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かっしーさんからの取材リクエスト

「アイドルオタクあるある」動画で人気急上昇!末吉9太郎さんってどんな人?



#1 注目!TikTok

オタクあるあるで人気「末吉9太郎」観客0人ライブ「僕はヤバい奴」

アイドルでありながらも、「アイドルオタク」のモノマネ動画を発信し、人気急上昇中の末吉9太郎さんのロングインタビュー!

アイドルオタクあるある動画で人気、「CUBERS」の末吉9太郎さん=東京都中央区、丹治翔撮影
アイドルオタクあるある動画で人気、「CUBERS」の末吉9太郎さん=東京都中央区、丹治翔撮影

観客ゼロ人でも続けたライブ、自撮りをブログに

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――アイドルになれないかもしれない、って思った瞬間はなかったのでしょうか。

 ないんです。本当になくて。ちょっとヤバいんです。ちょっとヤバい奴なんです僕。(笑)

 あ、でも、「CUBERS」に合格する1年くらい前に、オーディションを受けていても、なかなかアイドルになれないなあと思ったんです。「じゃあ環境から変えてみよう」と思って、ブログを始めたんですよ。何もしていない、素人時代に。

 アイドルのような環境をつくったら、勝手にアイドルになれるんじゃないかと思ったんです。

 自分でライブハウスをブッキングして、月1回くらいでライブをさせてもらいました。でもファンはいないですから、お客さん0人の中で歌って、帰ってきて、自撮りをブログに上げるんです。「今日もライブありがとうございました!」って。

 あたかもファンの人たちが来ていたみたいなふりをして、ブログも毎日書いてたんですよ。「今日は○○でした-!」みたいな。でもコメントは0件なんですけど。

 それで、今の事務所に履歴書と一緒にブログのURLを送ったら、マネージャーの方が「めちゃめちゃファンがいる子なんだ」って勘違いして、事務所に呼んでくれたんですよ。まあ、してやったりですよね(笑)。

 マネージャーさんは「だまされた」って言ってるんですけど、呼んでもらってからそれからオーディションに受かったので、もし本当に困っている子がいたら、ブログ始めた方がいいと思う。
大学時代の9太郎さん。「寝っ転がって顔の肉を後ろに持っていく」撮影テクニックを使っているそう
大学時代の9太郎さん。「寝っ転がって顔の肉を後ろに持っていく」撮影テクニックを使っているそう 出典: つばさプラス提供
――すごい……ライブではお客さんがいなくても、歌っていたんですか?

 歌います歌います。

――壮大なカラオケですよね……

 あははは!(笑) 本当にそうんなんです!

 ライブハウスの店長さんとかが聞くんですよね、「今日お客さんいないけど、どうする?」って。僕「『どうする?』って何?」と思ってて。歌うに決まってんじゃん。「歌いますよ」っつって。

 MCもするんです。「MC今日なに話そうかな?」って考えて、準備していくんで。

――どんなことを話すんですか?

 本当に他愛もないことです。「前日の夜に部屋にセミが入ってきちゃって、捕まえようとしたら、そのまま部屋の中で姿をくらましちゃって、怖いなって思いながら寝たら、次の日の朝、普通に同じところにいたので、外に逃がしてあげたよ」っていうしょ~もない話をひとりで話して、「じゃあ次の曲にいきましょう!」っつって……鬼ヤバですよね(笑)。怖いですよね(笑)
――あの……心が折れる瞬間っていうのはなかったんでしょうか……。

 そんなになかったですけど、でもひとりで歌ってる時に、「えっ、これ誰に向かって歌ってるんだろ」って思ったことはあります。

――それでも続けられたのはどうしてでしょう。

 ……アイドルになるには、やるしかなかったんだと思います。その時にできることがそれだったっていう。お客さんが0人でも歌う。とにかく歌うしかなかったんです。

――その時にできることをフルパワーでやっていたんですね。本当にすごいです。

 すごくないですよ。ただヤバいだけです。
――そんな9太郎さんの夢を、周囲の人はどう捉えていたのでしょうか。

 僕が小学生くらいの時に、家族に「アイドルになりたい」って言ったんですって。僕は覚えてないですけど、家族は「アイドルなんて一握りの人しかなれないからやめなさい」って言ったみたいで。僕はあんまり怒る子どもじゃなかったんですけど、その時に「なんでそうやって決めつけるの」って怒ったらしいんです。それから一切反対せず、ずっと応援してくれています。

 でもやっぱり、同級生とか周りの人は結構反対していたし、バカにしていました。

――それにはどう感じてたんでしょう。

 「見てろよ」と思ってました。

 メジャーデビューの時に、昔の同級生とかからLINEや連絡がきたんです。「メジャーデビューおめでとう!絶対なれると思ってたよ!」って。「嘘つけよ!」と思って、既読つけずに削除しました(笑)。

 当時は話しかけてこなかったくせに、連絡してきたからびっくりしちゃって。既読つけずにさっと削除です。かなり気持ち良かったですね。

王道じゃない、だけど無理はしない

――「アイドルオタク」から「アイドル」への転身。オタクの活動がアイドルに活かされていることもあるのでしょうか。

 めちゃめちゃ活かされてますね。

 今もライブ中とか、オタク目線で考えちゃうというか。「あっ今の瞬間絶対かわいいよな」って思いながら踊っちゃうんですよ。

 オタクの人って、「推し」がかっこいい瞬間を見ると、「あっ!」ってなって、大体となりの友だちと目を見合わせるんですよね。そうなってるのを僕も見て、「あ、やっぱりね」みたいな。

