連載
#39 コミチ漫画コラボ
就活の「お作法」このままでいいの?「モヤモヤ」から未来を描く漫画
誰しも輝ける場所があるはず
今にもビルから飛び降りてしまいそうな、リクルートスーツ姿の女性。就活がうまくいかず、追い詰められていました。彼女を止めるために現れたのは、謎の「就活死とめ会」のキャラクター。そこで伝えられるのは、女性にとって意外な「就活の裏側」と、「会」からのメッセージでした。
選考基準がわかりにくく、「自分」そのものを売り込む就職活動では、不採用が自分への否定につながりがちです。折れそうな心を何度も奮い立たせて乗り越えても、想像していた社会人生活と違ったということも……。「あの頃、こんな視点があったらな」という思いを、「会」が代弁してくれています。(選評:野口みな子)
圧迫系の面接官で、そのオーラに「ヒッ」となったところ、思わず一緒に息をのみました……。ただでさえ緊張する就職の面接、一生がかかってるんだから当たり前ですよね。
「ブツブツブツ……」と何かを練習していたり、「おちつけわたし ゆっくりはなせば」と言い聞かせたりしている理由が後半で分かって、そうかなるほど……!と頷きました。半分ぐらい強がりなのかもしれませんが、ここで「個性」と言える彼女がとてもステキ。きっとこのあとは、ホッと気持ちを落ち着けて受けられたのではないでしょうか。(選評:水野梓)
子どもの頃は「夢を持ちなさい」と言われるのに、大人になると「現実を見なさい」と言われる。せっかく見つけたのに。
作品では、漫画家の夢を持ちつつ、生活のために会社員になる必要があると感じている「ダイスケ」が、夢を諦め「現実」を選び就活します。しかしそこに現れたのは、夢と現実を両立させてくれる人でした。
幼き日の私は、ピアニストを夢見ていました。先生はそんな私に、「音楽家は食べていくのは難しい」。でも先生、私知ってるんです。先生は個人レッスンや大学講師をしつつ、色んな舞台に立っていたことを。どんなかたちであれ、絶対に叶えたい夢なら、生活と両立できるはず。きっと。(選評:金澤ひかり)
今、自分の「分身」として操作できるロボットが、難病患者さんを中心に普及しつつあります。体を動かせない人でも、離れたところでしゃべったり、手を振ったりして、コミュニケーションができる。テクノロジーがそこに「いる」ということの定義を少しづつ変えているのです。
一方で、未だにあまり変わらない就活。いつでもどこでもビデオ通話ができる時代に、例えば地方在住の人がわざわざ大都市へ足を運ぶのは非効率です。それでもこのような文化が残ってしまうのは、やはりビデオ通話だけではわからない「ぬくもり」を見たいという企業側の心理ゆえかもしれません。
そこで真価を発揮するのが、冒頭で紹介したようなロボット。ちょっとした仕草から人柄がにじむようなロボットがあれば、リモート面接も無機質にはならないことでしょう。決して遠くないミライ、こんな面接が実現する――そんな予感のする作品でした。(選評:朽木誠一郎)
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