ネットの話題
「きんにくぱん」なぜ、作った? 老舗パンメーカー神戸屋の思い切り
「仕上がってるよ!」小豆は吹っ飛び、卵は割れる
「仕上がってるよ!!」。かわいらしいうさぎの顔とは裏腹に、ムキムキの筋肉の体のイラストがパッケージにプリントされたパン「きんにくぱん」が話題です。一体どうして「きんにく」? 販売する神戸屋に聞くと、100年以上続く老舗パン屋の中で生まれた「チャレンジ商品」でした。
ツイッターで話題となっているのが、パンや洋菓子などで知られる神戸屋の「きんにくぱん」です。かわいい顔に、小豆が吹っ飛ぶようなマッチョな体というアンバランスなキャラクターのイラスト。そしてストレートなネーミングはインパクト大。たびたび話題になるボディービル大会でのかけ声さながらの「仕上がってるよ!!」というセリフに、呼応するアカウントも続出しています。
新型コロナウイルスの話題が多いツイッターのタイムラインに突然現れた新星に、「暗いムードの中で、気持ちの休まる商品を出す神戸屋さんは偉い」というコメントも寄せられています。
しかし、どうして「きんにくぱん」なのでしょうか。販売する神戸屋に開発の裏話を聞きました。
神戸屋の企画担当者は、健康やダイエットに対する意識が高まっていることや、プロテイン(たんぱく質)を配合した商品が多く展開されていることから、「プロテインをパンにも取り入れてみよう」と開発したといいます。
「きんにくぱん」はピンク色のパッケージの「つぶあん」と黄色の「たまご」の2種類で、それぞれ含まれるたんぱく質の量は、10.1gと9.8g。同社のあんパン「丹念熟成つぶあん」(たんぱく質:8.4g)などと比べると確かに多いですが、飛躍的にたんぱく質を多く摂取できる訳ではありません。
担当者も「食べたからと言って劇的に筋肉がつくわけではない」としつつも、森永乳業が展開する「ミライプロテイン」を配合しているという特色を説明します。
とはいえ、こんなインパクト大の商品になったのはどうしてでしょうか。
神戸屋といえば、1918年創業の老舗パンメーカー。担当者も「歴史が長い会社ですので、真面目にパン作りを続ける中で、なかなかチャレンジングな商品を出す機会は少なかった」と語ります。
しかし、大阪に本社を置く土地柄もあり、「どうせなら面白く、楽しくやってみよう」と若手社員からのアイディアを取り入れ、文字通り直球の「きんにくぱん」が生まれました。イラストやセリフも、面白さを追求して採用したといいます。
ツイッターで話題になっていることについて、「私自身、正直とても驚いている」という担当者。4月1日から販売されている「きんにくぱん」ですが、特別PRする機会もなく、「最初のうちは残念ながら、ワゴンセールに乗ってしまっているという場面もあったので、『面白いノリだけでは難しいのかな』という個人的な思いもあった」と吐露します。
そんな中、購入された方のツイートが拡散され、多くの方が知ることになりました。「若手社員から『バズッっていますよ』と教えてもらいましたが、頭にクエスチョンマークが並ぶばかりで……」と驚きを隠しきれません。「かわいい」「面白い」などの反響を確認して、安堵しているといいます。
「弊社にこういった『攻めた』印象はあまりないのかなと思いますので、これをきっかけに新しいイメージも持っていただけるとうれしいです」
「きんにくぱん」は、4月の1カ月のみの限定商品です。関東・関西地方を中心に、主にスーパーで購入することができます。
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