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19300

左ききのエレン(ドラマ放送なう)さんからの取材リクエスト

左利きグッズが気になる!



「左利き」専用品が熱い!

左利きグッズが人気「矯正は時代遅れ」 文房具から調理用品まで販売

長く「矯正」の対象となってきた左利き。いま、専用品市場が熱いんです。(画像はイメージ)
長く「矯正」の対象となってきた左利き。いま、専用品市場が熱いんです。(画像はイメージ) 出典: PIXTA

目次

取材リクエスト内容

先週のハナタカ優越館でも放送されていた 左利きグッズのお店が非常に気になります

私の息子は左利きで いまだに左利きを直せなど 祖父を始め親戚から言われます
現代は多くの左利きの有名人がおり、スポーツに限っては活躍しております 無理に矯正させるのではなく

左利きを個性として育てたいと思いますので 左利きグッズ について取材を希望します 左ききのエレン(ドラマ放送なう)

記者がお答えします!

いま「左利きグッズ」が、静かな人気を呼んでいます。ボールペンや定規、フライ返しといった調理器具まで、多くの日用品が流通。小売店の中には、品ぞろえのよさが口コミで広がり、わざわざ海外からお客さんが訪れる所も。「左利きを矯正すべき、という考え方は時代遅れ」「利き手にこだわらず、道具を使う楽しみを提供したい」。店舗関係者たちは、そう言葉に力を込めます。右利きの記者が受けたのは、他人との「違い」を楽しむきっかけになる、という印象でした。

文具、調理器具に不満

物心ついた頃から、右手中心の暮らしになじんできた記者。中高時代は野球部に所属し、右投げ・右打ちの選手でした。そんな私にとって、左利きのイメージは「サウスポー」。利き腕が異なるチームメイトのプレースタイルには、独特の魅力がありました。

しかし、日常生活で左利きの人々を意識することは、ほとんどなかったと思います。あまりにも当たり前の存在として受け入れていたからです。そもそも当事者は、どんな場面で困りごとを抱えるのでしょうか?
文具メーカーのゼブラが2016年、全国の左利き104人に対し実施したアンケートによると、「はさみやカッターが使いにくい」が58%と最多。更に「食事で左隣と腕がぶつかる」「お玉でスープがすくいづらい」などが続きました。
左利きの選手は、独特のプレースタイルで球場を盛り上げることも(画像はイメージ)
左利きの選手は、独特のプレースタイルで球場を盛り上げることも(画像はイメージ) 出典: PIXTA
生活雑貨ブランド「無印良品」を運営する良品計画も、ステーショナリー商品に特化した調査を12年に行っています。約3400人の回答者中、8割近くが「左利き」または「左利きだが一部またはすべて右利きに矯正」という属性です。
左利きの人向けに、使用時に不満を感じる文房具を尋ねる項目では、「定規」「カッター」「事務用はさみ」の順に名前が挙がりました。特に事務用はさみについては、「長年右手で使用することに慣れている。左手で使うと、かえって不便さを感じる」との回答も。

どうやら書き物や事務作業、料理などの際に、困難を感じるケースが多いようです。

左利きの人の中には、はさみを左手で持ち、親から怒られた経験がある人もいる(画像はイメージ)
左利きの人の中には、はさみを左手で持ち、親から怒られた経験がある人もいる(画像はイメージ) 出典: PIXTA

家族が大けが、商品構成を変更

考えてみれば、文房具も調理器具も、ほとんどが右利きの人向けに作られたものばかり。ホームセンターなどでは、左利き対応の製品が買える店もありますが、一般的とは言えないのが現状かもしれません。

そうした中、利き手を問わず使えるアイテムを、多数取り扱うことで人気の文具店があります。菊屋浦上商事(相模原市)です。創業は1973年。店頭での販売に加え、左利き用を含めた文房具を、官公庁などに卸してきました。

創業45年を超える菊屋浦上商事。
創業45年を超える菊屋浦上商事。

店内の一角には「左利きグッズコーナー」と書かれたポップが。ボールペンや定規はもちろん、草刈り鎌からトランプまで、100種類超が並びます。中にはドイツ製の鉛筆削りなど、珍しいものもちらほら。

