俳優、監督、起業……「どれも僕には必要」
俳優・伊勢谷友介さん
【質問】なぜ働くのか分からない
<【質問】なぜ大人は他人より頑張って働くのだろう。頑張って働けば働くほど、給料が増えて、自分のやりたいことにお金をかけられ、欲しい物が買えるようになる。でも、定年退職した後に年金生活以上の生活を楽しむために、貯金をするために頑張るのだろうか」(中学生 桜井千尋 東京都 14歳)>
【質問】働くのは、お金のため?
<【質問】保育士の仕事はお給料が少ないのが大変なところ――。昨年の職場体験で、そんな本音を話してくれた保育士さんがいた。体力が必要で、行事の準備など表に見えない仕事がたくさんあるのも予想外だった。お給料が見合っていなければ、保育士になる夢を断念する人がいるのは当然だろう。私はずっと保育士に憧れてきた。でも、社会問題になるほど待遇が悪いのでは生活は大丈夫か、と親も心配顔だ(高校生 野田夏鈴 岐阜県 16歳)>
<【質問】私たちは、お金がないと物を買えない仕組みの社会で生きている。ただでお金をもらうことはできないため、なにがしかの仕事をしてお金をもらう。その流れがないと、物も作られず何も発展しない。どんなきれいごとを並べても、結局、働くということはお金を手に入れる方法だと思う(高校生 野村菜々子 東京都 16歳)>
【質問】見えない将来に悩み
<【質問】正直、働くことが怖い。最近ニュースで外国人労働者のことを見聞きし、安い給料で長時間働き、パワハラや暴力まで振るわれると知ったのが原因だ。日本人でも、ブラック企業のとてつもない残業時間と、それを苦に自殺する若者の事件があることも知った。恐怖心が私を押しつぶしそうになる。だが、それを感じなくなるのは、何も疑問を持たなくなったときなのだろう。それが一番怖いことなのかもしれない(中学生 兼重遙 東京都 13歳)>
<【質問】就職活動が迫ってきた。消費者から生産者に変わる転換点だ。だが、自分が何を仕事にしていきたいのか分からない。明日が保証されている日本だからこそのありがたい悩みかもしれない。少しでも何かに貢献するのならば、きっとそれは意味のある仕事だと信じている。車や飛行機がネジ一つなければ動かないように(大学生 大澤僚太 東京都 21歳)>
【質問】働いてみて気づいた手応え
<【質問】働くのはお金のため、と高校に入学したときは思っていた。しかし、考えが変わった。高校で農業を学び、一年間野菜を育てた。種をまいても芽が出なかったり、芽が出ても病気にかかったり。せっかく実っても虫や鳥に食べられる。苦労して育てた野菜を、スーパーや学校で売った。お客さんの中に、心待ちにしていたという人もいた。その笑顔を見て苦労が吹き飛んだ。働くことで、友情や感謝、笑顔など多くが得られることを学んだ(高校生 松原颯大 埼玉県 18歳)>
【質問】辛さと楽しさを分けるもの
<【質問】障害者が働く現場を映したビデオ番組を授業で見た。みんな楽しそうな表情だった。雇ってもらえなくて働かないでいたときより、働ける方がずっと楽だそうだ。働くことを苦と思うか、楽と思うか。その違いは、仕事を成長の機会とプラスに捉えることができるかどうかなのだと思う(中学生 浅沼叶侑 東京都 14歳)>
伊勢谷友介(いせや・ゆうすけ)1976年東京都生まれ。東京芸術大院修了。ドラマ「花燃ゆ」、映画「ブラインドネス」「あしたのジョー」などに出演。映画監督作品に「セイジ―陸の魚―」など。地球環境に配慮した生活スタイルの提案を掲げて無農薬農産物や再生素材衣類のプロデュースなどに取り組む会社「リバースプロジェクト」を2009年に立ち上げ、代表を務める。
取材を終えて
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