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「え、俺が?」大臣就任の「長い1日」電話から記念写真をマンガ解説
国会議員になったら一度は経験してみたい大臣——。自民党総裁選で安倍晋三首相の3選が決まり、2日に閣僚(大臣)のメンバーチェンジをする「組閣」がありました。時に笑いあり、涙あり……。政治部・松村愛デスクの解説で、永田町の忙しい一日をご紹介します。 ※イラストはイメージで、実在の人物とは関係ありません
組閣の一日は、現職の大臣から辞表を取りまとめる「臨時閣議」から始まります。別に汚点があって辞任するわけではないので、手続きはいたって事務的。用意された辞表に署名するだけです。「一身上の都合により」とか「責任を取り」なんて文は書きません。
大臣候補者には、組閣の数日前から当日にかけて「首相コール」が入ることが多いようです。連絡が来る瞬間を押さえようと、大臣になりそうな議員のまわりは報道陣が取り囲みます。
大臣は、6期目以上の衆院議員、3期目以上の参院議員が「適齢期」とされていて、首相の元には、まだ大臣を経験していない「待機組」のリストがあります。が、待てど暮らせど、連絡が来ない残念なケースも少なくありません。
逆に、選ばれると思っていなかった人に「首相コール」が入るケースもあります。戦後最年少での入閣は34歳9ヶ月。2008年の麻生内閣で少子化担当相に就任した小渕優子氏で、目玉人事と言われました。民間人を起用することもあります。国会議員にならなくても、大臣になれるルートもあるのです。
また、大臣を選ぶプロセスでは、不倫や献金など問題になりそうな芽がないか事前にチェックする「身体検査」も欠かせません。
組閣の日、大臣になる人を首相官邸に集める「呼び込み」をします。ここで初めて首相から正式にポストを告げられ、官房長官が報道陣に閣僚名簿を発表します。
その後、男性はモーニング、女性はドレスや着物に正装しますが、過去には想定外の任命で、急きょレンタルしたり、知り合いから拝借したりした笑い話もあります。今回は地方創生・女性活躍担当相になった片山さつきさんが慌てていました。
閣僚認証式は皇居であります。天皇陛下の前で一人ずつ首相から辞令書を受け取ると、陛下からお言葉があります。
官邸に戻って、首相は記者会見を開き、組閣のテーマなどを発表。首相と大臣による会議「閣議」を終えると、正面玄関近くの階段で記念写真をパチリ。これが最大の見せ場です。このときの並び順は、官邸専属のカメラマンが指示します。決まりはないのですが、外務、財務といった重要ポスト、女性や大抜擢された若手などが首相のまわりを取り囲み、あとは当選回数などで自然と……。
新大臣のクライマックスは記者会見。でも大臣は19人もいるので、深夜に及びます。今回は22時30分に終わり、大臣も報道陣もお疲れモードでした。
今回の組閣は安倍首相が首相に再登板した2012年以降5回目の改造。前回(昨年8月)は支持率下落につながった「問題閣僚」を外す目的がありましたが、今回は「待機組」から12人が入閣しました。
ちなみに……大臣になると、自宅前に警察の簡易派出所(通称:ポリボックス)が設置され、公務・プライベート問わず警護を担当するセキュリティーポリス(通称:SP)が付きます。お給料も、国会議員時代よりアップします。
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