「はさみだけで30種類以上ありますよ」。自身は両利きという、浦上裕生社長(44)が話します。

左利き用商品について説明する浦上裕生社長。
左利き用商品について説明する浦上裕生社長。
幾つか見せてもらうと、右利き用のはさみと比べ、刃の組み合わせが逆です。続いて手渡されたレードルも、よく目にするタイプと違い、正面から見て本体の左側がすぼまっています。なぜ、こうした商品構成なのでしょうか?
「私の弟も左利きなのですが、中学生の頃、カッターで手に大けがを負いました。普通のカッターであっても、左利きの人が持つと、刃先が体の方を向きやすく危険なんです。構造上、刃を出し入れしづらいといった大変さもあります」

店内では当時、少数ながら左利き用品を陳列していました。「でも右利きの文具を使わせてしまい、息子を守れなかった」。そんな思いから、店長だった浦上さんの母親が、2000年に扱いを増やしたそうです。

店内で販売している品々。文具のみならず、レードルや草刈り鎌など生活用品全般を取り扱う。
店内で販売している品々。文具のみならず、レードルや草刈り鎌など生活用品全般を取り扱う。 出典: 菊屋浦上商事提供

「左利きになりたい」増える相談

近年では浦上さんが、消費者の視点から、メーカー側にアドバイスしています。

たとえば、両開きのフタ付き筆箱や、左右両方から目盛りが打ってある定規。どちらも開発前、製造各社に伝えた意見に沿った仕様です。「実際に反映されたかについては知らされていない」と苦笑しつつ、使いやすさの追求に余念がありません。

両開き式の筆箱。浦上さんがメーカー側に伝えた意見に沿った仕様という。
両開き式の筆箱。浦上さんがメーカー側に伝えた意見に沿った仕様という。
取り組みを始め、およそ20年。店の評判は口コミやSNSで広がり、全国から利用者が詰めかけています。左利きの人はもちろん、家族へのプレゼント用に、右利きの人が買い求めることも。時にはドイツやフランスから、観光客が訪れるケースまであるといいます。
お客さんからは、利き手に関する相談を受ける場合も少なくありません。10年ほど前までは、「わが子の左利きを直すべきか」といった内容が多かったそうです。
一方、最近増えているのが「左利きになれませんか」。サッカーの本田圭佑選手など、いわゆる”レフティ”の著名人の影響が大きいのでは、と浦上さんは考えています。
「大学の卒業論文で、左利きについて書く人もいます。それだけ認知が広がってきたということです。だからこそ、『自分にとって使いやすい道具とは何か』と考えられるような環境が重要になってくる。このお店は、それに適した場所だと思っています」
「他の人と違う利き手は矯正しないといけない。単純にそう考えることは、もう時代遅れでは、と感じます」
"レフティ"のスポーツ選手に憧れ、自らも「左利きになりたい」と願う人は少なくないという。(画像はイメージ) 出典: PIXTA

豊富な選択肢こそが重要

道具を使う面白さを、誰もが実感出来る環境をつくりたい。そんな思いから立ち上がったネットショップもあります。「左ききの道具店」です。
ウェブサイトには、70個ほどの商品が並びます。富士山や竹林が描かれた左開きの扇子を始め、手に取りたくなるようなものばかりです。正面から見て左側に持ち手がついた急須など、暮らしを彩るアイテムがそろっています。
左利き用品を70個近く販売する「左ききの道具店」
左利き用品を70個近く販売する「左ききの道具店」 出典: 「左ききの道具店」のウェブサイト
「左利き用品と聞くと、『珍しい』というイメージが先行しがち。単なる『面白グッズ』ではなく、家に置きたいと感じてもらえるラインナップを目指しています」。店長で、運営会社ランチ(岐阜県各務原市)の加藤礼さん(40)が語ります。

自らも左利きで、文房具やキッチン用品の収集が趣味。あれこれ試していく中で、左利きの人が使いやすい道具にバリエーションが少ないことに気付いたそうです。

「もっと多くの選択肢を示したい」と、2018年8月13日の「左利きの日」にサイトをオープン。海外メーカーの万年筆を買い付ける際、交渉を経てカラーバリエーションを増やしてもらうなど、地道な努力を続けています。

