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IT・科学

令和の「スマホゲーム」に訪れる変化 「ソシャゲ」時代にまかれた種

2004年の東京ゲームショーに出展された携帯電話のゲーム=2004年9月24日、千葉・幕張で
2004年の東京ゲームショーに出展された携帯電話のゲーム=2004年9月24日、千葉・幕張で 出典: 朝日新聞

目次

スマートフォンの登場とともに普及したモバイルゲームによって、ゲームは「家で遊ぶもの」から「電車でも気軽に遊べるもの」にもなり、さらに「外に出て遊ぶもの」へと進化しました。スマホ誕生から10年。ゲームを遊ぶライフスタイルを変えたモバイルゲームを振り返りながら、令和の「スマホゲーム」について考えます。(砂流恵介)

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今の礎を作ったガラケーの「ソシャゲ」

スマートフォンによって浸透したモバイルゲームを語る際に、ガラケー時代(フィーチャーフォン時代)の動きは欠かせません。

そもそもモバイルゲームは、ガラケー時代に生まれたソーシャルゲーム(ソシャゲ)のヒットにより注目を集めます。2007年に世界初のソーシャルゲームとされるグリーの「釣り☆スタ」が配信開始。携帯電話のキーをポチポチ押すだけで楽しめるシンプルなゲーム性で人気となります。

ソーシャルゲームの基本的な特徴は、シンプルなゲーム性、基本プレイ無料、アイテム課金、ガチャなど。今のモバイルゲームでスタンダードになっている形式の礎は、ガラケー時代に作られました。

そして、時代はスマートフォンへ映ります。

「ファミ通モバイルゲーム白書2019」にまとめられた2018年に日本国内で最もプレイされたモバイルゲームのランキング。国内の各モバイルゲームのプレイ人数とプレイ時間を年間で集計、累計プレイポイントとして数値化し、2018年年間において最も多くの人が遊び、プレイされた時間が長いゲームアプリを順位付けしている
「ファミ通モバイルゲーム白書2019」にまとめられた2018年に日本国内で最もプレイされたモバイルゲームのランキング。国内の各モバイルゲームのプレイ人数とプレイ時間を年間で集計、累計プレイポイントとして数値化し、2018年年間において最も多くの人が遊び、プレイされた時間が長いゲームアプリを順位付けしている 出典:2018年世界モバイルゲーム市場は6兆9568億円に! 国内人気モバイルゲーム第1位は「LINE:ディズニー ツムツム」。~『ファミ通モバイルゲーム白書2019』~|株式会社KADOKAWAのプレスリリース

「パズドラ」から「モンスト」、そして「ディズニーツムツム」へ

モバイルゲームを語るうえで外せないのが、2012年にサービスを開始した、ガンホーのモンスターを育ててパズルでバトルするパズルRPG『パズル&ドラゴンズ』です。パズドラは、サービス開始から半年もしないあいだに100万ダウンロードを達成。あまりの人気からガンホーの時価総額が瞬間的に任天堂を超え、テレビなどではパズドラブームが社会現象として取り上げられました。モバイルゲームの人気を確立し、モバイルゲームは面白いことを世の中に知らしめたタイトルです。

次に大ヒットしたのは2013年にサービスを開始した、ミクシィの『モンスターストライク』。モンストは、自分のモンスターを指で引っ張って弾いて、敵のモンスターに当てて倒していくアクションRPGです。直感的に操作できることと、スマートフォンを持ち寄って友だちと一緒に遊べるマルチプレイがとくに若年層に支持されて大人気となります。

そして、2014年にLINEの『LINE:ディズニー ツムツム』が配信されます。ディズニーツムツムはぬいぐるみを集めてつなげるパズルゲーム。ディズニーツムツムは、ディズニーとのコラボレーションや、LINE内で気軽に遊べることもあり、ゲーム好きだけでなく、これまでゲームをまったく遊んでこなかった女性層も取り込み大ヒットしました。2018年のランキングでも1位をとっていることから、人気の高さがわかります。

