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フィギュア選手、練習着にも「こだわり」 昔バブリー、今はスパッツ

ソチ五輪会場のリンクの感触を確かめる浅田真央=川村直子撮影、2014年2月6日、ロシア・アイスバーグ・スケートパレス
ソチ五輪会場のリンクの感触を確かめる浅田真央=川村直子撮影、2014年2月6日、ロシア・アイスバーグ・スケートパレス 出典: 朝日新聞

目次

フィギュアスケートシーズン。大会のテレビ中継を見ていると、女子選手の色とりどりの衣装が白のリンクに映えます。ところで、みなさんは練習着に注目したことはありますか。時々ニュースで練習風景を映すこともありますが、選手は普段はどんな練習着を着ているのでしょうか。私は1990年代~2000年代まで約15年間競技経験があります。練習着も、洋服のように流行が年代によって変わってきたように感じています。私自身の経験や取材をもとに、選手の練習着について深掘りしてみました。(朝日新聞大阪編集センター・橋本佳奈)

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あこがれたひらひらスカート

私がスケートにあこがれたきっかけのひとつは、くるくる回るたびにひらひらとなびいたスカート。

始めたばかりのころは買ってもらえず洋服のスカートを代用していました。早く本格的な練習着が欲しくてうずうずしたものです。

小学3年生で初めて購入したコスチュームは、ピンク色でパフスリーブ。短いスカートが付いていました。お姉さんになった気分でした。

安いものは1万円程度から

一般的な練習用コスチュームは、動きやすさ、扱いやすさを重視するため、水着のような伸縮性のある生地。スパンコールなど装飾は付いていないものがほとんどです。

インターネットにも練習着の専門店がいくつかありますが、市販のコスチュームは安いものであれば1万円しないものもあるようです。

私は市販のものを買うこともありましたが、先輩のお古をもらったり、母親の手作りを着たりすることも多かったです。

長野五輪のころの子どもたちの練習風景の写真を見ると当時、私もこのくらいの年齢で同じようなコスチュームを着ていました。

長野五輪のころの子どもたちの練習風景の写真を見ると当時、私もこのくらいの年齢で同じようなコスチュームを着ていました。(写真は長野五輪に向けてフィギュア選手候補の強化合宿で指導する伊藤みどりさん=1997年8月1日、長野県南牧村の帝産アイススケートセンター、野口隆撮影)
長野五輪のころの子どもたちの練習風景の写真を見ると当時、私もこのくらいの年齢で同じようなコスチュームを着ていました。(写真は長野五輪に向けてフィギュア選手候補の強化合宿で指導する伊藤みどりさん=1997年8月1日、長野県南牧村の帝産アイススケートセンター、野口隆撮影) 出典: 朝日新聞

1990年代はバブリーなデザイン

1990年代のコスチュームは肩が盛り上がったデザインが多かったように感じます。色も蛍光色や柄物などカラフルなものもありました。近年は生地に光沢のあるものや、ベロアなどバリエーションが増えたように感じます。

1995年の全日本選手権で優勝した横谷花絵=1995年1月21日、千葉県松戸市
1995年の全日本選手権で優勝した横谷花絵=1995年1月21日、千葉県松戸市 出典: 朝日新聞

バレエのレオタード

練習着では、フィギュアスケート専用コスチュームだけではなく、バレエの練習着もはやりました。私は中学生から高校生のころよく着ていました。

レオタード(スカートの付いていない水着みたいなもの)に、巻きスカート(スカーフのような薄い素材のもの)です。大人っぽくてかっこいいなと自分では思っていました。

トリノ五輪会場で練習する村主章枝=藤脇正真撮影、2006年2月20日、パラベラ競技場
トリノ五輪会場で練習する村主章枝=藤脇正真撮影、2006年2月20日、パラベラ競技場 出典: 朝日新聞
練習用コスチュームの変遷。1990年代はカラフルでパフスリーブが多かったですが、段々シックなデザインも増えました。バレエのレオタードも流行りました (イラスト=橋本佳奈)
練習用コスチュームの変遷。1990年代はカラフルでパフスリーブが多かったですが、段々シックなデザインも増えました。バレエのレオタードも流行りました (イラスト=橋本佳奈)