左ききの道具店で販売している扇子。通常とは異なり、左側に開く。柄は富士山や鮎、竹など全7種。
左ききの道具店で販売している扇子。通常とは異なり、左側に開く。柄は富士山や鮎、竹など全7種。 出典: 左利きの道具店提供
加藤さんは2019年、東京都内にある手帳の印刷会社と組み、オリジナル手帳の開発にも着手。通常と逆の右開き仕様で、製作費の一部はクラウドファンディングで集めました。「私自身、あったらいいな、と思っていたもの。自分で欲しいと思えるかどうかも、大事なポイントですね」

左利きの人の生活に寄り添う加藤さん。しかし「左利き専用品だけにこだわるつもりはない」と強調します。

「右利きの方とお話していると『気づいていなかったがスマートフォンは左手の方が操作しやすい』という人もよくいらっしゃいます。利き手とは、100%左右どちらと決まっているわけではなく、案外グラデーションになっているものではないでしょうか
「必要とする道具も、人それぞれ。だから私は、『選ぶ楽しさ』や『自分に合った道具を使う楽しさ』を提供出来ればと思っています」

文化の発展と、左利きの「受難」

ところで、左利きが矯正の対象と捉えられるようになったのは、なぜなのでしょうか? 「日本左利き協会」代表で、フリーライターの大路直哉さん(52)に尋ねました。
大路さんによると、儒学の教えをまとめた「礼記」には、「物心ついた子どもには右手を使って食べさせなさい」と書かれています。この思想が日本にも伝わり、右手で箸を持つ習慣が広まりました。
教科書資料館が所蔵する儒学書の数々=小杉豊和撮影
教科書資料館が所蔵する儒学書の数々=小杉豊和撮影 出典: 朝日新聞
更に寺子屋を始め、市井の人々向けの教育が普及した江戸時代以降、右手で筆を使う機会が増加。箸と筆を持つ手が一致したことで、「左利きはしつけがなっていない証拠」という考え方につながった――。大路さんは、そう分析します。
「戦時中の軍隊で『左手で銃を持つと上官に殴られた』という記録が残っています。また『女性の場合、左利きが理由で結婚が破談となる』との言説も、昔は広く共有されていました。そうした差別意識は、時代が下り緩和されたと言えるでしょう」
「しかし漢字の書き取りなどで不利にならないよう、子どもの左利きを直したい親御さんは、今も一定数いるようです」
箸と筆を右手で持つようになったことで、左利きの人への視線が厳しくなった。大路さんは、そう分析する。(画像はイメージ)
箸と筆を右手で持つようになったことで、左利きの人への視線が厳しくなった。大路さんは、そう分析する。(画像はイメージ) 出典: PIXTA

「矯正してもいいことはない」

一方で、「矯正してもいいことはないと思います」と話すのは、神経心理学が専門の八田武志・関西福祉科学大学長(74)です。

八田さんによると、利き手の決定には、脳内にある「言語野」の位置が関わっています。言語野とは、音声や言葉をつかさどる部位。大抵の場合、体の右側の動きを制御する左脳に存在します。そのために右利きの人が多い、と推測出来るそうです。
では、なぜ左利きの人が生まれるのか。八田さんいわく「生活環境も影響するので、実際の所はよくわからない」。人数に関する統計も取られていませんが、一般に全人口の5~10%程度と言われています。かつては世界的に、右利きに直そうとする動きがみられました。

しかし1930年代以降、矯正による成育上の悪影響を示す学説が、米国で発表されるなどして下火に。多様性を尊重する風潮とも相まって、批判的な意見が優勢となっていきました。

遺伝子的に左手の方が動かしやすい。そうした人々に、逆側の手を使うよう求めても、うまくいかないですよね。最近は、左利きの人でも使いやすい道具が増えています。少数派を包摂出来る点で、以前より豊かな社会になりつつある、と言えるのではないでしょうか」

右利きの立場からは想像しづらい、左利きの人々の受難。負の歴史を超え、「違い」を楽しむきっかけとなるものこそ、「左利きグッズ」なのかもしれません。誰もが生きやすい社会づくりにつながって欲しいと思います。

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