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連載

#25 城崎広告「会社員のモヤモヤ」

ランチは職場外の人と食べよう ゆるい人脈が生み出すイノベーション

目次

 サラリーマンの日々をキャラ化した「城崎広告」のメンバーが日頃感じている疑問を、withnews編集部がフカボリ取材する「会社員のモヤモヤ」。24回目は「ランチタイムの過ごし方」についてです。
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【「withnews」×「城崎広告」コラボの経緯はこちら】

今回の登場人物

夕永俊介
企画部所属の30歳。鋭い視点の持ち主でデータ分析やコンセプトデザインが得意分野。趣味はひとりキャンプと植物画。

 

猫渕渉
42歳の企画部部長。長年の経験で築いた人脈とそつのない仕事ぶりに定評あり。趣味は読書、お酒、料理。

 

菅原数臣
37歳の事業推進部部長。経理担当として経験豊富なうえ、ソフトウェア分野にも精通。趣味は数学、ミルクパズル、資産運用。

 

夕永

菅原さんは席で食べていることが多いですよね……

 

猫渕

ぼくも弁当持ってきてる日はそうだけど、菅原くんの場合はゼリー飲料とか栄養補助食品を流し込んでる感じだから心配になるよ。

 

菅原

作業の進捗が思わしくない時は仕事しながら食べられるものが便利ですが、余裕があればゆっくりコーヒーを淹れるようにしていますよ。休憩時間の適正な取得はコンプライアンス上重要ですので。

 

夕永

コンプライアンスというか、たまにはランチ一緒にどうかな、と思ったんですが。

 

猫渕

他愛のないおしゃべりも楽しいものだよ。ランチで交流が深まると、仕事にもいい影響があるんじゃないかな。

 

菅原

そういった視点もありますね。では今回はこちらの取材をお願いしましょうか。

 ランチタイムをあなたはどのように過ごしていますか?
 同じ職場の人と行くこともあれば、一人で行くことも…と、人とタイミングによって様々だと思います。そんなランチタイム、意識をして過ごしている人もそうでない人も、年度が変わったこのタイミングで一度見直してみませんか。
 おすすめのランチタイムの過ごし方をネットストラテジー代表取締役社長、社団法人プラットフォーム戦略協会代表理事で多くの著書もある経営コンサルタントの平野敦士カールさんに聞きました。

平野敦士カールさん
平野敦士カールさん

同質性から抜け出す

 ランチタイムですが、自分の部署以外の人となるべく過ごすことがおすすめです。同じ会社でも違う会社でも良いですが、できるだけ違うコミュニティーの人と行くようにするのがいいです。
 これは個人にとっても、組織にとっても良い効果があります。組織にとっては同質化を避けることでイノベーションを生み続けられる環境を維持することができますし、個人にとっては業務において様々な要素がクロスオーバーしてきている現代で個としての価値を発揮することができます。
 
 まずは、組織における部分について説明します。同じ部署の人と、ランチタイムや終業後など、仕事以外の時間でも過ごす時間が長くなると組織の同質性が進み過ぎる傾向があります。
 そのような組織は求心力は強いものの、そのネットワークにいる人からは異論が出しにくくなり、外部の情報が入りにくくもなります。結果として孤立していき、「村社会化」することでイノベーションや変化が発生しにくくなるのです。
 続いて個人に関してです。シカゴ大学ビジネススクールのバート教授が、米国の大手情報機器メーカーの管理職を対象にして調査を行い、「異なる部署、異なる職種、異なる年代、異なる性別など、自分と違う属性を持ち、日常的にも自分と違う場所で活動している人との関係を持つ人は、管理職の昇進が早い」という仮説を導き出しました。

 これは、それまで関係のなかった人と新たに関係を築くことで、新しい情報や有意義な情報を取り入れることができ独自の価値を発揮していくことができるようになるからです。

 

猫渕

組織の同質性か……うちはそもそも社長いれても10人しかいないし、1年一緒にやってきて、結束が強まったのはいいとしても、同質性が進んでしまってる、ともいえるのか。

 

夕永

ですが、メンバーそれぞれのバックグラウンドが多様ですから、1年経ってもまだ発見の方が多いですよ。

 

猫渕

まあたしかに個性的な社員揃いだからね。あとは、ぼくなんかは時々、前の会社の知人と一緒にランチしたりしてるかな。

 