今はスパッツが主流

2000年代に入り、私が大学生の頃から長いスパッツの練習着がはやりました。現在も多くの選手が着用しています。

今は練習着の専門サイトでもよく見かけ、スポーツメーカーでも買うことができます。私はスポーツブランドのランニングウェアのコーナーで購入しました。

裾がぴったりしたものから、少し広がっているパンツスタイルのものなど、色々あります。

コスチュームはスカートが付いていて動きにくいため、スパッツの方を好んでいました。ただ、大会が近づいてくると、スカートに慣れるためにコスチュームを着て練習していました。

2019年の全日本選手権で初優勝した紀平梨花選手の母親・実香さんによると、紀平選手は中学生のころからスパッツで練習しているとのことです。動きやすさを重視し、人気の海外ヨガウェアのブランドをずっと愛用しています。

昨年の世界選手権で公式練習に臨む紀平梨花= 角野貴之撮影、2019年3月19日 、さいたまスーパーアリーナ
昨年の世界選手権で公式練習に臨む紀平梨花= 角野貴之撮影、2019年3月19日 、さいたまスーパーアリーナ
出典: 朝日新聞

紀平選手のライバルで「ロシア3人娘」の一人、コストルナヤ選手は、スパッツの上に短パンを履いています。

NHK杯の公式練習 で滑るアリョーナ・コストルナヤ=2019年11月21日、札幌市南区、日吉健吾撮影
NHK杯の公式練習 で滑るアリョーナ・コストルナヤ=2019年11月21日、札幌市南区、日吉健吾撮影 出典: 朝日新聞

ひざサポーターとスラパン

スケートは転んであざができるのは日常茶飯事です。初心者の頃はけがを防ぐため「防具!?」と思われるものをタイツの下に装着していました。

ひざを守るために、バレーのボール選手が使うひざ当てを着用。
尻もちをつくと、尾骶骨(びていこつ)がしばらく痛みます。スケート専用のおしりと太ももにスポンジのパッドの入ったスパッツをはいていました。いわゆる、野球のスライディングパンツのような形状のものです。

ただ、これらの装備は上達したら外しました。動きにくい上に、格好が悪いためです。

下だけスカート、肌色タイツ脚長効果

子どもでも着脱簡単、トイレに行きやすい!という理由で、つなぎのタイプではなく、下のスカート部分だけのコスチュームも人気で私も持っていました。

タイツは、大会では主に肌色を着用します。練習では黒色のスパッツも履いている子供たちも多かったです。

私が学生のころは、脚が長く見える、靴まで覆うものがはやっていました。村上佳菜子さんがソチ五輪で着用していました。

ソチ五輪女子SPの演技を終えて笑顔を見せる村上佳菜子=2014年2月19日、ロシア アイスバーグ・スケートパレス、飯塚晋一撮影
ソチ五輪女子SPの演技を終えて笑顔を見せる村上佳菜子=2014年2月19日、ロシア アイスバーグ・スケートパレス、飯塚晋一撮影 出典: 朝日新聞

上着も動きやすさ重視

ニットやベロアのもの、スパンコールの柄がついたものなど様々でした。

背中にイニシャルを刺繡(ししゅう)してあるかわいらしいものも。大学に入ると校名のかかれたジャンパーを着ます。市販のスポーツブランドのジャージーを着ている人もいます。

大会前日や当日に本番のリンクで練習する「公式練習」では、普段の練習着を着る選手もいれば、本番を想定した練習をするため、大会用コスチュームで臨む選手もいます。

小学低学年、初心者の頃の練習着はこんな感じでした。膝にサポーター、おしりにもガードも履いて転んだときの対策はばっちり。ちょっと上手くなると動きにくいですし、格好悪いので外しました(イラスト=橋本佳奈)
小学低学年、初心者の頃の練習着はこんな感じでした。膝にサポーター、おしりにもガードも履いて転んだときの対策はばっちり。ちょっと上手くなると動きにくいですし、格好悪いので外しました(イラスト=橋本佳奈)

選手のコスチュームには、それぞれのこだわりが現れます。それは練習着も同じです。

3月中旬からはカナダで世界選手権が開かれます。テレビのニュースでも放送される公式練習の様子で、気になる選手の「もう一つの勝負服」に注目してみては、いかがでしょう?

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