マンガ
「私の家族はバイキンじゃない」配送員に除菌スプレー「諦めの境地」
玄関で考えてほしい、目の前の人も同じ人間であるということを

新型コロナウイルスの感染拡大で外出自粛が続き、通販やネットスーパーの需要が高まっています。物流に関わる人々によって、生活が支えられているのだと実感している方も多いのではないでしょうか。しかし、配達した玄関先でお客さんに「心ない対応」をされることもあるようです。配送員として働く夫の経験から、「私の家族はバイキンじゃない」と投稿された漫画が注目されています。漫画には「みんな同じ人間だということを考えていただけたら」という作者の思いが込められています。
「私の家族はバイキンじゃない」

しかし新型コロナウイルスの影響で、夫の仕事にも変化が起こっていました。
まず1つは「置き配」を利用するお客さんが増えたことです。「置き配」とは、玄関先などの指定した置き場所に荷物を置くという配達方法。配送員と接触しないため、互いに感染を予防する目的で需要が高まっています。

漫画では「置き配」について、「サインをもらう手間が省けるので これはかなりラク!」という渋谷さんの夫。しかし、コロナ禍での「変化」はこれだけではありませんでした。
ドアの向こうから「除菌スプレー」向けられ…

水やお米など重量のある荷物をはじめ、配達先の人々の生活を支える物資を運んでいるのに、むなしい思いをする機会が増えているのです。

「私の家族はバイキンじゃない 皆さんと同じ様に守りたいものがあるから旦那は外に出てくれている」
「外で働いている人がいるからこそ 私達の生活は成りたっている事を考えてみて下さい」
最後は「早くコロナが落ち着いて穏やかな日々が戻ります様に」という願いでしめくくられています。漫画には心ない対応を批判する声や物流を支える人々への感謝の言葉などが寄せられ、3.6万回以上のリツイート、「いいね」も6.9万件以上集まっています。
怒り越え、「諦めの境地」
「今の物流現場の現状を少しでも知ってもらい、夫の仕事のつらさを軽減できれば」という思いで漫画を描き、発信したといいます。

夫にとっても「自分が感染してしまったら」「家族や同僚にうつしてしまったら」という不安はぬぐい去れません。そんな中でも、家族の生活のために仕事をしています。さまざまな文化的、経済的活動が停滞している現在の情勢からも、「仕事があるだけまだありがたい」と話しているそうです。
「旦那をはじめ、外で働いてくださってる方々には感謝の気持ちしかありません。なかなか難しいとは思いますが、無理せずお体を第一になさっていただければ…と思っております」

目の前の相手には必ず人生がある
「でも、一瞬しか関わらないその人たちにも家庭や守りたいものがあって、その人にも人生があって、みんな同じ人間なんです」
「『自分の人生に関係のない赤の他人だから』と思わず、一瞬だけでもいいので『この人にもこの人の人生があるんだよな』と、この漫画をきっかけに考えていただけるようになってもらえればと思います」
私の家族はバイキンじゃない。コロナで過敏になったり不安になる部分があるのは判るけどそれは他人に強いて良い事ではないし、外で働いてくれる人たちのおかげで自分たちの生活が成り立っている事をよく考えて行動して欲しい。 #育児日記 #育児漫画 #やっぱり家が好き #育児 #日記 #コロナ pic.twitter.com/x43xLaX5gi
— 渋谷さえら (@voxxx) April 18, 2020
これまで経験したことのないような大きな脅威に対し、不安や恐怖心を抱えてしまうのは仕方ありません。しかし、その不安に耳を傾けすぎると、私たちのために仕事をしてくださっている人たちの大切さも見えなくなってしまいます。自分や家族の身を守ることだけではなく、この状況に対応してくださっているすべての人に敬意を払うことが、今私たちにできることのひとつなのです。