――オタクから見て「かっこいい姿」を意識しちゃうんですね。

 そうですね。例えば、パフォーマンス中に偶然メンバーと目が合って、ちょっとコミュニケーションが取れたときに、僕、目の前のメンバーとのコミュニケーションよりも、ファンの方への「今見てね!」っていう意識の方が強くなっちゃうんです(笑)

 「見て見て見て!今今今!めっちゃいいから!」って(笑)

 そっちの意識がもうかなり大きくなっちゃうので、いいんだか悪いんだかって感じですよね。もう体にしみついちゃってるんですよ。
――9太郎さんの話を聞いていて、そういう人間らしいところを隠さずに見せているところがすごいなと思います。アイドルだけど、典型的な「アイドル」じゃないみたいな。

 僕もこうなりたくなかったんですけど(笑)

 本当はキラキラアイドルになりたくて、王道のアイドルになりたかったんですけど、気付いたらこうなっちゃってたっていう。こうなるはずではなかったんですよね。

――軌道修正したいなっていう気持ちはあるんでしょうか?

 もう無理ですね(笑)。受け入れて、みんなが楽しんでくれたらいいなと思います。これはこれで楽しいので、全然大丈夫です。

 今は無理をしてないんですよね。それこそデビューした頃は、モーニング娘。さんが好きっていうことも隠してたんです。男性アイドルが女性アイドルを好きっていうのも、あんまりよくないのかなと思ってたので。

 でも、それだと無理しちゃうから。今は全部言っているので楽しいんです。全部を受け入れて、応援してくれてるファンのみなさんはとっても優しいです。
スマホには渋谷センター街でひとりで撮ったというプリクラが貼られており、自身も「ヤバすぎ」と笑う
スマホには渋谷センター街でひとりで撮ったというプリクラが貼られており、自身も「ヤバすぎ」と笑う

叶ったアイドルの夢、これからは…

――応援してくれる友人がいなくても、ひとりでライブを続けるのも強い気持ちが必要だと思います。支えになっていたものはなんだったんでしょう。

 「支え」……アイドルですね。活躍していたアイドルが、支えでしたね。ずっとあんな風になりたいって思っていました。

 「友だちが支えになりました」って素敵で言いたいんですけど、友だちもいなかったので、別に誰にも支えられていないので。活躍されてきたアイドルの方たちですね。

 学生生活長いじゃないですか、ずっとしんどかったので。学校に行くのも本当にしんどくて、帰ってきて録画したテレビを見ることとか、週末のコンサートを楽しみにして生きていたので、アイドルの方がいなかったらたぶん、僕乗り越えられなかったと思うんです。アイドルの方がいてくれたから、生きてこられた。

 ファンの人から「仕事がしんどいんですけど、今日は9ちゃんのライブで夜会えるので頑張れます」とか、「今日ライブ楽しかったから明日から学校がんばります」って言ってもらえると、僕が当時アイドルを見てたときと本当に同じだなと思うんです。「アイドル」って、普段の生活を頑張るための存在なんです。

 今の僕もそうなれてると思ったらすごくうれしいです。
――アイドルになるという夢は叶いました。これからはどんなものを目指していくのでしょう。

 ずっとモーニング娘。になりたいって言ってきたんですけど、「CUBERS」のデビュー曲をつんく♂さんが作詞作曲してくださって、振付を夏まゆみ先生にしていただいたんです。これって、ほぼ「モーニング娘。」なんですよ。その時に「夢が叶ってしまった。次どうしよう」って思ったんです。

 でも、今はもう「本当にモーニング娘。さんになること」を目標にしてるんです。

――えっ、どういうことでしょうか。

 以前、岡村隆史さんが、番組でモーニング娘。さんと一緒にコンサートでパフォーマンスしたことがあったんです。ごっちん(後藤真希さん)となっち(安倍なつみさん)の間に入ってパフォーマンスしていて、「ああっ! めっちゃいいな!」と思って観ていて。

 そんな風に、僕が本当に頑張って人気者になったら、たぶんアップフロントさん(モーニング娘。が所属する芸能プロダクション)が許してくれると思うんです。だから、それくらい頑張るっていうのが今の目標です。

――なるほど……。

 引いてますよね。「こいつマジか」って顔してますよね(笑)

――いや……紅白歌合戦とかじゃないんですね。

 僕は本当に「モーニング娘。」になることを目標にしています!

――ミリオンでもなく、紅白でもなく……

 アップフロントさんです。(きっぱり)
――先日、ソロ曲の制作も発表されました。意気込みを聞かせてください。

 そうなんです!!!! 企画でファンの方が投票してくださって、ご褒美としてソロ曲がいただけることになりました。本当にありがたいです。

 つんく♂さんの教えのひとつに、「常に16ビートを刻む」っていうのがあるんです。僕、画面越しにこの教えを聞いて、ずっと16ビート刻んでるんですけど、「CUBERS」では振付師さんやメンバーに「ここ刻まないで」って言われることがあって。大変なんですよ、我慢するの!

 アイドルは16ビート刻まないと始まらないので、ソロ曲は刻みまくりたいと思います!

――最後に、ファンの方にメッセージをいただけますか。

 いつも応援ありがとうございます!

 今後とも賛否両論あると思いますが、みんなは味方でいてね。僕がめっちゃ叩かれたときは擁護のコメント残してってね。やっぱ一番の味方はファンの方なので、アンチ側に寝返ったりしないでほしいです。

<すえよし・きゅうたろう>
 1993年生まれ。千葉県出身。5人組ボーイズグループ「CUBERS」メンバー。「アイドルオタクアイドル」として、アイドルオタクのモノマネ動画がSNSで人気。メジャー2ndシングル「妄想ロマンス」(キングレコード)発売中。ソロ曲の制作も発表されている。

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