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3000食、無料で振る舞ってやんよ! やり手弁当屋の煽りが痛快
「このツイートが2万回リツイートされたら、3日間1000食無料で弁当を販売してやんよ」。ツイッター上に飛び出した、小さな弁当屋の大きな煽り文句が痛快と、ネットで話題になっています。「無謀すぎる!」と心配の声が寄せられる一方、ビッグマウスにハートをわしづかみにされ、全国から店を訪れる人の波は絶えません。つぶやきの背景には、好奇心旺盛でやり手な店長の存在がありました。
投稿主は、東京都江東区の弁当屋「キッチンDIVE」です。8年前、JR亀戸駅近くに店舗を構えて以来、顔の大きさほどもある「1kgおにぎり」などユニークな商品を販売。住民の胃袋を満たしてきました。
今回、無料で提供するとしているのは、一個200円の日替わり弁当です。
「(リツイート)されるわけないのさ…」。そんな余韻たっぷりの文末に触発されたためか、今月17日の書き込みから約12時間後、2万回リツイートを軽々と達成しました。22日夜時点で、3万5千回を超えています。
いいよ...このツイートが2万回リツイートされたら3日間1000食無料で販売してやんよ...5万回で1週間...10万回リツイートで1ヶ月連続で毎日1000食無料で売ってやんよ...されるわけないのさ...... pic.twitter.com/UTKGMVhvlG
— キッチンDIVE (@divemamuru) 2018年5月17日
投稿には「経営は大丈夫か」「潰れるんじゃねぇぞ…」、「店の圧勝だ」「こんな店が近くにあったら絶対行きたい」とのコメントが引きも切りません。
本当に弁当がタダで食べられるのか?「やりますよ、だって面白いじゃないですか!」と笑うのは、店長の宗石慶太さん(36)です。実はこの企画、宗石さんが一人で考え、実行していました。
店の宣伝用ツイッターアカウントが立ち上がったのは昨年7月。投稿をさかのぼると、「フォロワーが1000人を超えたらおにぎりを無料にします」などといった挑戦的な一文があふれています。これまでに10回以上、閲覧した人を「煽って」きたそうです。
「正直に言えば、好きなことを書いているだけなんですよ。投稿するたび、アカウントのフォロワーがわんさか増える。ゲームみたいで楽しいでしょ」。宗石さんは少年のように目を輝かせます。
とはいえ、収支のバランスがとれているのか、やっぱり気になります。思い切って疑問をぶつけてみました。
「投稿を見たフォロワーのうち、月に50人くらいは実際に来店してくれるんです。パーティ用に100個単位で弁当を買ってくれることもあり、十分利益は出ています」
宗石さんによると、これまで顧客の多くは近所で働くサラリーマンでした。しかしツイッターを活用して以降、福岡や北海道など遠方から足を運ぶ人が急増。月々の売り上げも、投稿を始める前より2割以上改善しています。
ファンとの固い結束は、店の活力の源になっています。ことし4月、宗石さんは店内の清掃中に転倒し、左足を骨折してしまいました。状況をツイッターで報告すると、フォロワーの人たちが湿布を片手に次々と駆けつけ、見舞ってくれたそうです。
宗石さんは、新しい投稿文や応援者へのメッセージを毎日考え、ツイッター上で発信しています。そのかいあってか、知名度はうなぎ登りで、店を舞台にしたライトノベルの出版計画も進んでいるといいます。
「フォロワーの中には、家族や友人と誘い合って来店する人も多い。『俺たちのキッチンDIVEだ』という意識で店を支えてくれているのだと思います。これからも一緒になって面白いことができるよう、活動を続けたいですね」
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