災害が起きると、全国からボランティアの人たちが駆けつける風景は当たり前のようになった。ボランティアの人たちには、尊い志と同じくらい、これまでの人生で積み重ねてきた専門的な知識や技術がある。筆者は、災害のたび各地で支援活動に関わってきた経験から、もう一歩、踏み込んだ支援の形がないか考えるようになった。2019年の台風19号で壊滅的な被害を受けた相模原にあるキャンプ場に、アイドルのマネジャー、アウトドアの専門家でもある広告クリエーター、元内閣府防災官房審議官と訪問。“新しい支援の形”を考えて実践する「FUKKO NEW CHALLENGE」をスタートさせる。(FUKKO DESIGN・木村充慶)
プロフェッショナルが集結
〈佐々木晶二〉元内閣府防災担当官房審議官。もともとは国交省の官僚で、都市計画や防災・復興などに携わる。「note」で自然災害への備えなどを発信する「ぼうさいペディア(https://note.com/fukko_design/n/n4744293805c9)」を連載中。
〈木原龍太郎〉日大探検部出身の広告クリエーター。ケービング(洞窟探検)のレスキュー資格保有者。沢登り、カヌー、野営など様々なアウトドアの専門家で、週末は山にこもる生活を送る。災害支援については未経験。
〈野呂正人〉相模原市津久井のキャンプ場「野呂ロッジ」のオーナー。父親である先代から受け継ぎ、経営をしている。もともとレーシングカーのエンジニアをやっていたこともあり、重機の操作や、車も自分で修理することができる。

後回しにされがちな「なりわい支援」
災害が起きると、全国から一般のボランティアが集まることが多い。
そこでは、被害のあった民家の復旧など、いわゆる”生活支援”が行われることが多いが、キャンプ場など商業地の復旧、いわゆる”生業(なりわい)支援”は後回しにされ、そもそも支援されないことが多い。
相模原市のキャンプ場も、支援の枠組みから取り残され、いまだ復旧が進んでおらず、厳しい状況が続いている。

「人の手で対応できる規模」一番やっかい
山田
野呂
野呂
佐々木
――というと?
佐々木
野呂

「石を片付けながら楽しめるように」
野呂
佐々木
木原
――今日、色々な場所を案内してもらいましたが、このキャンプ場の魅力ってなんでしょうか。
木原
佐々木

「直火が使える、すごい価値かも」
山田
佐々木
木原
野呂
木原

アイドルのライブ、次につながる方法は?
山田
木原
山田
佐々木
山田
木原
山田
野呂
木原

「なりわい支援」に必要なこと
現地であらためて感じたのは、商業地への支援の難しさだった。
同時に、商業地だからこそ原状復帰にとどまらず、災害というアクシデントをポジティブに変換する必要性を痛感した。
通常、ボランティアを受け入れる被災地は、どんな人が来るのかが事前にわからない。だから、誰でもできる作業をまかせることになる。もちろん、災害直後に土砂の片付けなどの作業を手伝ってくれるボランティアは貴重な存在だ。一方で、そこから先、「なりわい支援」の段階では、より専門的な支援が求められるのも事実だ。
多くのボランティアと同様、専門的な知識と経験のある4人の話からは、現状の課題に合わせて様々な取り組みができる可能性があることがわかった。
具体的には以下のようなポイントに整理できるだろう。
いたるところに散乱した石を楽しく片付けることができないか。直火を生かしたサウナや石焼き料理にチャレンジできないか。
【秘境感を満喫する】
道志川流域のキャンプ場は奥まった谷底にあり、秘境感がある。被災して地盤などがむき出しになったことでさらにワイルド感が増した状況を逆に活用できないか。
【アイドルの生かし方】
アイドルの個性を生かした取り組みの可能性を考える。アートのようなモニュメントを一緒に作り、継続的な支援につなげることはできないか。
引き続き、アイドルのマネジャー、アウトドアの専門家で広告クリエーター、元内閣府防災官房審議官という専門性をいかした支援の形を考えていきたい。