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感動物語かと思いきや… 「今日、部下が会社を辞める」のオチに驚き
途中まで感動ストーリーのようだったのが一転、社員たちの怒号が飛び交う展開に。
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途中まで感動ストーリーのようだったのが一転、社員たちの怒号が飛び交う展開に。
会社を辞める部下に花束を手渡し、過去の出来事を振り返って感傷に浸る上司。途中まで感動ストーリーのようだったのが一転、社員たちの怒号が飛び交う展開になる動画が、ネット上で注目を集めています。制作したのは中小企業支援を行う独立行政法人「中小企業基盤整備機構」です。なぜこのような動画を作ったのか? 広報課長に話を聞きました。
今月4日、中小機構のツイッターアカウントが、こんなつぶやきを投稿しました。
「こころ温まる感動ストーリーのはずが、、1分22秒から、予測不可能な展開が始まる。。」
動画は、会社を辞める部下に対して上司が花束を手渡す場面から始まります。
入社あいさつをした時のことや、取引先に一緒に謝りにいったこと、仕事を終えて飲み歩いたことなどを上司が回想し、部下とあいさつを交わしたところで「中小機構」のロゴが現れ、いったん終わります。
ところがすぐに続きが始まり、別の部下が「勝手にいい話にすんな!」と声を張り上げます。そして「うちの会社、次から次に若手が辞めて、いいかげんに気づけよ!」と続けます。
そして、中小企業の人手不足や残業、離職率のデータが表示され、社員が取っ組み合いを始めてしまいます。
最後に「ITツール導入で、会社と社員の負担を減らす。」「詳しくは、『中小機構 生産性向上』で検索」と文字が現れ、動画は終わります。
この動画に対して、「世に出した方の勇気に拍手」「ウチの会社の近未来だわ」といったコメントが寄せられています。
YouTubeやFacebookでも公開されているこの動画。お堅いイメージのある独立行政法人が制作した狙いとは? 中小機構の広報課長・林隆行さんに話を聞きました。
――制作のきっかけを教えてください
今年1月に中小企業の働き方改革に絡めたメッセージ動画「社畜ミュージアム」を公開し、SNS等で200万回以上再生されました。
有効求人倍率が44年ぶりの高水準となり、人手不足が深刻化する中、働き方改革関連法に基づく残業の上限規制等が2020年4月から中小企業にも導入されます。
これに向け、より具体的に、よりインパクトを強く、中小企業に生産性向上の必要性を訴え、ITツール活用といった具体的な解決策を伝えることにしました。解決策については特設サイトで紹介しています。
――動画を通じて伝えたかったメッセージは
人手不足の今だからこそ、ITを活用した生産性向上が必要であり、会社も社員もハッピーになれる有効な手段だということ、そして、ITには低コストで簡単に導入できるものもあるということです。
このことを中小企業の経営者に限らず、その家族や従業員、中小企業を支援する仕事をされている全ての方に届けて、周りからも社長に伝えてもらいたいと考えました。
――動画の内容について機構内で異論は出なかったのでしょうか
「社畜ミュージアム」の時と同様、機構内でも様々な意見がありました。ただ、多くの方にメッセージを届けるには、よりインパクトのある動画が必要だと説得し、理解を得て公開しました。
――制作する上で工夫した点は
全体のストーリーや後半の展開など、制作会社との打ち合わせを重ね、あまり刺激的になりすぎないように心がけました。また、実際のアンケート結果など、事実のデータをもとに現実の世界の問題として伝えるようにしました。
――話題になっていることについては
多くの方の共感を得られていることは、とても嬉しく思います。この動画を見ていただいた方を通じて、身近にいる中小企業の皆さんにまで情報が届き、会社も社員の人たちもみんな幸せになっていくことを望んでいます。
労働力人口が減少する中、人手不足はより深刻化する可能性があります。現在もこれからも中小企業の生産性向上の取り組みは不可欠です。
そのツールの一つがITですが、決して高コストで導入が難しいものばかりではありません。今は低コストで簡単に導入できるアプリやソフトもたくさんあります。中小機構では特設サイトを公開し、こうした情報を提供していますのでご活用ください。