上記のゲームに共通するのは、家の中でじっくり遊ぶ家庭用ゲーム機と違い、移動中などのすきま時間でも気軽に遊べること。電車の車内を見渡せば多くの人がモバイルゲームを遊んでおり、「ゲームは電車でも気軽に遊べる」というライフスタイルが定着しました。

モンスターストライクのゲーム画面=ミクシィ提供
モンスターストライクのゲーム画面=ミクシィ提供

リリース前、政府が注意喚起した「ポケGO」

2016年にサービスを開始した『ポケモンGO』により、ゲームのライフスタイルに「ゲームは外に出て遊ぶ」が加わります。

ポケモンGOは、位置情報(GPS機能)とモバイルARを活用することで、現実世界そのものを舞台として、ポケモンを捕まえたり、交換したり、バトルしたりするゲームです。

ポケモンGOは2016年7月6日にアメリカなど数カ国で先行リリースされました。日本でのリリースは7月22日と少し遅れての開始となりましあt。

リリースにあたっては、先行していた国の評判や、ニュースに大々的に取り上げられたこともあり、プレイされる前から社会現象になりました。それは、内閣サイバーセキュリティセンターがポケモンGOのリリースに先立って注意喚起をおこなうほど。

かつてない期待感のなかリリースされ、結果的に圧倒的な人気を誇ります。



「ゲームを遊ぶために外に出る」

現在、ポケモンGOのダウンロード数は10億です。全世界でイベントが開催されており、2020年10月に台湾で開催されたイベントには1日で10万人を超えるユーザーが訪れ、ポケモンGOを楽しみました。

ポケモンGOは位置情報ゲーム(位置ゲー)というジャンルのゲームです。ルーツはソシャゲと同じくガラケーにあり、当時の代表ゲームはコロプラの『コロニーな生活』。その後、ポケモンGOの運営をしているナイアンティックがスマートフォン向けにリリースした「Ingress」が注目を集めます。ポケモンGOはIngressの位置情報や知見が活用されており、このような背景があってポケモンGOは大ヒットしました。

ポケモンGOにより「ゲームを遊ぶために外に出る」というライフスタイルが確立します。2019年9月にはスクウェア・エニックスの「ドラゴンクエストウォーク」も発売され、街を歩けば冒険に出ている人を頻繁に見かけるようになりました。

2016年7月の錦糸公園、ポケモンGOをプレイする人が集まった
2016年7月の錦糸公園、ポケモンGOをプレイする人が集まった 出典: 朝日新聞

最新技術、ゲームがエンタメに

モバイルゲームにより、ゲームは「電車でも気軽に遊べるもの」「外に出て遊ぶもの」という2つの変化が起こしました。どちらも、スマートフォンを持っていれば気軽に遊ぶことができるため、モバイルゲームはゲームの裾のを広げたといえます。

では、2020年以降のゲーム、モバイルゲームはどうなっていくのでしょうか?

これは予想ではなく筆者の願いですが、「かがくの ちからって すげー!」というポケモンの台詞にヒントはあると思います。このセリフはポケモンのシリーズを通して出てくるファンにはお馴染みのもの。ポケモンはこのセリフの通り、様々な技術を取り込みエンタメに変えてきました。

例えば、ゲームボーイで発売された1作目の『ポケットモンスター 赤・緑』では、それまであまり注目されていなかった通信ケーブルを、ポケモンの交換、進化に利用し新しい遊び方を提案しました。ほかにも、ハードが新しくなるごとに、赤外線通信、すれ違い通信など新しい技術をいち早く取り入れユーザーを楽しませています。

ポケモンGOでは位置情報とAR技術を取り入れ、ゲームのライフスタイルに変化を起こしました。この映像はポケモンGOリリース前のコンセプトムービーですが、サービス開始から3年半経った今見直すと、かなり映像に近づいていることを感じられます。

現在、ARだけなくVRも普及しはじめ、スマートスピーカーやポッドキャストなど音声にも注目が集まっています。これらの技術、さらなる最新技術をエンタメに変えて、新しい遊びを提案してくれるゲームが出ることを願います。

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