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だじいなおらしせ→大事なお知らせ? なぜか読めちゃう広告が話題に
「みまなさに だじいな おらしせ」という書き出しで始まる広告が注目を集めています。
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この文章、読めますか?
「みまなさに だじいな おらしせ」という書き出しで始まる広告が注目を集めています。
「みまなさに だじいな おらしせ」という書き出しで始まる広告が注目を集めています。「みなさまに大事なお知らせ」かと思いきや、そうではありません。間違ったわけではなく、あえて文字の順番を入れ替えた広告を出した富山の和菓子屋と、その仕掛け人に話を聞きました。
今年の3月、富山県内に5店舗を展開する和菓子屋「中尾清月堂」が、地元新聞の折り込み冊子にこんな広告を出しました。
脳内変換して読めた方もいるかもしれませんが、伝えたかったメッセージは以下の内容です。
この広告は、中尾清月堂の主力商品・どら焼きのリニューアルに合わせて作られたものです。
どら焼きのどこが変わったかをクイズで答えるキャンペーンも実施。キャンペーン期間中に5万9200個が売れ、過去最高を記録したそうです。
文字の順番を入れ替えても正しく読めてしまうこの仕掛け。「タイポグリセミア(Typoglycemia)現象」と呼ばれているそうです。
「最初は一般的なイメージ広告にする案もあったのですが、『お客さまにも参加していただけるものにしたい』と、この案を採用しました」
そう話すのは、中尾清月堂の広報担当・中条摩佳さんです。
広告のデザインを担当したのは、富山県高岡市に事務所「ROLE(ロール)」を構える羽田純さんです。
「当初はどら焼きのイメージ広告を考えていましたが、即効性のあるものということで、キャンペーンも含めて一から考え直しました」
売る側にとっては主力商品のリニューアルという一大事で、餡・卵・小麦粉などの素材や焼き方に至るまで変えましたが、買う側からすると一見してわかりにくい。
そうであれば「その見えにくい部分をそのまんま共有してもらおう」と考えたそうです。
地元新聞の折り込み冊子は、配られたその日だけでなく、何日もテーブルに置かれていることが多いと考えた羽田さん。
「見つけた人が自慢できる内容に」と思案した結果、タイポグリセミア現象にたどり着きました。
「平仮名だけにするとか、単語は4文字以上で真ん中を入れ替えるなど、ルールを分析して文章を考えました」
文字を入れ替えた広告の提案を受けた中尾清月堂。社内では懸念もありました。
「誤字・脱字だと思われて苦情が来るのではないか」「地元新聞から掲載OKが出ないのでは」といった意見が出たそうです。
「仕事柄、普段から間違いのないようにと気を遣っているだけに、心配はありましたが、『新しい挑戦がお客さまにどのように受け止めていただけるかを知りたい』ということで決断しました」
結果、広告も好評で、販売数も過去最高を更新。キャンペーン応募もメールのみで受け付けたところ、ふだんメインとなっている年齢層以外の購入も増えたそうです。
デザインを担当した羽田さんは、こう言います。
「広告の中では会社名まで入れ替えています。クライアントの英断があったからこそ成功したのであって、チーム戦の勝利です。これからもこんな仕事を続けていきたいです」
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