話題
KIRINのロゴ、実は変わってました 麒麟のイラストを追加した理由は
テレビCMなどで見かける「KIRIN」のロゴマーク。これまでアルファベットだけだったのが、麒麟のイラストが付くようになりました。
話題
テレビCMなどで見かける「KIRIN」のロゴマーク。これまでアルファベットだけだったのが、麒麟のイラストが付くようになりました。
テレビCMなどで見かける「KIRIN」のロゴマーク。これまでアルファベットだけだったのが、麒麟のイラストが付くようになりました。いったい何のためなのか? そもそも麒麟が社名になった由来とは? キリンホールディングスの担当者に聞きました。
キリンホールディングスの広報担当者と名刺交換した際、KIRINの文字の左隣に麒麟が描かれたロゴがありました。
これまでテレビCMでは「KIRIN」の文字だけだったような気がしたので尋ねると、こう教えてくれました。
「今年2月に策定した新コーポレートアイデンティティ(CI)なんです。聖獣麒麟をキリングループのシンボルとして定義し直しました」
孔子の「春秋」などに登場する、伝説上の生き物とされる麒麟。
「身体は鹿で、牛の尾を持ち一本の角がある」「地に足を下ろさず、虫を踏まず、草を折らない」「平和の象徴」などとされていて、日本国内の神社・仏閣の彫刻や装飾にも用いられています。
そんな麒麟が社名の由来となっているキリン。きっかけは、キリンビールの前身である「ジャパン・ブルワリー・カンパニー」が1888(明治21)年に発売した「キリンビール」でした。
当時、西洋から輸入されてくるビールのラベルは狼や猫などの動物を描いたものが多かったそうです。
そこで、三菱の重役だった荘田平五郎が「東洋には麒麟という霊獣がいるのだから、それを商標にしよう」と提案したのが始まりでした。
今ではビールだけでなく、清涼飲料を製造販売するキリンビバレッジや小岩井乳業、ワインのメルシャン、医薬品原料などを手がける協和発酵バイオなどもグループ会社です。
そんなキリングループが、なぜ今、麒麟を積極的に使うようになったのか? キリンホールディングスのブランド戦略部・岩永綾乃さんに話を聞きました。
――麒麟が入ったコーポレートアイデンティティ(CI)はどのように使われていますか
ニュースリリースや自社サイト、中野のキリングループ本社の各種サインなどが聖獣麒麟が入ったものに切り替わりました。
社章も「KIRIN」のロゴから聖獣のデザインに変更になりましたし、名刺も新CIおよび聖獣がデザインされたものへと変更になりました。
――これまでも麒麟のイラストはよく見かけましたが
CIという概念が導入されたのが1983年で、これまでは「KIRIN」ロゴがCI、聖獣麒麟はキャラクターとして位置づけられていました。
もともと従業員の間で聖獣麒麟の人気は高いのですが、改めて身近に触れる機会が増えて、愛着が増しているように感じます。
――なぜ麒麟を使うことになったのでしょうか
長期経営構想「キリングループ・ビジョン2027」を今年2月14日に発表したタイミングで、聖獣麒麟入りのCIを使い始めました。
新しいコーポレートスローガン「よろこびがつなぐ世界へ」を制定したのに合わせて、改めてグループの歴史をひもとき、聖獣麒麟をグループのシンボルとして「幸せを運び、よろこびと共にある」と定義し直しました。
麒麟は慶事の前触れとして姿を現すと言われており、信頼・伝統・躍動感といったキリングループのイメージをさらに強化し、「よろこび」をもたらす象徴として様々なコミュニケーション施策で活用したいと考えています。
――「麒麟のイラスト=ビール」とイメージする人もいると思います。清涼飲料などにも使うことに対して反対や懸念はなかったのでしょうか
ありました。これは、数年かけてテストマーケティングや調査を行うことで解消してきました。
現在ではキリンレモンのパッケージにも聖獣麒麟がデザインされていますが、商品プロモーションでも活用し、お客様にも支持をいただいています。
昨年90周年を迎えたキリンレモンは、1928年に発売した初代のキリンレモンのパッケージをモチーフにデザインしました。
お酒との関連性は意図しておらず、キリングループの象徴である聖獣麒麟を配することで、ものづくりへの本気感をお伝えしています。
――お客さんからの反応は
「最近、聖獣麒麟をよく見るようになった」との声をいただいています。
聖獣麒麟を前面に押し出した企業広告を日経新聞に出稿した際は、一目見てキリンとわかる存在として「親近感がある」「インパクトがある」と好意的に受け止めていただけました。
余談ですが、私の2歳の娘も聖獣麒麟を見ると必ず「キリン!」と言って、4歳の姉とともに喜んでいます。
新スローガン「よろこびがつなぐ世界へ」は、キリンから数多くのよろこびの連鎖を広げていきたい、という想いを込めています。
よろこびをつないでいくシンボルとして、聖獣麒麟がより多くのお客様にとって身近で親しみのある存在となることを願っています。
ビールのラベルなどに使われている麒麟のイラスト。たてがみの図柄をよく見ると、「キ」「リ」「ン」の隠し文字があります。
1933(昭和8)年のラベルにはすでに描かれていたそうで、模造品を防止するために描かれたという説や、デザイナーの遊び心だったのでは、といった諸説がありますが、明確な理由は分かっていないそうです。
1/17枚