まふぁーるさんの漫画「後ろから2番目の席」
「主人公のキャラ」をテーマにした今回、大賞に選ばれたのは「後ろから2番目の席」を描いたまふぁーる(mafarl)さんでした。

出典:コミチ
前から回ってきたプリントを一番後ろの席に回そうと振り返ると、そこには「さかな!!」とふざけたポーズの女の子が……。

出典:コミチ
ある日は風船を持っていたり、「ピロピロ笛」を吹いていたり、パペットで受け取ったり……なぜかプリントを渡すために主人公が振り返るタイミングで、何かしらの「ボケ」をかましてきます。
それを「ケンカを売られている」ととらえ、「だるい」と無視し続けていた主人公。「そもそも後ろ向かなきゃ良いんじゃね?」と気付き、少し心苦しく思いながらも渡すと、プリントを勢いよく手で挟む音が聞こえました。どんな状況でもアクションを起こす、不思議な女の子……。
「2人の日常」変化にキュンキュン

出典:コミチ
「なぜなら、自分がぼろ負けだってわかってるから」
プリントが回ってきたと思い、勢いよく手で挟んだ女の子。しかし、そこにあったのはプリントではなく、主人公の手。

出典:コミチ
少しずつ変化しながらも、2人の日常は続いていくようです――。

出典:コミチ
漫画に込めた思いを、作者のまふぁーるさんに聞きました。
「キュンキュン」が生まれるポイント
ストーリーには、審査員からも「キュンキュンした」という感想が寄せられました。まふぁーるさんにとって、「キュンキュン」が生まれるポイントは、日常の中にある「萌え」だと話します。
「もともとドラマチックな物語よりも、現実に起こりそうなものを描くのが好きなんです。物を拾ったとか、今回のプリントのようなシーンをきっかけに広がっていく漫画を描ければと思いました」

気をつけたのは「淡々と読める短さの中に、『萌え』を詰め込むこと」。あえて2人の結末を描かないことで、想像力をかきたてられました。また、描かれてる制服からも、2人の戦いが長きにわたって行われていたことも表現されています。

「漫画読まない」から、作品づくりに挑戦
しかし、それを発表すると冷たい意見や厳しいコメントも寄せられ、「負けず嫌いで続けてきました」と明かします。練習を積み重ねていくと、当初は絵の巧拙に終始していたコメントも、徐々に「おもしろい」「キュンキュンする」という作品全体へのフィードバックももらえるようになりました。
「それがうれしくて、今は作品をつくることが楽しいと思えています」

コロナ禍で「日常」も変化、そこから…
作中でも、「めんどくさい」と思っていた女の子も休みで会えなくなったことで、彼女が「日常」の一部になっていたことに主人公は気付きます。
「何気ない平凡な毎日こそ、今この世の中になってみると実は値段のつけられない一番価値のあるものだったんだなと思います」

作品を読む方に向けて、「学生でしか味わえないシチュエーションですが、こんなことがあったらな、青春だなと思って、くすっと笑っていただけたらうれしいです」と話しています。