連載
#13 コミチ漫画コラボ
憧れの子と成人式で再会! 「やっぱり好き…」からの悲しすぎる展開
マンガのSNSを運営するコルクBooksとwithnewsがコラボし、「#成人式の黒歴史」をテーマに作品を募集した企画で、いぬパパさんのマンガ「思い出すのがツライ」が大賞に決まりました。
成人式の楽しみと言えば、懐かしい友達との再会。そんな楽しい時間も、一瞬で凍り付くことがあります。いぬパパさんに、マンガに込めた思いを聞きました。(withnews編集部・河原夏季)
ある街の公民館で開かれた成人式。「犬山くん」は、中学時代の同級生と久しぶりに顔を合わせます。
中には、中学のとき気になっていた「あの娘」の姿も。
「……やっぱりボクは好きだったんだ」。犬山くんは恋心を確信します。でも……。
マンガの「半分くらい」が自身の体験といういぬパパさん。「同窓会的なワクワクドキドキと、そこからのダメージを描けたらいいなと思いました」と話します。
「成人式って1回しか経験していません。しかもはるか昔に。まず、その頃を思い出す作業に苦労しました」
「そして、思い出すことにより、描く前に自分がいったんダメージを受けるという。実体験をもとに描くことで、あの頃のダメダメな自分を再認識しました。そこまで深刻な精神的ダメージではないですけど。『痛いなー、あの頃の自分』みたいな感じに近いですかね。ツライ制作過程でした(笑)」
「僕の場合、その子とは中学・高校と同じだったんですけど、成人式で見かけた時は、話しかけられませんでした(笑)その前に色々やらかしてて。また、別の黒歴史です(笑)心が耐えられればそのうちマンガにします(笑)」
ちゃんとしたセレモニーとはいえ、同級生に会ったら気持ちが盛り上がります。来賓のあいさつはなかなか頭に入ってこないものです。
「市が招いた偉い人の講演も聞かず、この後どこに飲みに行くか相談していた気がします。同級生の女子と久しぶりに会って意気投合する……なんてこともなく、男6人くらいで飲みました(笑)悲しい(笑)」
二十歳と言っても、急に大人になれるわけではありません。いぬパパさん自身も、「全然大人じゃなかったです」と話します。
「将来のビジョンもなく、明日の予定すらあやふやで。意味もなく中古で買ったホンダBEATに乗って夜中にドライブしていました。『ブルース・スプリングスティーン』ばかり聴いていました。『Dancing in the Dark』なんて自分の主題歌なんじゃないかと思っていました。なぜかコンバースのオールスターしか履かなかった。今思うと、なんじゃそのこだわりって」
「漠然とみんなと同じは嫌だと思いながら、特に何かに向けて努力しているわけでもなく。かといって、はみ出すわけでもなく。でも、何者かにはなりたかったみたいな。よく、そんなマインドで過ごせたなと昔の自分に言ってやりたいです(笑)」
そして、付け加えました。
「まあ、今もちゃんとした大人になった実感はありませんが(笑)」
1月14日は成人の日です。最後に、新成人へメッセージを伺いました。
「偉そうなことは言えませんが、色んなことを体験したり、色んな人と関わったりしたらいいと思います」
「特に苦手なこと・苦手な人にも自分から関わっていく。そうすると人間の幅みたいな、人間としてのダイナミックさみたいなものが作られていくような気がします。そのほうが後々、より生きやすく、楽しく生きられるんじゃないかなと。僕はあんまりやってこなかったので、今更ながらちょっとずつ意識するようにしています」
埼玉県川越市在住。印刷会社の営業担当として働きながら漫画家をしている。モットーは「働きながら描く」。何歳からだって夢を追いかけられるということを体現している。「夢を追い続ける人を応援していきたいです」
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ツイッター:@inupapa1979
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