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連載

#9 「ボヘミアン・ラプソディ」の世界

クイーン旋風、ネットテレビにも Abemaがライブ放送を決めた理由

出典: (C)AbemaTV

目次

 日本での興行収入が100億円を突破した映画「ボヘミアン・ラプソディ」が、新たな展開を見せています。インターネット放送「AbemaTV」が2月2日午後10時からQueen(クイーン)の過去のライブ映像を無料放送します。クイーンのコアなファンとは距離がありそうなネット放送がなぜ? フレディが亡くなった後にクイーンを知った世代のプロデューサーに狙いを聞きました。

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【AbemaTVの番組サイト】映画「ボヘミアンラプソディ」

クイーンが追い求めたファンも参加する音楽を映画でも追究

 今回、放送されるのは、冷戦下の1986年にハンガリー・ブダペストで開かれたライブです。この放送のきっかけとなったのが、映画「ボヘミアン・ラプソディ」の空前のヒットでした。

 「20世紀フォックス映画」によると、昨年11月9日の日本公開から75日目で、興行収入が100億円を突破しました。1月28日現在、累計で興行収入105
億1636万円、動員数が760万人となり、2017年に公開された洋画「美女と野獣」の興行収入124億円にどこまで迫れるか、注目されています。

 この映画がここまで興行成績を伸ばしてきた背景には、様々な面で映画界の常識を覆し、イノベーターであったということです。

 「極音」「LIVE ZOUND」「凄音」といった劇場独自に音響のプロが音を微調整した映画館に遠方からでも人が駆け付けました。

 大型スクリーンで包み込まれるような感覚で見ることができる「IMAX」版やスタジオの音に近づけた「ドルビー・アトモス」版など、プレミアム仕様のバージョンで、いわば「体感する映画」というジャンルを築きました。

 さらに、「応援上映」のスタンダード化があります。「スタンディングOK」とする劇場が出てくるなど、昨年12月下旬ごろから、劇場オリジナルな取り組みが生まれました。

 それはまるで、クイーンがライブでの経験からファンも参加する音楽を追究したように、映画を見に来た人たちも参加できるような動きです。

 劇場に行くと、上映が終わった後、世代を超えた見知らぬファン同士が声を掛け合っている姿が見られます。

1992年に世界で限定発売されたBOXセット。ファンの吉田仁志さん所蔵のもの。
1992年に世界で限定発売されたBOXセット。ファンの吉田仁志さん所蔵のもの。

AbemaTVがブダペスト・ライブを急きょ放送する狙いは?

 このような盛り上がりの中、AbemaTVが企画したのが、『興行収入100億円突破記念!QUEEN史上最大規模&最後のツアー映像「ハンガリアン・ラプソディ〜クイーン・ライヴ・イン・ブダペスト’86」特別上映』です。AbemaTVの「SPECIAL2チャンネル」で放送されます。

 この番組のプロデューサー、黒澤隼人さん(30)は、フレディが亡くなった後、ドラマやCMで流れた楽曲を通じてクイーンを知った世代です。学生時代にやっていたバンドでは、フレディの「I Was Born To Love You」をコピーしていたそうです。

 黒澤さんは、昨年11月9日に「ボヘミアン・ラプソディ」が公開されると同時に鑑賞し、すぐにこの番組企画を考えたそうです。

 当初は、年末年始の番組として可能性を探っていたものの実現しませんでした。興行収入が日本で100億円を突破し、アメリカのアカデミー賞にもノミネートされたタイミングを狙い、放送が決まりました。

【予習しよう!】Queen- Bohemian Rhapsody (Live In Budapest, 1986)
出典: Queen Official

「フレディ・マーキュリーの正義には”家族と愛”があった」

 「この映画を見始めた時から鳥肌が立ち、終盤では体が震え上がる感覚に襲われていました」という黒澤さん。

 「今まで見えなかった、フレディ・マーキュリーという1人の人間の生き様、境遇、苦悩。その全てを、繊細に描いたストーリー。その物語に対し、フレディ・マーキュリー役のラミ・マレックは圧倒的存在感を放ち、まるでフレディ自身が乗り移っているのではないかと錯覚させるほど」

 黒澤さんは、音楽映画としての完成度もあったと言います。

 「誰もが引き込まれる名曲たちがフレディの人生になぞらえた形で奏でられ、音楽の総指揮ブライアン・メイとロジャー・テイラーが作るこのうえない説得力など、音楽映画としての最高峰といえる完成度がありました」

 「様々な要素があると思いますが、フレディ・マーキュリーの正義には”家族と愛”があったと言うことも、多くの日本人の共鳴を呼んだのではないかと思っています」

サンパウロであったイベントに登場したフレディ・マーキュリーのコスプレヤー=2018年12月、ロイター
サンパウロであったイベントに登場したフレディ・マーキュリーのコスプレヤー=2018年12月、ロイター

新たなAbemaTV視聴者層を狙う

 映画で描かれた時代は1970年代や80年代前半です。AbemaTVの視聴者層とクイーンファンや映画「ボヘミアン・ラプソディ」を見た人たちの層は、マッチするのでしょうか?

 そんな疑問に、黒澤さんは「世代を問わず支持されている映画だと思います」と自信を見せます。

 「10代、20代がSNSなどで映画『ボヘミアン・ラプソディ』に関して、感想などを多く投稿をしています。この映画をきっかけにクイーンに興味を持った若者をはじめ、昔からのファンなど、世代を問わず支持されている映画だと思います」

 黒澤さんによると、AbemaTVの視聴者層はほぼ男女半々。若年層を中心に幅広い年齢がユーザーだと言います。

 「今回のライブ映像を通して、映画をきっかけに興味を持った若年層やファンのみなさんに、映画やクイーンの魅力をさらに感じていただけるような番組にしたいと考えています」

 今回のライブ映像は、誰でも無料で見られるインターネット放送です。その狙いについて黒澤さんは、ユーザー層の拡大を挙げます。

 「番組を通じて、クイーンという伝説のバンドの魅力をインターネットの力で大きく拡散し、これまでAbemaTVをご覧になっていなかった方も含め、たくさんの方にご視聴いただける機会だと捉えています」

クイーンのライブ番組を企画したAbemaTVのプロデューサー黒澤隼人さん
クイーンのライブ番組を企画したAbemaTVのプロデューサー黒澤隼人さん 出典: AbemaTV提供

視聴しながらコメントでディスカッションを

 テレビは今、スマホ片手にSNSでつぶやいたり、検索したり、参加したりしながら見る時代です。そこに、インターネット放送の強みもあるようです。

 例えば、引退した安室奈美恵さんの特別番組。ユーザー同士がAbemaTVのコメント機能を使って議論する動きが見られたそうです。

 黒澤さんは今回のライブ映像の放送についても「他のメディアにはない新しい楽しみ方を今回もご提案できたらと思っております」と意気込みます。

 「お気に入りのシーンや感動の場面をTwitterで実況しながら同じ番組を見ている方々とコミュニケーションできるAbemaTVならではの機能なので、ぜひ当日ご視聴いただける方にはご活用いただきたいです」

 withnewsもクイーンファンとともに、当日参加してみたいと思います。

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