載
#26 ○○の世論
安倍政権に「ちょっと驚き」の批判 世論調査が示す公明支持層の評価
コロナ対策、全体平均より厳しかった項目
新型コロナウイルス対策として、全国民に一律10万円が配られることになりました。当初は、減収世帯に限って30万円を支給する方針でしたが、安倍首相が急きょ政策を変更することになった背景には、連立与党を組む公明党の突き上げがあったと言われています。公明党の支持層と安倍政権の距離感を朝日新聞の世論調査から探ってみました。(朝日新聞記者・君島浩)
まず、新型コロナへの政府対応に対する評価を比べてみます。
4月の調査では、政府の対応を「評価する」は33%に落ち、半数以上が「評価しない」と答えました。
これを支持政党別にみると、自民支持層は「評価する」が全体の数字を大きく上回っています。
一方、公明支持層は2月、3月は自民支持層に近い結果でしたが、4月になると、「評価する」が39%まで落ち、自民支持層から離れて全体に近い数字になりました。
政府の対応に公明支持層が不満を募らせた様子が分かります。
公明支持層の厳しい視線は、安倍首相にも向かっていることがうかがえます。
【安倍首相は、すべての世帯へ布製のマスクを2枚ずつ配ることを発表しました。あなたは、この布製マスクの全世帯への配布を評価しますか。評価しませんか。(2020年4月調査)】
・評価する(全体)32%/評価しない(全体)63%
・評価する(自民支持層)47%/評価しない(自民支持層)50%
・評価する(公明支持層)32%/評価しない(公明支持層)60%
首相の指導力に対する評価は、全体平均よりも、公明支持層の方がやや厳しいほどでした。ちょっと驚きです。「アベノマスク」に対しても、自民支持層とは異なり、厳しい評価を下しています。
公明支持層の政権への厳しい視線は、新型コロナ対応だけに限りません。
4月調査で、森友学園をめぐる公文書の改ざん問題について「自殺した近畿財務局職員が、改ざんは財務省幹部の指示だった、と書き残した手記を遺族が公表しました。あなたは、政府はこの問題を再調査するべきだと思いますか」と聞いたところ、公明支持層の73%が「再調査するべきだ」と答え、「その必要はない」はわずか8%でした。
公明党は結党以来、「クリーンな政治」を掲げてきただけに、疑惑・不祥事に対しては、厳しいようです。
2020年2月の調査でも、「桜を見る会をめぐる一連の問題について、国会での安倍首相の説明に納得できますか」との質問に「納得できる」と答えたのは、自民支持層が23%だったのに対し、公明支持層では1割にとどまりました。
前回衆院選のあった2017年10月から今年3月まで計30回の調査で、安倍内閣の支持率は平均41%でした。
自民支持層では平均で80%が安倍内閣を支持しているのに対し、公明支持層は53%で、全体よりやや高い程度でした。
2020年4月の公明支持層の内閣支持率は49%。3月に続いて4割台でした。2カ月連続で5割を切ったのは、森友・加計問題に対する世論の批判が高まった2018年3月~7月の調査以来です。
一方、2020年4月の調査で、公明党の政党支持率は5%(3月調査は3%)で、野党第1党の立憲民主党の5%(同6%)に並びました。存在感を増してきた公明支持層にしばらくは目が離せません。
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