話題
指派?鉛筆派? 「カセットテープの巻き方」マクセルに聞いてみた
最近見かけなくなった動作を集めた「絶滅危惧動作図鑑」。この中では「テープを巻く」という動作が絶滅危惧動作として紹介されていました。
すると、記事に対して以下のようなコメントがあがりました。
中にはこんな書き込みも・・・
かく言う記者も平成元年生まれ。カセットテープを見たことはあるものの、詳しくは知りません。カセットを巻いた記憶もないので、この動作について取材することにしました。
話を聞いたのはマクセルの乘松幸示取締役。カセットテープの全盛期に同社の米国工場長を務めるなどし、「カセットは青春そのもの」と語る、今ではマクセルでも数少ないカセットテープマスターです。
しかし、疑問はすぐに解決してしまいました。なぜなら、カセットテープを巻く理由はテープの取扱説明書に書いてあったのです。
ちなみに、乘松取締役に持参してもらった1980年ごろのカセットテープにも同様の説明がありました。
ただ、乘松取締役によると、カセットを巻く理由はテープの走行不良だけではないとのこと。
「たるんだままだと、デッキで走行させると巻き付いてしまって、くしゃくしゃになったり傷がついたり、最悪の場合切れたりする。これを解消するのが第一の目的。次にカセットのテープには冒頭にヘッドをクリーニングする機能がある透明な部分がある。でも、その部分は録音ができない。カセットを巻いて録音できる部分から録音を始めれば即録音できます」
なるほど、より完璧な録音にするために極める技でもあったわけだったのです。
ん?取り扱い説明書に重要な情報がもう一つあることに気がつきましたか?
なんと、鉛筆が使われているではありませんか!?鉛筆だけじゃなく、ペンや指を使う人たちもいることについて、マクセルに改めて聞いたところ、広報担当の方からは次のような回答となりました。
「取扱い説明書には、『鉛筆など』とありますので、穴に差し込んで回せる形状のものであればペンや指などでもまったく構いません。ただし鋭利な金属などを使用すると、穴のギザギザの部分が破損する恐れがあるので気を付けてください」
ちなみに、広報担当の方は指派だそうです。
同じく「テープ巻きは指派」と話していた乘松取締役には、鉛筆巻きもしてもらいました。すると、あることに気がつきました。
は、早い、、、
鉛筆巻きの様子の写真を撮っている間に1巻分を巻き終えるほどの早さで「シャッ、シャッ」と巻いていくのです。ちなみに、乘松取締役が鉛筆を巻く中で、流れていたBGMはカセットに録音された山下達郎さんの「クリスマス・イブ」。「ロマンチックな音楽の中で驚きの早さでカセットを巻く偉い方」という大変シュールな場面に立ち会いました。
乘松取締役によると、「垂直ではなく、少し角度をつけて鉛筆を入れるのがコツです」とのこと。みなさんは、何でカセットテープを巻いてましたか??
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