一発屋芸人という立ち位置への恨みつらみを、自虐を交えて笑いに変える髭男爵・山田ルイ53世さん。その山田さんに人生相談をしたらどんな答えが返ってくるのか……。「会社の飲み会に行きたくない」という悩みには「行かなきゃいーじゃん」と一刀両断、エゴサーチは「自分探しの旅」という名言も。切れ味鋭い回答には、芸能界の酸いも甘いもかみしめたからこそ生まれる「前向きさ」がありました。

会社の飲み会「行かなきゃいーじゃん(笑)」
イベントは、withnewsで連載中のエッセイをまとめた『一発屋芸人の不本意な日常』(朝日新聞出版)の発売を記念し、「世界一受けたくない人生相談」と題して開かれました。
withnews編集部に集まった悩みに一つずつ答えてもらうというスタイルに、「百人組手みたいな感じでやるんですか。苦手だなあ(笑)。基本的に人の相談受けないタイプなのになあ(笑)」と、牽制球を投げる山田さん。自己啓発本に関する話題から相談は始まりました。主なやり取りを紹介します。

山田ルイ53世
百人組手だと、こういうシンプルな回答になってしまいますよ(笑)。そもそも自己啓発本ってどんなものなんですか?
奥山・withnews編集長
そういう意味では『一発屋芸人の不本意な日常』は、読んでいてどんよりすることもある「逆啓発本」ですから、「自己啓発本を読みすぎてやばいなあ」と思ったら読んでみてください。

僕もよく誘われる機会はあったのですが、引きこもり気質で…。誘われても根気強く行かなければ誘われません。
長い年月続けた結果、僕を誘う人はもう誰もいません。
「YouTuberになりたい」彼氏には……
1回目の配信にしたらいいじゃないですか。
ちなみに僕のYouTubeチャンネルの登録者数は四百数十人しかいないです。

もしかして、今日のイベントそのものがそうだったんじゃないでしょうね。そんなブーメラン嫌ですよ(笑)。会場のお客さんはどうですか?
会場
「面倒くさいこというなあ」
という雰囲気になることがあるんですよね。
そういう組織は滅びるんで。
会場
「もろちん」って言いました。
ため込んじゃダメです。僕もたまにあります。
「やばい、やばい、やばい。このままじゃやばい」
って一人で叫んでます。
不安っていうのは人生のペースメーカーですからね。あれ、初めてそれらしいこと言いました?(笑)

エゴサーチは「自分探しの旅」
自分探しの旅
ですから。
楽しんでやったほうが良いと思います。
先日、僕もテレビ出演した後にエゴサーチをしたら
「久しぶりにみたら面白かった」
「私は面白かったけどみんなどうかなあ」
という言葉が。ちょっと傷つけられてるんですよね。
不本意とは立ち向かうのではなく、
薄目で見る。そして逃げる。
それでいいんです。なんでエゴサーチも薄目でしてください。現実を直視しないでください。

上司に原稿のダメだしをされた時、
「お前の方が面白くない」
というメールを一斉送信してました。
その後どうしたんですか?
「尊敬してます」とメールしても、
「うそつけっ」となりますからね。

カズレーザーには敬語
僕は同じ事務所の後輩の
カズレーザーには敬語です。実力社会ですよ。
相方のひぐち君は、仕事ができないとは思いませんが、芸人に向いてないんです。
例えば、ハンカチをトンカチと間違える簡単なボケ。こんなの誰でもできるじゃないですか。
でも彼は僕がハンカチのことを言う前に、ボケ始めるんですよ。もう心理がわからない(笑)
でも友達だから腹が立たないんです。

嫉妬は余暇
自分に集中するのが一番です。

不本意な日常「それなり」に楽しもう
いかがでしたでしょうか? イベントでは、会場からの相談コーナーもありました。
「最近寒くて……」という人に「温泉行ってください」とバッサリ答えたかと思えば、失敗体験との向き合い方を尋ねる質問には「向き合わなくていいと思います。美談化しようと思わなければ気にならない」とメッセージを送った山田さん。
一発屋芸人ではなくても、私たちの日常は不本意の連続です。そんな日々の中でも、"それなり"に楽しむための考え方を山田さんは教えてくれました。ケーキがなければパンを食べれば良いのだ!
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『一発屋芸人の不本意な日常』の発売を記念して、3月6日(水)午後6時から、甲府市の朗月堂本店でサイン会が開かれる予定。詳しくはこちら(http://www.rogetsudo.co.jp/event/)