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マヌルネコを飼いたいあなたへ… 飼育係が手紙形式で呼びかける看板
「マヌルネコを飼いたいあなたへ」。動物園に設置された手紙形式の看板が、ネット上で話題になっています。

「マヌルネコを飼いたいあなたへ」。動物園に設置された箱形の看板が、ネット上で話題になっています。中を開くと、密猟や密輸といったマヌルネコをめぐる現状が手紙形式で書かれています。飼育員に話を聞きました。

展示施設の側面に
3頭のマヌルネコを飼育している埼玉県こども動物自然公園。
その展示施設の側面には、封筒のような形をした「マヌルネコを飼いたいあなたへ」と書かれた看板が設置されています。
下の方を持ってパカッと開くと、中にはこんな文章が書かれています。

彼らは現在、地球上に15000頭ほどしかいないと考えられています。すみかも開発や環境破壊などにより分断されて生息数が減ってきているといわれています。
私たちが飼いたいと希望すれば、それに答えるために密猟により多くの野生のマヌルネコがとらえられることでしょう。そして彼らの絶滅への道が近づくことが容易に想像できます。
飼いたいほど大好きなマヌルネコが地球からいなくなってしまわないように、本物ではなく、写真や動画、記憶で皆さんのうちまで連れて帰ってあげてください。そして彼らを守るために何をしたらいいか、一緒に考えていきましょう。

2017年ごろ設置
マヌルネコをめぐる現状を手紙形式で紹介したこの看板。
先月末にツイッターで紹介されると、「子どもにもよくわかる良い掲示」「分かってたけど改めて地球のピンチを実感」といったコメントが寄せられ、注目を集めています。
埼玉県こども動物自然公園によると、この看板を設置したのは2017年ごろ。狙いについて、飼育係の藤嶋浩義さんはこう説明します。
「園内でのキーパーズガイドなどで、しばしば話をしていますが、ガイドだけでは時間が限られているため、より多くのみなさんにも知ってもらえる機会をつくれないかと看板を設置しました」
「かわいい」や「楽しい」だけでなく、動物たちの野生の生活や置かれている状況、人とのかかわりなどに興味を持ってもらうきっかけに、と考えたそうです。

自分に向けて書いてあると
手紙形式にした理由については、こう話します。
「長い文章ですが、しっかり読んでほしかったので、興味を持った人がアクションをしないと読めない『ハンズオン形式』を採用しました。手紙を取り出して読むような雰囲気をつくり、自分に向けて書いてあるとイメージしてほしくて」
読みやすく、めくりやすい大きさを意識し、できるだけ少ない言葉で伝わるように工夫。設置場所も展示の正面ではなく側面にすることで、とどまってじっくり読めるようにしました。
看板が話題になったことについては、こう話します。
「カワウソ2種のワシントン条約の附属書Ⅰへの記載から派生して話題になったようですが、違う種のマヌルネコにまで思いを巡らせ、話題にしてもらえてうれしいです。密猟や密輸など人が関わる動物たちの減少問題について、興味をもって考えてくれていることがうれしいです」