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冷たい水に涙するおばあちゃん 災害支援に「CtoC」という可能性

停電で営業を取りやめたコンビニエンスストア=2019年9月10日午後8時7分、千葉県市原市、高橋雄大撮影
停電で営業を取りやめたコンビニエンスストア=2019年9月10日午後8時7分、千葉県市原市、高橋雄大撮影 出典: 朝日新聞

目次

台風15号で大きな被害が出ている千葉県では、ライフラインへの被害が続いています。被災地によっては東京の都心から2時間程度で行けるという場所で水などの生活必需品が足りていないという事態。支援を求める人と、支援をしたい人をつなげるにはどうしたらいいのでしょうか? 多くの被災地でボランティアを経験し、有志による団体「FUKKO DESIGN」を立ち上げた木村充慶さんは、ネットの世界で注目されている個人と個人同士を直接つなげる「CtoC」の活用に注目します。支援活動のため館山市の被災地に入った木村さんに、被災者と支援者のマッチングの可能性についてつづってもらいました。

信号がつかない交差点で見た光景

台風15号による影響。連日テレビや新聞、ネットニュースでも報道されているが、物資の支援などが不足しているという。何かできることはないか。そう思って、9月12日、現地の地域おこし協力隊と連絡を取りながら、ワンボックスカーを借り、買えるだけ買った飲料水や食料、ブルーシート(大雨に備えて必要という)を詰め込んで、友人がいる館山に向かった。

夕方、東京の自宅を出発し、東京湾アクアラインを抜けて千葉に入る。すると、街の光がとても弱い。なんだかいつもとは違う様子。木更津からしばらく南下すると、さらに暗くなっていく。気がつくと、あたりは完全な真っ暗。街灯もほとんどともっていない。

目を凝らしてみると、コンビニなどの店舗は真っ暗、信号もついていない。交差点では、車同士が慎重に確認し合いながら、交互に行き来するようになっている。東京では想像できない風景が広がっていた。

停電が続く中、手信号で交通整理する警察官=2019年9月10日午後6時30分、千葉市緑区、川村直子撮影
停電が続く中、手信号で交通整理する警察官=2019年9月10日午後6時30分、千葉市緑区、川村直子撮影 出典: 朝日新聞

段ボールに殺到する人々

館山に着いた。現地はまだまだ物資が足りない。飲料水や食料を施設に届けると、段ボールを置いた瞬間に人が殺到する。

しかし、多くの水は東京から来ている。どうしても飲料水はぬるくなっている。なので、運よく冷たい水が届くと、皆喜んで飲む。泣きながら水を飲んでいるおばあちゃんもいた。

ブルーシートや土囊(どのう)も必要とされている。台風15号で屋根の瓦などが飛ばされたが、台風16号が来る可能性があり、その前に屋根にブルーシートを掛けて応急処置をしているからだ。年配の方が屋根に上っているところを見た。かなりの傾斜で転落しないか心配になる。トビなどの専門職の人も求められている。

停電が続く、千葉県袖ケ浦市付近=2019年9月12日午後6時17分、朝日新聞社ヘリから、江口和貴撮影
停電が続く、千葉県袖ケ浦市付近=2019年9月12日午後6時17分、朝日新聞社ヘリから、江口和貴撮影 出典: 朝日新聞

欠けている「マッチング」

地域おこし協力隊の岡氏智美さんから、現在の様子を聞いた。

岡氏さんが訴えたのは、「冷たい水」や「屋根の補修」など大々的に報じられないけれど現地の人にとっては切実な問題が存在していること。

被災地の多くは都心から駆けつけられる距離にある。ボランティアとして動ける人はけっして少なくないはずだ。欠けているのは、支援が必要な人と、支援をしたい人のマッチングではないかと、強く感じた。

今回、物資を持ってきたのも、もちろん大事なミッションだったが、ワンボックスカーに詰め込んだ程度の物資では限りがある。

避難所ごとにことなるニーズを把握するのは、様々な対応に追われる自治体にとっても難しい状況だ。

そこで考えたのが、ウェブの世界で注目されている「CtoC(個人間取引)」というサービスの形だ。

停電が続く中で、ろうそくをともして、ラジオを流しながら会話する家族=2019年9月10日午後8時42分、千葉県君津市、小木雄太撮影
停電が続く中で、ろうそくをともして、ラジオを流しながら会話する家族=2019年9月10日午後8時42分、千葉県君津市、小木雄太撮影 出典: 朝日新聞

「CtoC」試してみた

「CtoC」は、個人と個人が、お店などを介さずネットやアプリ上で直接、やり取りをするサービス。フリマの「メルカリ」「ヤフオク」や、民泊の「Airbnb(エアービーアンドビー)」などが代表的で、新たなビジネスとして注目されている。

これを被災地支援に応用できないかと考え、「bosyu」というWebサービスを使ってみることにした。

「bosyu」はTwitterを使って簡単に仕事募集の情報をSNSで広げることができるサービス。本来は普通の仕事を募集するものだが、「○○に水を持ってきてくれる方募集」、「○○で屋根の修理をしてくれる大工経験者募集」などと投稿すれば、多くの人に救援情報が広がるのではないかと考えた。

実際に私は東京の自宅から館山まで2時間弱で来ることができた。首都圏の人も必要な支援の情報が集まったら、もっと支援の輪が広がるのではないだろうか。



支援が必要な人、したい人をつなげる

「bosyu」のようなサービスを使い、共通のハッシュタグ「#おこまりごと千葉」で投稿。みんなの救援情報が一覧で見られるようにする。

まだ始めたばかりで、広がっていくか先は見えない。ただし、行政はあらゆる対応に追われ、動きづらくなってしまっているが、同時に支援が必要な人、そして支援できる人がたくさんいる。

だからこそ被災者と支援者が直接マッチングする「CtoC」の支援がいきるかもしれない。

現在でも千葉県では広い範囲で停電は続いている。少しでも多くの人の救援情報を拾いたいと思い、この取り組みをしばらく続けていく予定だ。

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