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2019年07月25日

「なんで手なんかつなぐのよ」喜んであげられなかった花火大会の記憶


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ちえむ(Chiem)さんの「おなじ花火を見てるのに」

ちえむ(Chiem)さんの「おなじ花火を見てるのに」

出典: コミチ

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夏休みの一大イベントと言えば、「花火大会」。今週末にも、全国の各地で花火大会が開催されます。好きな子と一緒に行けるだろうか、もしかしたら現地で出会えるだろうか……。そんな淡い期待を抱く人もいるかもしれませんが、今回の主役はそんな恋愛当事者の「となりの人」。意中の先輩に花火大会に誘われた女友だちに、「2人きりだとどうしたらいいかわからないから、一緒に来て」、そうお願いされた私は……。マンガのSNSを運営するコミチとwithnewsがコラボし、「#花火大会の黒歴史」をテーマに作品を募集した企画。大賞に決まったのは、ちえむ(Chiem)さんの「おなじ花火を見てるのに」です。

マンガ「おなじ花火を見てるのに」

ちえむ(Chiem)さんの「おなじ花火を見てるのに」

ちえむ(Chiem)さんの「おなじ花火を見てるのに」

出典:コミチ

喜んであげられなかった花火大会

「来るんじゃなかった 花火大会なんて」

そう思う女の子が見つめる先には、浴衣で着飾った友だちの姿があります。その友だちに「先輩に誘われて、二人きりじゃどうしていいか分かんない」と、付き添いを頼まれたのでした。花火大会に付いてきたものの、やりきれない表情を浮かべています。

ちえむ(Chiem)さんの「おなじ花火を見てるのに」

ちえむ(Chiem)さんの「おなじ花火を見てるのに」

出典:コミチ

先輩を見つめる友だちは、普段自分に向けることのない、うっとりとした顔つき。気付くと、先輩と手もつないでいます。

「なんであいつにそんなニコニコするのよ」「なんで手なんかつなぐのよ」

場違い感や居どころのなさに、そう思ってしまう自分に「やだな」とも感じます。「誰よりも大切な友達だから 誰よりも喜んであげたいはずなのに」……。

ちえむ(Chiem)さんの「おなじ花火を見てるのに」

ちえむ(Chiem)さんの「おなじ花火を見てるのに」

出典:コミチ

打ち上がる花火を見ながら、「好きな人の隣で見上げる花火は どんな風に見えますか」と心で問いかける女の子。さまざまな思いとともに、涙がこみ上げてきます。

「私は にじんでしまって よく見えない」

最後の1コマは、そんな言葉でしめくくられています。

ちえむ(Chiem)さんの「おなじ花火を見てるのに」

ちえむ(Chiem)さんの「おなじ花火を見てるのに」

出典:コミチ

友だちと行く花火大会は「大人の階段」

家族じゃなく、友達と一緒に行く花火大会。そんな夏の一大イベントを、「中学生にとって大人の階段を上るような気持ちだった」と振り返るのは、「おなじ花火を見てるのに」を描いたちえむ(Chiem)さん。作品は、中学生のときの実体験をベースに、花火大会の出来事として描かれています。

「花火大会は好きな子と一緒に行きたい。でも、二人っきりで出かけるのは勇気がいるし、グループのていで、オブラートに包みたいんですよね。それで友だちに協力したり、逆に協力してもらったりすることがありました」

「だから両方の気持ちはわかるんですけどね」というちえむさん。でも、付き添いの経験は切ない思い出として心に残っていました。

ちえむ(Chiem)さんの「おなじ花火を見てるのに」

ちえむ(Chiem)さんの「おなじ花火を見てるのに」

出典:コミチ

グループで出かける一方、「恋愛当事者」の主目的は「好きな人と見る花火」。それが達成されれば、「付き添い」は自分たちで楽しさを見いださなくてはなりません。

「『私いなくてもいいんじゃない?感』というか、カップルばかりいる中での『場違い感』。なんとも説明できないですよね。着飾っている友だちを見て、また疎外感を持つというか……」

ブレーキ効かない、あの頃の「友情」

それでも協力するのは、「大切な友だちだから」。モヤモヤする自分に言い聞かせても、友だちが考えているのは、好きな相手のことばかり。漫画の主人公は、「恋する女の子の顔」になった親友を見て、やりきれない思いを抱くのでした。

ちえむさんは、その頃の友だちについて「友情だけど、自分だけの存在にしておきたい気持ちもある。当時を振り返りながら、そんな感情もあったなと思い出しました」。

ちえむ(Chiem)さんの「おなじ花火を見てるのに」

ちえむ(Chiem)さんの「おなじ花火を見てるのに」

出典:コミチ

気持ちが大人に近付いているけれど、まだまだ未熟なのが青春時代。相手との距離感がよくわからず、思い入れの強い相手に執着して、傷ついてしまうーー。

「そういう執着って、ない方が楽なんですよね。大人になると、誰かに思い入れが強すぎると、こじれた時に大変で、しんどくなるってわかってくる。でも、中学生のころって、目の前の一瞬一瞬を生きているんですよね。ブレーキもハンドルも効かなくて、バランスが取れない」

切ない思い「人間の栄養に」

「今思えば、ついていっても絶対面白いわけがないって思いますよ」と笑うちえむさん。それでも、こういった思い出を「良い経験だった」と話します。

「私の場合、漫画に描けたっていうのもありますが、そこで自分の知らなかった感情に出合ったんですよね。そういう生々しい感情が地層のように積もっていって、人間の深みになると私は思うんです。『ネガティブな感情を持つ自分』は嫌いだと思うけど、それも人間の自然な感情なので、どうかそんな自分も愛してあげてほしい」

ちえむ(Chiem)さんの「おなじ花火を見てるのに」

ちえむ(Chiem)さんの「おなじ花火を見てるのに」

出典:コミチ

各地で花火大会が開催される時期。付き添いで花火に行く人に、ちえむさんは「今は損な役回りをさせられているって思うかもしれないけど、そこで腐らないでほしいな」といいます。「自分がお願いすることもある。『お互いさま』って思うと、少し平和な気持ちになれます」

「楽しいことばかりが一番いいと思うんですが、切ない気持ちが人間の栄養になることもあります。将来、いい栄養になるかもしれません。漫画を見て、『自分ひとりだけじゃない』って思ってもらえたらうれしいです」

ほぼ毎日、作品を投稿中

コミチに参加するようになって、漫画の発信を始めたというちえむさん。近畿地方在住で、2人の子どもの母親でもあります。

自分の作品をネットに出していくことが最初は怖かったそうですが、「自分が描いたものに反応が返ってくることがうれしかった」と、今ではほぼ毎日作品をコミチやTwitterに投稿しています。

出典:ちえむさんのツイート


ポップな絵柄でカエルや猫をモチーフとしたイラストを描く一方、今回のようなストーリーにも挑戦。今後も、「ノンジャンルでいろんなものを描いていきたい」と話しています。

「青春のど真ん中」じゃない、誰かの思いを代弁してくれる。ちえむさんの今後の作品にも注目です。

ちえむさんのTwitter:@46mfmf
マンガ連載「私の黒歴史」:https://comici.jp/users/siromfmf/series/info?id=548
イラスト連載「カエルのぴょこん太」:https://comici.jp/users/siromfmf/series/info?id=479
コミチの漫画家がリレーでつなぐ連載 #胸キュンリレー「Lemon」:https://comici.jp/users/KaoriKoyanagi/series/info?id=509


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