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街を歩くふたり、相手に傾けた傘「自分が濡れるよりは…」 夜廻り猫

傘をさしている女性2人。相手の方に傾けていて……
傘をさしている女性2人。相手の方に傾けていて…… 出典: 夜廻り猫

「あのひとはぬれても寒くないのか?」――。「ハガネの女」「カンナさーん!」などで知られる漫画家の深谷かほるさんが、SNSで発表してきた「夜廻り猫」。今回は、傘1本で街を歩く女性2人のエピソードです。

「友達が濡れるよりも、自分が」

みぞれの降る、寒い夜。街を回っていた猫の遠藤平蔵は、胸元に抱いた子猫の重郎に「濡れるからもぐっておれよ」と声をかけます。

すると重郎が、「あのひとぬれておる」と前方を歩く女性2人を指さします。背の高い女性が、もうひとりの女性に傘をかたむけていました。

「あのひとはぬれても寒くないのか」と尋ねる重郎に、遠藤は「寒いさ でも友達が濡れるより自分が濡れるほうがいいんだろうな、優しい人だ」と答えます。

重郎は「えんど(遠藤)もぬれてる やさしいねこだ」と笑いかけます。

遠藤は照れながら、「だって重郎はたからものだもん」と応じるのでした。

「穏やかな世の中が続いてほしい」

作者の深谷かほるさんは、街で実際にそんな女性2人を見かけて、「こんな穏やかな世の中が続いてほしい」と感じたそうです。

深谷さんは「作家の五木寛之さんのインタビューで、忘れられないことがあります」と語ります。

五木さん家族は終戦を朝鮮半島で迎え、壮絶な引き揚げ体験をしたそうです。

「たとえば小さな子どもが現地の人にお芋を恵んでもらうと、親が子どもを殴ってそれを奪ったそうです。さまざまな戦争文学や映画にも、人間性がいかにもろく、弱いものかが描かれてますよね」と深谷さんはいいます。

「平和の中で生きてこられた我々は恵まれていたんだな、あまりにもたくさんの先人の傷と反省によって、今まで守られて来たんだなと思います。この平和を、なんとか守りたいです」と語っています。

【マンガ「夜廻り猫」】
猫の遠藤平蔵が、心で泣いている人や動物たちの匂いをキャッチし、話を聞くマンガ「夜廻(まわ)り猫」。
泣いているひとたちは、病気を抱えていたり、離婚したばかりだったり、新しい家族にどう溶け込んでいいか分からなかったり、幸せを分けてあげられないと悩んでいたり…。
そんな悩みに、遠藤たちはそっと寄り添います。遠藤とともに夜廻りするのは、片目の子猫「重郎」。SNS上では、「遠藤、自分のところにも来てほしい」といった声が寄せられ、人気が広がっています。

     ◇

深谷かほる(ふかや・かおる) 漫画家。1962年、福島生まれ。代表作に「ハガネの女」「エデンの東北」など。2015年10月から、ツイッター(@fukaya91)で漫画「夜廻り猫」を発表し始めた。第21回手塚治虫文化賞・短編賞を受賞、単行本11巻(講談社)が2024年12月23日に発売。講談社「コミックDAYS 編集部ブログ」で月・金曜夜に連載中。スピンオフ「居酒屋ワカル」は講談社「コクリコ」で連載した単行本が2024年11月22日に発売。

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