夕永

それはイノベーションにつながる効果が期待できそうですね。

コミュニティー同士を結ぶ役割も

 こうした考え方は、40年以上前の1973年にも米国の社会学者マーク・S・グラノヴェターが提唱していました。価値ある情報を得るには、家族や親友や同じ職場の仲間のような強い人脈ネットワーク(強い紐帯)よりも、多少知っているような人や友達のその友達のような弱い人脈ネットワーク(弱い紐帯)の方が重要である「弱い紐帯(ちゅうたい)の強さ」という概念です。

これは、強い人脈ネットワークでは、人が同質化するため得られる情報も既知のものであることが多く、対して弱い人脈ネットワークから得られる情報は未知でかつ重要なものである可能性が高いという仮説です。仮に転職を考えた際に、普段から身近にいる家族や友人に相談するよりも、日頃は連絡を取り合わない知人の方が有益な情報を提供してくれるといった具合です。

 また、弱い紐帯は強い紐帯同士を結びつける「ブリッジ」と呼ばれる役割も果たします。外部からの影響を受けにくい求心力の強いコミュニティー同士を結び付けることができるため、イノベーションを起こすには組織に弱い紐帯を持った個人が必要であると考えています。

 

菅原

この理論はきいたことがあります。個人的にも頷けるものでしたので、社外の勉強会などには積極的に顔を出すようにしていましたが、ランチにも同様の効果が見込めるのですね。

 

猫渕

菅原くんはやっぱり真面目だなぁ。きみの専門領域の勉強会って、なんだかすごい人が集まってそうだね?

 

菅原

それはもちろんですが、やはり専門領域が共通している分、同質性はどうしても高くなりますね。業種的には様々ですので、弱い紐帯としての効果が期待できる部分もありますが。

無理はしすぎない

 では、どのように実践していけばいいでしょうか?
 まずは会社でも他部署の人、さらには会社以外の人との交流を積極的に行うことでしょう。もっと身近なところで、半径3メートル以内の人をランチに誘うことでその人の素の部分を見てみるのもいいかもしれません。オフィシャルな場で固いイメージの人ほど、セミプライベートな時間であるランチタイムには印象が変わることがあります。
 プライベートな面が見えてくると信頼関係を構築しやすくなります。もしきっかけがなければ、お店の力に頼るといいでしょう。「○○のオムライスがおいしいらしい」や「△△のお店の景色がきれい」といったところを口実に使うと、目的が他にもできるので話がしやすいです。
 逆に気を付けたいのが、無理をしすぎないことです。続けてもお互いの負担が大きくなることになりますので、一度行ってみて波長が合うかどうかを素直に見るようにしましょう。
 積極的になることで人脈のハブとなり、ネットワークを築くツールとしてランチタイムを活用していっていただければと思います。

 

菅原

半径3メートルですか。夕永君の指摘するように、私たちは1年経ってもまだ互いに発見がある関係ですから、たまにはランチというセミプライベートな時間を共有することも大切ですね。

 

夕永

なんだかカタい話にもなっていますが、まあ、そういうことです。無理のない範囲でおつきあいいただけたら嬉しいです。

 

菅原

もちろんです。よろしくお願いします。

取材を終えて~「城崎広告」より~

 

猫渕

ということで、今日はランチ一緒に行ってみるかい、菅原くん?

 

菅原

ちょうどセリー飲料を摂取してしまったところですが、そうですね、軽めのものであれば。

 

夕永

あ、じゃあ蕎麦屋とかどうですか? あ、でも猫渕さんは今週もう蕎麦召し上がってましたっけ。

 

猫渕

いいじゃない、蕎麦。気にしないで、ぼくくらいの年齢になってくるとね、がっつりランチがきつくなってくる分、蕎麦屋が贔屓になるもんだから。

 

菅原

でしたら、おすすめの蕎麦屋がありますので、ご紹介しましょう。

 

夕永

菅原さんおすすめの蕎麦屋があるんですか?

 

菅原

長野県出身ですので、蕎麦にはこだわりがあります。信州そばの良い店に心当たりがありますよ。

 

猫渕

おおっ、それは期待しちゃうな! それじゃさっそく行こう! 新しい店との出会いも大事なきっかけだよ。

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