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靴が触れた子どもに「チェッ」中国人留学生が驚いた日本のルール
日本で暮らす外国人が抱える「素朴な疑問」には、日本で生まれ育った人にも勉強になる気づきがあります。「先進国なのに、なぜか電柱が多い」。「部屋干しが主流?」。女性のファッションについては「夏はロングなのに、冬は逆にミニ……」。中でも、驚きが多かったのが「電車マナー」でした。
話を聞いたのは、来日して2年程度の中国人留学生4人です。全員20代の女性で、キキスさん(Kikis、四川省楽山市出身、28歳)、アインさん(ayin、湖南省衡陽市出身、23歳)、クラシュさん(Crush、福建省アモイ市出身、23歳)、チンチーさん(qingqi 、浙江省金華市出身、22歳)。日本語学校のビザで来日し、大学院受験のため準備中です。
アインさんが驚いたのは「電柱が多い」ことです。
新宿、上野、池袋など、人が集まる繁華街でも、電柱がよく見かけます。電柱は、東南アジアの都市や、インド、あるいは中国の小さい街などでは目にしていましたが、「先進国の日本がこんなに電柱が多いことは不思議でたまりません」。
クラシュさんが気になったのは「窓をずっと閉めて、外に服を干さない」ことです。
テレビのCMでは部屋干しでも臭わない洗剤のものが流れ、「部屋干し」が多いことに驚きました。
中国では大都市のマンションでも服をベランダで干すが一般的です。
「防犯に役立つのかもしれませんが、ちゃんと乾くのか、心配です」
チンチーさんが気になったのは冬でもミニスカートをはく女性の姿です。
「冬にもミニスカートがはけるのは、日本の電車には十分な暖房が効き、座席の下から温風が送られるからでしょうか。ファッションを自由に楽しめることは、羨ましいです」
一方、クラシュさんは、校則ではスカートの丈が膝上のセンチメートルまで細かい規定があることに驚きました。
「日本の女性は前衛でありながら、保守的なのだと感じました」
日本のファッション全般については、中国と比べると「少し保守的」。
「冬のコートは日本だと落ち着いた雰囲気のグレー、ブラック、茶色、紺色が主流ですが、中国は赤、紫、青など鮮やかな色が多い気がします」
電車は驚きの宝庫でした。
まず、電車では絶対電話をしないこと。
チンチーさんは「電車では本当に誰も電話しないんですね。急用で電話が来ても、『申し訳ないですが、いま電車です』と言ったら、相手がきちんと理解を示してくれました。電車内でも気にせず電話で話す中国では考えにくいです」
混雑時のリュックの持ち方について話したのはアインさんです。
「中国ではスリ対策として、電車に乗る際にはリュックを前に抱える人が多いです。日本は安全なので、スリのことを気にせず、リュックを気軽に背負えると思いきや、毎日の通学時間は人が多いため、結局リュックを前に抱えなければならないです。せっかく日本に来たのに……」
そのほか、足を組んで座ることや、車内でお化粧をすることへの批判があることも驚きでした。
「中国で同じことをしても、みんな気にしません」(キキスさん)
それでも、平気で足を組んだり、お化粧をしたりする人もいることには「足を組むのはやはり行儀悪いと思います。ただ、揺れている電車でお化粧できる人は、やはりすごい」(クラシュさん)
キキスさんは「電車で目撃したショッキングなエピソード」を話してくれました。
男の子と女の子の2人を連れたお母さん。女の子が足を揺らし、靴が隣に座っていた男性のズボンに触れました。その男性は「チェッ」と不機嫌そうに舌打ちをしたのです。お母さんは謝りながら、女の子の靴を脱がせました。
「小さい子どもに、なんで、そんなに厳しいのか。これも日本の電車マナーなのでしょうか?」
普段、日本で暮らしていて「当たり前」だと思っていることも、来日したばかりの中国人留学生には新鮮に感じます。
その違和感は、ずっと住んでいる側の人間が忘れていただけのことで、向き合うことを避けていた問題かもしれません。
時々、新鮮な視点をもらいながら、「当たり前」を「当たり前」と思わず、改善できることがないか、考えてみることが大事なのかもしれません。
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